原虫感染マダニにおける臓器特異的ビテロジェニンの機能解明
Project/Area Number |
23K23777
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Project/Area Number (Other) |
22H02512 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42020:Veterinary medical science-related
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
白藤 梨可 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 准教授 (00549909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麻田 正仁 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 准教授 (40587028)
近藤 大輔 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (90708364)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,800,000 (Direct Cost: ¥6,000,000、Indirect Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | マダニ / 卵黄タンパク質前駆体 / バベシア / 脂肪体 / 卵巣 / 中腸 / 体液 / 原虫伝播 |
Outline of Research at the Start |
卵黄タンパク質前駆体(ビテロジェニン;Vg)はマダニの卵形成に必須の分子であり、消化管(中腸)、脂肪体、卵巣で合成される。我々はこれまで、原虫感染時に脂肪体特異的Vg(Vg-2)の合成が亢進すること、Vg-2遺伝子発現抑制マダニでは体液中の原虫数が減少することを見出した。加えて、原虫感染時には中腸特異的Vg遺伝子(Vg-1)の発現も増大するという予備データを得ている。本研究では、「マダニ体内における原虫伝播成立の鍵分子は臓器特異的Vgではないか?」という仮説を検証するため、①臓器特異的Vg遺伝子発現抑制マダニ、②Vg合成阻害剤・促進剤処理マダニを用い、原虫感染時の各Vgの機能を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
(1)Babesia ovata感染マダニにおける中腸特異的Vg-1の機能について検証した。人工吸血法によりB. ovata感染(iRBC群)または非感染(RBC群)牛赤血球をフタトゲチマダニ雌に吸血させ、飽血後0~2日目に解剖し、中腸より抽出したTotal RNAをVg-1遺伝子発現解析に供した。卵巣よりゲノムDNAを抽出し、B. ovata β-tubulin遺伝子検出のサンプルとした。次に、Vg-1遺伝子発現抑制のための二本鎖RNAを雌ダニに接種後、上述と同様にB. ovata感染牛赤血球を吸血させ(Vg-1 RNAi群)、卵巣およびその他の臓器(Carcass; CA)におけるB. ovata β-tubulin遺伝子の検出を行った。その結果、中腸におけるVg-1遺伝子発現レベルは飽血後1日目および2日目のiRBC群においてRBC群に比べ有意に上昇すること、iRBC群におけるB. ovata β-tubulin遺伝子は飽血後0日目以降の卵巣において検出され、飽血後2日目に最も高い検出率を示したことを見出した。また、Vg-1 RNAi群のB. ovata β-tubulin遺伝子検出率は対照群と比べて有意差は無かったが、CAにおけるB. ovata β-tubulin遺伝子の相対値(Vg-1 RNAi群/対照群)は経日的に増加傾向だった。これらのことから、B. ovata感染マダニの中腸ではVg-1遺伝子発現が上方調節され、体液中に分泌されたVg-1はB. ovataの中腸からその他の臓器への移行と生存に関与することが推測された。 (2)上記(1)で得た知見と確立した実験手法を、中腸上皮細胞のin vitro培養法ならびに中腸上皮細胞とB. ovataのin vitro共培養法へと応用すべく、種々の条件検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究実績の概要】に記載の内容に関し学会発表を行い、研究成果の公表に努めた。なお、その内容については国際学術誌への投稿準備を進めている。今年度に得た知見ならびに確立した研究手法は、来年度以降の研究推進に繋がる重要な成果であり、おおむね順調に進展したと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に得られた研究成果をもとに、2024年度計画に沿って以下の内容について取り組む。 (1)RNA干渉法によりVg-1、Vg-2、Vg-3遺伝子発現抑制マダニを作出し、昨年度までに確立したin vitro実験系により、中腸におけるBabesia ovata感染能を評価する。in vivo実験系においては、中腸の他、脂肪体、体液、卵巣(卵母細胞)を採取し、各臓器におけるB. ovataのライブイメージングと核酸・タンパク質サンプル中のB. ovata検出を行うとともに、中腸・卵巣組織切片の観察を行う。 (2)Vg合成関連分子についても遺伝子発現抑制を行い、各臓器におけるB. ovata検出と組織学的解析を行う。 (3)in vitroならびにin vivo実験系において、Vg 合成阻害剤・促進剤がマダニ体内におけるB. ovata伝播に与える影響を、分子・細胞レベルで検証する。 (4)研究期間内に得られたすべての結果を総括し、マダニ体内におけるバベシア伝播への臓器別Vgの寄与について明らかにする。研究成果について学術誌、国内・国際学会にて発表し、積極的に発信する。
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Report
(2 results)
Research Products
(16 results)