Project/Area Number |
23K23736
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Project/Area Number (Other) |
22H02471 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41040:Agricultural environmental engineering and agricultural information engineering-related
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
冨田 理 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 主任研究員 (70758101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
折笠 貴寛 岩手大学, 農学部, 准教授 (30466007)
安藤 泰雅 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 主任研究員 (30736781)
渡邊 高志 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 研究員 (60760767)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
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Keywords | 食用昆虫 / 発酵食品 / 食品加工特性 / 環境負荷 / 麹菌 / 乳酸菌 / ライフサイクルアセスメント / タンパク質食品 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、食用昆虫の忌避感を低減する高次加工法として発酵加工に着目し、昆虫発酵食品の創出を目指す。まず、食用昆虫を原料とした培地に生育可能な微生物(乳酸菌・麹菌・酵母など)を探索するとともに、発酵微生物の活動を効率化する最適な乾燥条件や粉末化条件を明らかにする。次に、最適化した条件で製造された発酵物について成分組成、テクスチャ、およびフレーバーを解析し、既存の発酵食品との類似性・相違点を解明する。最終的に、想定される昆虫発酵食品製造ラインのLife Cycle Assessmentを実施し、社会実装によって得られる環境負荷低減効果を実証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
将来の世界的な食料需要量の増加に伴い、タンパク質源の深刻な不足とその増産による環境負荷が生じると危惧されている。本研究は、新たなタンパク質源として期待されている食用昆虫とその高次加工による忌避感の軽減に着目し、各種食用昆虫の発酵加工に対する適用性および最適条件を明らかにするとともに、既存発酵食品を代替した際に期待される環境負荷低減効果を評価することを目的としている。令和4年度は、麹菌による発酵を目的とした生鮮昆虫の乾燥・粉末化、それらを培地とした麹菌の培養および培養物の分析を行った。冷凍コオロギや冷凍カイコ等を、加熱または非加熱の乾燥およびメッシュを違えた粉砕に供した結果、異なる粒度分布、粉体特性、色調を備えた乾燥粉末が得られた。用いる昆虫種やその成長段階によって特徴に大きな差が生じることも明らかとなった。これらを培地として各種用途(味噌、醤油、清酒、焼酎等)の異なる麹菌株を培養した結果、ほとんどの培地で麹菌の生育が確認された。培養物中に分泌される分解酵素の活性については、原料種と麹菌株の組み合わせに強く依存するほか、乾燥方法および粒度の差異にも影響を受ける傾向が確認された。また、麹菌での発酵により醤油様の製品が得られることを想定し、ライフサイクルアセスメントでの比較対象となる大豆醤油の環境負荷を分析するため検討を進めた。大豆醤油の製造プロセスでは原料(大豆・小麦)の栽培が環境負荷の集中するホットスポットであると示されたことから、食用昆虫の生産における環境負荷の予測により、原料を代替した場合の負荷低減効果を明らかにできると期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発酵加工に向けた食用昆虫の前処理として、原料となる乾燥粉末の取得をおおむね計画に沿って進めることができた。穀物の発酵に用いられる麹菌にとって昆虫粉末は未知の生育培地であったが、本年度の取り組みにて実際に生育が確認され、各種原料の発酵産物を取得する見通しを立てることができた。また、これにより醤油や味噌様の製品への加工が想定されたことで、比較対照となりえる食品を対象としたライフサイクルアセスメントにおいて進捗が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度に引き続き、麹菌による発酵を中心とした検討を行う。各種条件で調製した昆虫培地の麹菌培養物について水溶性成分や揮発性成分の分析を行い、原料中のタンパク質等が分解されアミノ酸などの風味成分が形成されることを確認するほか、昆虫種や麹菌株間で生じる差異を明らかにする。この酵素活性や成分組成のデータを昆虫乾燥粉末の製造条件検討へとフィードバックし、酵素活性増強の鍵となるパラメータの特定および乾燥粉砕条件の最適化を進める。また、食用昆虫を原料とする乳酸発酵食品を想定した検討も開始する。まず、原料中に自然に存在する乳酸菌等を培養・純粋分離して各種食用昆虫の細菌叢を明らかにする。次に、昆虫を原料として調製した培地に分離乳酸菌株を発酵スターターとして接種し、増殖の有無や、増殖を促進する培地成分を調査するとともに、発酵物のpHや性状への影響を明らかにする。ライフサイクルアセスメントについては、引き続き醤油製造における環境負荷の解析を行うとともに、昆虫の生産にかかる各種パラメータの調査を進め、昆虫を用いた醤油様製品の製造にかかる環境負荷の予測を行う。
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