Project/Area Number |
23K23801
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Project/Area Number (Other) |
22H02536 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42040:Laboratory animal science-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中田 和人 筑波大学, 生命環境系, 教授 (80323244)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥16,640,000 (Direct Cost: ¥12,800,000、Indirect Cost: ¥3,840,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
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Keywords | ミトコンドリアゲノム / 突然変異 / モデルマウス |
Outline of Research at the Start |
ミトコンドリアゲノム(mtDNA)の突然変異が、ミトコンドリア病、糖尿病、神経変性疾患、不妊症、がん、老化などの遺伝的な原因になる可能性が示唆されているものの、「変異型mtDNA分子がどのようにしてこれほどまでに多様な病型を誘導するのか?」といった根源的な命題は未だに解明されていない。本研究では、変異型mtDNAを導入したマウスの作製と活用、さらには、他の遺伝子改変マウスとの交配を通して、変異型mtDNA分子種がいかにして多様な病態を誘導するのかを明らかにすることを目指している。
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Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアゲノム(mtDNA)の突然変異が、ミトコンドリア病、糖尿病、神経変性疾患、不妊症、がん、老化などの遺伝的な原因になる可能性が示唆されているものの、「変異型mtDNA分子がどのようにしてこれほどまでに多様な病型を誘導するのか?」といった根源的な命題は未だに解明されていない。本研究では、変異型mtDNAを導入したマウスの作製と活用、さらには、他の遺伝子改変マウスとの交配を通して、変異型mtDNA分子種がいかにして多様な病態を誘導するのかを明らかにすることを目指している。今年度は、昨年度樹立に成功したミトコンドリアtRNALeu(UUR)遺伝子にA2748G点突然変異(ヒトではA3302Gに相当)を有するmtDNA分子種を導入したマウスの加齢病態の解析を実施した。その結果、生後10ヶ月までに、軽度のミトコンドリア病、糖尿病と脂肪肝をともなう肝機能障害が誘導されるが、その後、脂肪肝は寛解し、肝機能障害の増悪化が観察された。さらに、記憶障害の発症を観察することができた。また、欠失型mtDNAを導入したモデルマウスを活用してミトコンドリア病の病態マーカーとして注目されているGDF15とFGF21を発現している臓器とそれらを感受する臓器に関する解析を進めた。さらに、欠失型mtDNAを導入したモデルマウスの核背景を糖尿病の核背景に置換したモデルマウスの解析を継続し、骨格筋における病態解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、変異型mtDNA分子種を導入したマウス群の作製と活用を通して、変異型mtDNA分子種による病型形成機構を、1)変異型mtDNA分子種間の差異による制御、2)細胞・組織特異的な変異型mtDNA分子種の蓄積動態や感受性による制御、3)臓器間のクロストークによる制御、4)核ゲノム背景やストレス環境下での高次病原性制御という多階層病理として捉えることで、ミトコンドリアセントラルドグマの破綻による病態表現型の多様性を理解することを目指している。 今年度は、1)の目的に合致した成果として、昨年度樹立に成功した新たな変異型mtDNA分子種を導入したマウスの解析を継続することで、導入した変異型mtDNA分子種の増減がないにもかかわらず加齢依存的に病態表現型が遷移することを見出した。また、3)の目的に合致した成果として、これまでに樹立しているモデルマウスを活用することでミトコンドリア病の病態マーカーとして注目されているGDF15とFGF21を発現している臓器とそれらを感受する臓器をマッピングすることができた。4)に合致する成果として、糖尿病の核背景では変異型mtDNAを蓄積した骨格筋ではグルコースの取り込みと解糖系の増強をともないながら変異型mtDNAの病原性が増強する現象を見出した。これらのことから、おおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
ここ数年の技術革新によって、哺乳類のmtDNAにようやく人工的な突然変異を導入できるようになってきているが、このような変異型mtDNAを濃縮することが極めて困難であるため、病態を発症するようなモデルマウスの作製には至っていない。我々は以前から体細胞突然変異によって生じた変異型mtDNA分子種を含有するマウス培養細胞を獲得し、そのミトコンドリアをマウスES細胞に細胞質移植することで突然変異型mtDNA分子種を導入した病態モデルマウスの作製を行なっている。ミトコンドリア老化モデルマウスであるPolG-mut/mutマウスから作製した細胞質雑種細胞(サイブリッド)集団からA2689G変異型mtDNA(ヒトではA3243Gに相当:MELAS変異)含有されるサイブリッドを単離できているため、このサイブリッドのクローニングを繰り返すことで、A2689G変異型mtDNAを濃縮し、新たなモデルマウスの樹立につなげたい。 今年度までの解析から新たに作製したモデルマウスでは加齢依存的に病態表現型が遷移することを突き止めている。このような遷移の機構を理解することで、ミトコンドリア遺伝子疾患の多様性をつくりだす原動力の一端を解明したい。
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