Project/Area Number |
23K23742
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Project/Area Number (Other) |
22H02477 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41050:Environmental agriculture-related
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
近藤 誠 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (50432175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 篤 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (40242937)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,060,000 (Direct Cost: ¥6,200,000、Indirect Cost: ¥1,860,000)
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Keywords | 肉牛 / デンプン / 消化率 / 近赤外分光法 |
Outline of Research at the Start |
日本の肉牛生産では、牛の成長や肥育に必要なエネルギーの多くを海外から輸入する穀類に含まれるデンプンから賄っている。肉牛生産を支えるデンプン資源の利用効率を”農家現場にて”定量的に把握し、デンプン資源の利用効率と肉牛生産性の向上に繋げていくための基盤研究として、次の3課題に取り組む。 研究① 大学等で肉牛のデンプン利用効率を実測し、農家現場で採材が可能な飼料と糞の成分からデンプン利用効率を推定するモデルを構築する。 研究② 赤外分光法によるデンプン利用効率の多検体測定系を確立する。 研究③ 構築したモデルと測定系について農家現場での適応性を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
黒毛和種肥育牛のデンプンの利用効率(消化率)を4か所の異なる農場にて測定した。馴致飼育を1~2週間行ったのち、連続した5日間で給与飼料、残食、糞を収集した。飼料、残食、糞中の酸不溶性灰分含量をマーカーとして飼料全体の消化率を算出した。その後、それらに含まれるデンプン含量を測定し、デンプンの消化率を実測した。昨年度のデータ数(61頭)に55頭分追加して、合計116頭から消化率のデータを得た。 その結果、肥育牛が採食していた給与飼料中のデンプン含量は19.8~47.0%(乾物中)で平均31.8%だった。デンプン消化率は83.9~99.8%,糞中デンプン含量は0.2~15.3%(乾物中)と分布しており,両者には負の相関 関係(r=-0.94)が認められた。これらよりデンプン消化率を推定する式としてy =99.6-0.853x,y;デンプン消化率(%),x;糞中デンプン含量(乾物中%),N=116,R2=0.89,RMSE=1.00を得た。 続いて、北米を中心に海外の肥育牛において消化率を測定した事例と比較するため,肥育牛のデンプン消化率を測定している論文(1993年から2022年)を収集した。50報の文献に含まれる251の処理区より糞中デンプン含量とデンプン消化率を抽出し,デンプン消化率と糞中デンプン含量の関係を解析した。文献中に糞中デンプン含量の記載がないものは,飼料中デンプン含量,乾物摂取量,乾物およびデンプン消化率から糞中デンプン含量を算出した。 その結果、海外の文献から作成した推定式は y=99.3-0.47xとなり,本研究の黒毛和種から得られた推定式の傾き(-0.85)は,海外で行われた肥育牛の論文から作成した推定式の傾き(-0.47)と比べて有意に小さい値を示した(p<0.01)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
黒毛和種において糞中デンプン含量のみからデンプン消化率を予測できる可能性を示した。特に飼育環境が異なる4か所の農場から、延べ116頭分のデータから推定式を構築できたことから、得られた推定式は汎用的であり、農家現場や研究機関でも利用できる可能性を十分に有している。また、北米などの肥育牛においてデンプン消化率と糞中デンプン含量の関係を表した式と比べて有意に異なったことから、我々が構築したデンプン消化率の推定式は日本で飼育される黒毛和種肥育牛に適したものであると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
黒毛和種肥育牛を対象に、糞中デンプン含量のみからデンプン消化率を予測することが可能となった。しかし、将来的に多くの農家現場にて実態調査を進めていくためには、糞中デンプン含量を簡易かつ迅速に測定できる方法を構築する必要がある。現状行っている酵素反応による化学分析では測定に時間や労力がかかるため、今後は近赤外分光法により糞中デンプン含量を予測する検量モデルを構築する。そのため、黒毛和種肥育牛の糞を対象に近赤外分光光度計にてスペクトルデータの収集を行う。
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