Project/Area Number |
23K23786
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Project/Area Number (Other) |
22H02521 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42020:Veterinary medical science-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡辺 登喜子 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (60557479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
七戸 新太郎 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (80737148)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | コロナウイルス / ウイルス検出系 / コウモリ / 異種間伝播 / サーベイランス |
Outline of Research at the Start |
本研究では、コウモリの保有するベータコロナウイルスのパンデミックポテンシャルを評価することを目的として、1)公共のデータベースを用いて、コウモリ由来のベータコロナウイルスの網羅的検索、およびヒトのベータコロナウイルスを含めた分子系統解析を行い、ヒトへの適応に重要なアミノ酸配列を予測する。また、2)ベータコロナウイルスの異宿主間伝播に関する分子基盤を解明するために、本ウイルスのヒトへの適応に重要な因子(ウイルス蛋白質やアミノ酸変異)を同定する。さらに本ウイルスの監視体制の強化を目指して、3)環境試料から高感度にウイルスを検出するシステムを開発し、実際のサーベイランスへの適用を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
コウモリは、コロナウイルスの自然宿主の一つであるため、コウモリが保有するコロナウイルスのサーベイランスは、将来的に発生しうる人獣共通感染症の予測のためにも重要である。コロナウイルス遺伝子を検出する方法として、RT-PCR法と次世代シークエンス法が用いられているが、それぞれ、特異的なウイルス遺伝子しか検出できない、あるいは感度が低いといった問題がある。そこで本研究では、コロナウイルスを網羅的かつ高感度に検出するために、バイオインフォマティクス解析によって設計した縮重プライマーを用いたRT-PCR法の確立を試みた。 バイオインフォマティクス解析によって、データベースに登録されている数百種類のコロナウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼ遺伝子配列に対する39種類の縮重プライマーを設計した。これらのプライマーペアを用いて、RT-PCRの条件設定を行ない、最適なプライマー濃度、アニーリング温度、PCR酵素等を決定した。最適化した条件下で、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、ガンマコロナウイルス、デルタコロナウイルスから抽出したRNAを用いてRT-PCRを行ったところ、目的のサイズである400から450bp付近にバンドが検出された。 以上、本研究では、縮重プライマーを用いて、コロナウイルス遺伝子を包括的に検出できるRT-PCR法を確立した。現在、本手法が野外サンプルに対しても有効であるかを検証するために、アフリカ・シエラレオネで採取したコウモリ臓器から抽出したRNAを用いて、コロナウイルスゲノムの検出を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、SARS-CoV-2を特異的に検出する系は複数存在するが、包括的にコロナウイルスを検出する方法は確立されていない。本研究では、データベース上のコロナウイルス遺伝子配列を基に、バイオインフォマティクス解析を行い、ベータコロナウイルスを包括的に検出する高度縮重PCRプライマーを設計し、検出条件の検討を行なった。その結果、39種類の縮重プライマーセットと最適化したRT-PCR条件(プライマー濃度、アニーリング温度、PCR酵素等)を用いることによって、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、ガンマコロナウイルス、デルタコロナウイルスの遺伝子を検出する方法を確立することができた。現在、本手法が野外サンプルに対しても有効であるかを検証するために、アフリカ・シエラレオネで採取したコウモリ臓器から抽出したRNAを用いて、コロナウイルスゲノムの検出を試みている。以上の結果が得られたことから、本研究は、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、国内外における水禽や野生動物から採取したサンプルの解析データを用いて、新規ウイルスの探索を試みる。具体的には、シエラレオネとブラジルで採取したコウモリの臓器サンプルから抽出したRNAサンプルにおいて、本研究で開発した39種類の縮重プライマーセットと最適化したRT-PCR条件を用いて、包括的なコロナウイルス遺伝子の検索を実施する。また、公共のデータベースを用いて、コウモリ由来のベータコロナウイルスの網羅的検索、およびヒトのベータコロナウイルスを含めた分子系統解析を行い、ヒトへの適応に重要なアミノ酸配列の予測を試みる。さらにコロナウイルスの異宿主間伝播に関する分子基盤を解明するために、本ウイルスのヒトへの適応に重要な因子(ウイルス蛋白質やアミノ酸変異)の同定を試みる。
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