Project/Area Number |
23K23755
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Project/Area Number (Other) |
22H02490 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42010:Animal production science-related
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
喜多 一美 岩手大学, 学長・副学長等, 理事 (20221913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村岡 宏樹 岩手大学, 理工学部, 准教授 (50546934)
牧野 良輔 岩手大学, 農学部, 准教授 (80772821)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,450,000 (Direct Cost: ¥6,500,000、Indirect Cost: ¥1,950,000)
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Keywords | アマドリ化合物 / アミノ酸 / 糖化反応 / 半減期 / ニワトリ / 血中半減期 / 血漿 / グルコース / 3-デオキシグルコソン / フルクトサミン-3-キナーゼ / 血漿濃度 |
Outline of Research at the Start |
ニワトリの血糖値は、ヒトの正常血糖値と比べて3倍程高い値を示す。高血糖条件下では、アミノ酸のアミノ基がグルコースのアルデヒド基と求核付加反応的に結合し、アマドリ転位反応を経てアミノ酸アマドリ化合物を生成する。血漿中のアミノ酸アマドリ化合物濃度は、1)アミノ酸とグルコースからの非酵素的糖化反応による生成、2)アミノ酸アマドリ化合物分解酵素による分解及び3)アミノ酸アマドリ化合物の排泄によって制御されていると考えられる。本研究ではアミノ酸アマドリ化合物の生成・分解・排泄が、血漿中アミノ酸アマドリ化合物濃度の制御にどの様に関与しているのか調査する。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度では、第一に、「課題①:非酵素的糖化反応によるアミノ酸アマドリ化合物の生成速度」について研究を進めた。ニワトリにおけるグルコースおよびアミノ酸の生理的濃度を2 mMおよび20 μMとし、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水にグルコースとリジンを各々2 mMおよび20 μMとなるように溶解した。グルコースとリジンの混合溶液を41℃で3日間保温し、毎日リジンアマドリ化合物濃度を測定した。回帰分析の結果、1日当たりのリジンアマドリ化合物濃度増加速度は4 μM/dayとなった。 第二に「課題②:フルクトサミン-3-キナーゼによるアミノ酸アマドリ化合物の分解速度」について研究を進めた。ニワトリから麻酔下で心臓採血を行った。血液にリジンアマドリ化合物を100 μMになるように添加し、37℃で12 時間インキュベーションした。その後、アセトニトリルを用いて除タンパク質を行い、クロロホルム-メタノール混合溶液を用いて脱脂を行い、LCMSを用いてリジンアマドリ化合物濃度を測定した。1日当たりのリジンアマドリ化合物濃度減少速度を計算したところ358 μM/dayとなった。 第三に、「課題③:血漿中アミノ酸アマドリ化合物の半減期と排泄速度」について研究を進めた。ニワトリにグリシンアマドリ化合物、アラニンアマドリ化合物、グルタミン酸アマドリ化合物およびアスパラギン酸アマドリ化合物を静脈注射した。注射後、15分、30分、60分、120分、180分、360分および720分後に採血を行い、血漿中アミノ酸アマドリ化合物濃度を測定した。グリシンアマドリ化合物およびアラニンアマドリ化合物の血中半減期は、40.3分および27.6分であった。グルタミン酸アマドリ化合物およびアスパラギン酸のアマドリ化合物は静脈注射後の血中濃度上昇が確認できず、半減期は算出できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4-5年度において、「課題①:非酵素的糖化反応によるアミノ酸アマドリ化合物の生成速度」に関する研究を行い、高血糖動物であるニワトリの生理的血漿中グルコースおよびリジン濃度条件下における1日当たりのリジンアマドリ化合物濃度増加速度は4 μM/dayであることを示した。 また、「課題②:フルクトサミン3-キナーゼによるアミノ酸アマドリ化合物の分解速度」に関する研究を行い、LCMSを用いてアミノ酸アマドリ化合物の分解産物である3-デオキシグルコソンの測定法を確立した。また、ニワトリの血液にリジンアマドリ化合物を100 μMになるように添加し、37℃で12 時間インキュベーション後に、LCMSを用いてリジンアマドリ化合物濃度を測定した。その結果、1日当たりのリジンアマドリ化合物濃度減少速度を計算したところ358 μM/dayであることを示した。 さらに、「課題③:血漿中アミノ酸アマドリ化合物の半減期と排泄速度」に関する研究を行い、バリンアマドリ化合物、グリシンアマドリ化合物、イソロイシンアマドリ化合物、ロイシンアマドリ化合物、フェニル-アラニンアマドリ化合物、トリプトファンアマドリ化合物、チロシンアマドリ化合物、グリシンアマドリ化合物およびアラニンアマドリ化合物、グルタミン酸アマドリ化合物の血中半減期は、それぞれ39分、37分、58分、41分、24分、54分、35分、40分及び28分であることを示した。グルタミン酸アマドリ化合物およびアスパラギン酸のアマドリ化合物は静脈注射後の血中濃度上昇が確認できず、半減期は算出できなかった。 以上より、総研究期間3年間の内2年間が終了した段階において、期待された結果が得られていることから、「研究は概ね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5度において、「課題③:血漿中アミノ酸アマドリ化合物の半減期と排泄速度」に関する研究の中で、ニワトリにグルタミン酸アマドリ化合物およびアスパラギン酸のアマドリ化合物を静脈注射したところ、注射後の血中濃度上昇が確認できず、半減期は算出できなかった。これは、これらのアミノ酸アマドリ化合物の血中半減期が極めて速い可能性が考えられる。したがって、令和6年度では、ニワトリにグルタミン酸アマドリ化合物およびアスパラギン酸のアマドリ化合物を静脈注射し、注射後、1分、2分、5分、10分および15分後に採血を行い、血漿中アミノ酸アマドリ化合物濃度を測定する。この時間内においてアミノ酸アマドリ化合物濃度の上昇が認められた場合には、非線形回帰分析を行い血中アミノ酸アマドリ化合物の半減期を算出する予定である。 また、ある種のアミノ酸アマドリ化合物は一定の血漿中濃度を保つことから、アミノ酸アマドリ化合物に結合し、分解・排泄から保護しているタンパク質の存在が考えられた。そこで、最も高い血漿中濃度を示したリジンアマドリ化合物を放射性同位元素(14C)で標識し、ニワトリの血漿と共に4℃で一晩インキュベーション後、分子ふるいカラムクロマトグラフィーで分画して各画分の放射能を測定する。ここで、タンパク質画分に放射能が検出されれば、14C標識リジンアマドリ化合物がタンパク質に結合したことになる。次に、2次元電気泳動と14C標識リジンアマドリ化合物を用いたオートラジオグラフィーによりアミノ酸アマドリ化合物結合タンパク質を単離し、TOF-MS/MSを用いてアミノ酸配列を決定後(外注)、タンパク質を同定する予定である。
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