Regional carbon dynamics in the agroecosystems utilizing traditional semi-natural grassland
Project/Area Number |
23K23737
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Project/Area Number (Other) |
22H02472 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41050:Environmental agriculture-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
当真 要 北海道大学, 農学研究院, 教授 (10514359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉持 寛太 北海道大学, 農学研究院, 講師 (00225252)
上野 秀人 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (90301324)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
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Keywords | 炭素貯留 / ススキ野草地 / 広域的炭素動態 / 窒素利用効率 / 土壌炭素固定 / 野焼き / 炭化物 / Miscanthus / 窒素循環 / 流域の炭素循環 / 土壌炭素貯留 / 野草地管理 |
Outline of Research at the Start |
地球規模で急激な気候変動が実感される現在、土壌への炭素貯留が益々注目されている。本課題では多量に炭素を蓄積する黒ボク土野草地の炭素蓄積量の広域的定量化と貯留メカニズムの解析を行う。第一に阿蘇地域で広く分布する野草地における土壌炭素貯留能を評価し、土壌への炭素貯留効果を最大とする草地管理法を明らかにする。それと共に、地域の各土地利用における炭素動態を流域レベルで定量化し、先に明らかにした土地利用と管理方法の組み合わせから、地域の炭素貯留を最大化するシナリオを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
・野草地で固定された炭素の農地での炭素固定量の算定:阿蘇地域において野草堆肥を長期連用している農地の土壌調査を実施し、特に黒ボク土圃場の炭素貯留能力が高いことと、野草堆肥の10年以上の連用による土壌炭素貯留速度が122 kgC/ha程度であることがわかった。 ・異なる野草地管理による土壌炭素貯留速度への影響:野焼き管理されている野草地と管理放棄後40年程度が経過し植生が木本主体に変化した放棄地での土壌炭素貯留量およびδ13Cの測定によるC4植物の寄与を評価した結果、野焼き管理野草地では2.66 MgC/ha、放棄地では0.99 MgC/haの土壌炭素貯留速度となった。このことは野焼き管理による草本植生の維持により高い土壌炭素貯留が維持されることと、野草地の放棄は炭素吸収能力が低下すると共に野草地時代に貯留された炭素の損失が生じる可能性を示していた。 ・阿蘇地域の土壌侵食リスクを評価するモデルの構築:阿蘇地域の集水域ポリゴンと国土交通省河水文水質データベースをSWATに導入した。その結果、一定の精度を満たす阿蘇カルデラ内の水収支および土砂流出モデルを構築できた。 ・草地管理の違いによる土壌炭素・窒素循環と植物への影響:1年目に採取した土壌試料の分析から、土壌炭素は減少していたがその減少割合は植物地上部を持ち出す(収穫)することで高くなることがわかった。一方で植物地上部を燃焼させその残渣を投入する管理においては、燃焼残渣が入っているのにもかかわらず土壌炭素の減少量が大きかった。土壌培養試験の結果、燃焼残渣の投入により土壌微生物等の活性が高まり、土壌中に炭素が貯まりにくくなっている可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・野草地で固定された炭素の農地での炭素固定量の算定:1年目に阿蘇国立公園管理事務所の協力のもと野草堆肥を長期連用している農家から許可を得た5圃場の内、調査未実施だった3圃場にて調査を実施した。新しく採取した土壌の炭素貯留量を算出すると共に、1年目に採取した土壌と併せてδ13Cを分析し、全5圃場土壌の野草堆肥由来の炭素貯留速度を算出することができた。 ・阿蘇地域の河川からの炭素流出の測定と地域の炭素収支モデルの構築:1年目に作成した阿蘇地域の集水域ポリゴンを使用し、国土交通省河水文水質データベースを用い、SWATで阿蘇カルデラ内の水収支および土砂流出モデルを構築することができた。このモデルを用い、今後土砂の炭素含量を乗じることで流域からの炭素流出量を求めることができるようになった。 ・草地管理の違いによる土壌炭素と植物への影響:1年目に採取した土壌のδ13Cの分析が終了し、異なる草地管理が土壌炭素へ与える影響についての解析を進めることができた。3年目は改めて土壌を採取し、同様な解析から土壌炭素貯留速度の変化について解析が可能な段階にある。 ・草地管理の違いによる窒素循環への影響:利用を予定していた安定同位体比質量分析計の不具合によりδ15Nの分析が滞っているが、代わりに使用可能な機器を確保する目処が付いたことから、今後分析と解析を進めることができると考えている。 以上より、計画していた調査を予定通り実施できたと共に、分析トラブルの解決の目処も立ったことから、研究はおおむね順調に進展している状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
・ススキ栽培圃場では新しく土壌を採取し、土壌炭素へのススキの寄与の変化を算出すると共に、15Nでラベルした植物の分析と15N窒素の動態を解析し、分解による窒素動態の解析を進める。加えて、土壌炭素減少メカニズムの詳細を検討するために土壌を採取し、室内実験にて土壌有機物分解の特性や微生物活性など生物的な影響を評価する。また、これまでと同様に冬期に地上部バイオマスの測定、刈取と燃焼および残渣の還元により9年目の処理を行う。 ・阿蘇では、野草地の管理状況(野焼や刈取りの有無および野草地から植林地への変換)による土壌炭素蓄積速度や腐植物質の特徴解析のための試料採取を新しく実施する。特に、これまでに実施できなかった草本優先の放棄野草地の土壌炭素貯留メカニズムを解析することで、土壌炭素貯留に対する野焼き管理の影響についてより詳細な解析を実施する。 ・これまでに算出した農地や野草地、放棄や草地の炭素貯留量および炭貯留速度から、阿蘇地域の炭素貯留量および貯留速度を算出する。また河川からの炭素流出量を算出し、対象地域の炭素動態(収支)を試算する。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)