Development of control method for soil-borne disease "bacterial wilt" using citric acid + iron solution
Project/Area Number |
23K23743
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Project/Area Number (Other) |
22H02478 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41050:Environmental agriculture-related
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
松添 直隆 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (50239018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 弘美 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (30326491)
近藤 謙介 鳥取大学, 農学部, 准教授 (70403376)
森 太郎 滋賀大学, 教育学系, 准教授 (90725053)
中原 浩貴 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 特別研究員(PD) (30828364)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,940,000 (Direct Cost: ¥13,800,000、Indirect Cost: ¥4,140,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2022: ¥11,830,000 (Direct Cost: ¥9,100,000、Indirect Cost: ¥2,730,000)
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Keywords | 青枯病 / 非病原化 / 鉄 / クエン酸 / 土壌病害 / プラントアクティベーター / 生物的防除 / クエン酸鉄アンモニウム / 土壌伝染性病害 |
Outline of Research at the Start |
土壌伝染性病害である青枯病は安定的な作物生産を脅かす土壌伝染性病害で、世界中で深刻な問題である。世界中で重要な野菜であるトマト・ジャガイモなどのナス科植物をはじめ、200種以上の作物を萎凋・枯死させる。本病害の対策として、耕種的防除法、化学的防除法、物理的防除、生物的防除等があるが、それぞれに課題がある。そこで、本研究の目的は、低濃度のクエン酸溶液に鉄を添加した溶液(以下、クエン酸+鉄溶液)により青枯病菌の病原性野生株が表現型変異株(非病原化、Phenotype conversion;以下、PC化)になることに着目した防除法の開発である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、クエン酸+鉄溶液や低濃度のエタノール溶液により青枯病菌の病原性野生株が表現型変異株(非病原化、Phenotype conversion;以下、PC化)になる現象に着目して以下の実験を行った。 ①PC化の技術確立:クエン酸+鉄溶液添加による安定的なPC化の技術開発を目的にMM培地に1%クエン酸鉄アンモニウム溶液を添加することで青枯病菌株のPC化が得られるin vitro実験系を確立した。同実験系においてPC化への影響は青枯病菌株で異なることが明らかになった。②環境評価:土壌での青枯病菌のPC化を想定し、ナスで発病が抑制される菌密度やPC化頻度を検討した結果、低菌密度で高頻度にPC化させる必要があると考えられた。発病抑制個体では、クロロフィル蛍光測定により光合成能力が低下せず生育することが示唆された。③生産評価:プランター試験ではトマトとジャガイモを、圃場試験ではジャガイモを供試した。クエン酸+鉄溶液として、珪鉄と20%のクエン酸を混合してろ過した溶液を異なる倍率で希釈して処理を行った。その結果、クエン酸の濃度が1.0%以下に希釈した溶液の処理ではトマトおよびジャガイモの生育阻害が発生しないことがプランターおよび圃場試験において、明らかとなった。④科学的検証:Ralstonia solanacearumの野生株(8238株)とそのPC変異株(8238PC株)のRNAseqによる発現解析を行なったところ、自発的なPC株ではこれまでPC化に関わると考えられてきた病原因子調節遺伝子(phcA)の発現は起こっており、この遺伝子の機能欠損がPC化に関わるかは疑問であった。そこで比較ゲノム解析を行ったところ、PC株ではphcA 遺伝子、セルロース分解酵素遺伝子(cbhA)、菌体外多糖類(EPS)合成系遺伝子に変異は見られず、phcB遺伝子に多くの点変異やフレームシフトが見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①系統の異なる青枯病菌Ralstonia psedosolanacearum 23菌とRalstonia syzygii subsp. Indonesiensis 2菌を供試した。菌株別でPC化率を比較すると, 平均値56.1%を上回る菌株がみられ, 中には80%に近い菌株が存在した. 宿主別では, ナスとトマトはPC化率の高いものから低いものまであった。同実験系において青枯病菌株によりPC化への影響が異なることが明らかになった。②青枯病菌汚染土壌において野生株を低密度で高頻度にPC化させることで高い発病抑制効果が期待できることが考えられた。また、発病抑制された個体では、クロロフィル蛍光測定により光合成能力が低下せずに生育することが示唆された。さらに、無菌条件下の試験において、オートクレーブした低濃度エタノールが土壌中の野生株を高頻度にPC化させることが推察された。③クエン酸+鉄溶液として、珪鉄を用いてトマトおよびジャガイモの生育に及ぼす影響を検討した。その結果、生育阻害が生じない水溶液処理濃度の目安を把握することができた。また、珪鉄に加え、他の鉄資材の施用について検討を開始した。④PC株は野生株と比較して、サイレント変異やフレームシフトなどの遺伝子の変異(塩基の置換・欠失・挿入)が見られた。このことから、遺伝子のみならず、構造遺伝子上流のプロモーター領域や発現調節領域の変異も考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は①~④である。①本研究成果の実用化向けて、In vitro実験系で得られたPC化を起こす処理を基に、プランター等を用いたIn vivo実験系で試験を行う。鉄資材として、クエン酸鉄アンモニウム溶液や重焼燐ミックスを供試する。またクエン酸鉄溶液や土壌中の溶存鉄量や三価鉄量を測定し、PC化と鉄濃度との関係を明らかにする。②低濃度エタノールをオートクレーブした場合のエタノール濃度の変化や溶液中の物質の変化を分析する。検出された物質を用いて、無菌条件下での青枯病菌のPC化について調査する。低濃度エタノールを混和した土壌のATPや微生物多様性の変化を調査して、クエン酸+鉄溶液による変化と比較・検討する。③鉄資材として、重焼燐ミックスを供試し、トマトおよびジャガイモの生育に及ぼす影響を検討する。重焼燐ミックスの施用量は、クエン酸+鉄溶液を珪鉄で作成した条件に準じて行うことを基本とし、処理区を設ける。トマトの栽培では第3果房が収穫できるまで行い、生育、収量、および果実品質(糖度および酸度など)を調査する。また、トマトの幼植物を用いて、鉄資材として重焼燐ミックスを用いた場合の処理濃度について生育に及ぼす影響も検討する。④野生株からPC株への変異はいくつものパターンが考えられるので、多くの種類のゲノム情報を野生株およびPC株同士で比較する。これらの情報とRNAseqの発現解析、さらには表現型(病原性の程度)を総合的に比較・検討する。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)