Project/Area Number |
23K23672
|
Project/Area Number (Other) |
22H02407 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40020:Wood science-related
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
上谷 幸治郎 東京理科大学, 工学部工業化学科, 准教授 (20733306)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 大将 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 助教 (10751034)
宇都 卓也 宮崎大学, 工学部, 准教授 (60749084)
笠井 智香 東京理科大学, 薬学部薬学科, 助教 (90806697)
大長 一帆 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (50980223)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,710,000 (Direct Cost: ¥6,700,000、Indirect Cost: ¥2,010,000)
|
Keywords | 解繊度 / 木材パルプ / セルロースナノファイバー / 捻れ構造 / 有限要素解析 / 相互作用力 / 界面制御 / イオン添加 / 熱拡散率 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、これまで技術的制約から曖昧な取り扱いを余儀なくされてきた木材パルプの解繊度を定量的に取り扱うことで、解繊度に依存して発現する新しい機能物性を開拓・実証することを目指す。特に木材パルプから解繊されるセルロースナノファイバーの集積構造と表面化学に注目しながら、解繊によって影響を受ける繊維の束なりを制御し、セルロース材料の物理・化学特性の向上を目指す「解繊度エンジニアリング」を開拓する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、様々な生物原料から得られるセルロースナノファイバー(CNF)材料の精密高機能化に向けて、CNFの集積構造ならびに界面構造を制御し、材料物性をスペクトル学的に解明することを目指す。2023年度は、固有の捻れを考慮したCNF有限要素モデルの集積におけるキラリティと相互作用力の関係を網羅的に調査した。COMSOL Multiphysicsで形成した有限要素モデルを集積化し、モデルの各表面にShifted-forced型レナードジョーンズポテンシャル関数を定義し、各ノード間の相互作用力の総和を計算するMatlab解析プログラムを用いて解析を実施した。モデル2本の長軸方向が平行に配置した時、捻れが噛み合うことで相互作用力が2倍程度増加した。また、モデル2本が斜めに近接するとき、捻れが噛み合うと相互作用力が15倍程度に増加する結果となった。さらに、円形のネマチック層(モデル数54本)が上下2層に接近した場合、捻れが噛み合うことで相互作用力が1.6倍に増加することも実証され、捻れた構造の噛み合いによって相互作用力が大きく制御されることが判明した。実験面では、解繊度を変化させたパルプ・CNF由来のフィルム材料が異なる表面粗さを与えることを見出し、細胞培養基材としての性能に影響する可能性を見出している。また、金属イオンの添加によって繊維間相互作用力を変化させたCNFフィルムについて、レーザー照射による切断加工性を網羅的に解析し、切断される幅や熱影響の受け方がイオン種により異なることが見出された。回転ホモジナイザーによる解繊度に応じてCNF中に屈曲点が形成され、処理時間が増すにつれて繊維の平均曲率が大きく変化することが見出された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、捻れたCNFの束なり構造と相互作用力の解析について、有限要素モデルの表面に個別パラメータを付与したポテンシャル関数を用いて相互作用力の総和を算定するシステムを駆使して、「捻れの噛み合い」が相互作用力に強く影響することを実証し、論文報告を行った。また、CNFの解繊度や相互作用を変化させた場合に特徴的となる様々な特性の端緒を掴むことができ、研究全体として順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、当初の計画の通り研究課題を推進する。CNFの解繊と繊維形態の関連性を精査し、また計算化学的に光学位相差を予測・検証することを通して、繊維形態情報に関する光学的分析技術の確立を目指す。紙材料の熱伝導特性向上を目指して、セルロースの結晶形ならびに結晶性を変化させて熱物性性解析を進める。また、レーザー照射によるフィルムの切断加工性を化学組成の観点から検証し、最適条件の解明と熱分解生成物の解析を目指す。解繊度を制御したセルロースを基材とした細胞培養特性を解明し、セルロースの医療創薬分野での活用性を開拓する。解繊度を制御したパルプ・CNFを活用する「解繊度エンジニアリング」より広範に応用展開させるため、派生的な発想に基づく新たな取り組みを引き続き推進する。
|