Project/Area Number |
23K23847
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Project/Area Number (Other) |
22H02583 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43040:Biophysics-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原田 慶恵 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (10202269)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
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Keywords | 細胞内温度計測 / 細胞分化 |
Outline of Research at the Start |
我々は、高性能蛍光性高分子温度センサーと蛍光寿命イメージング顕微鏡を用いて、生細胞内の温度分布を観察する方法を開発した。この技術により、核の温度が細胞質の温度より高いことや一部のミトコンドリアの温度が高いことが明らかになった。これらの発見は、細胞が局所的な温度変化を通じて機能を制御している可能性を示唆している。そこで我々は細胞の分化過程における細胞内の温度の役割について検討し、細胞が熱産生をコントロールし、分化を調節するメカニズムの解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年までの実験で、加熱によりPC12細胞の神経突起の伸長が促進されることが明らかになった。そこで、神経突起伸長にかかわりのある転写、翻訳、アクチン重合の3つの反応をそれぞれアクチノマイシンD、シクロヘキシミド、サイトカラシンDで阻害したとき、PC12細胞の分化と細胞内の温度がどのような影響を受けるのかを調べた。その結果、効果の違いはあるものの神経突起の伸長はいずれも有意に抑制された。次にそれぞれの反応を阻害した際の細胞内の温度計測を行い、核と細胞質に分けて細胞内の温度を解析した。核内の温度は、転写を阻害した細胞において著しく低下した。一方、細胞質の温度は、転写と翻訳を阻害した細胞において、著しく低下した。これらの結果から、神経分化時の細胞内温度上昇が転写や翻訳の活性化と密接に関係していることが示唆された。今回温度計測に用いた蛍光高分子温度計(FPT)は特定の温度域で相転移により構造が変化するが、その際周囲の熱を吸収する。通常の細胞内温度計測は0.5%(w/v)で行っているため、細胞内の熱吸収の効果は少ないが、2倍濃度1%(w/v)のFPTを加えると、FPTが熱を吸収し細胞内の温度が低下する。そこで、1%(w/v)のFPTを細胞に顕微注射によって注入し、NGF添加24時間後の突起の形成率を調べた。コントロールとして、培地温度37℃では、熱吸収しないコントロールポリマー(CP)を使用した。高濃度のFPTを注入した細胞では、突起の形成率が劇的に低下した。さらに興味深いことに、高濃度のFPTを注入し温度上昇を抑制した細胞の核内を赤外レーザーで加熱することで、突起を伸長した細胞の割合が回復する結果が得られた。これらの結果から、神経分化時の自発的な熱産生は単なる細胞内反応の副産物ではなく、神経分化に必要な事象であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、『細胞自身が自発的な熱産生を行い、細胞内の局所温度を変化させることで機能を制御している』という仮説を検証することである。今年度に行った阻害剤を用いた実験から、神経分化時の細胞内温度上昇(自発的な熱産生)が転写や翻訳の活性化と密接に関係していることが明らかになった。また、高分子による熱吸収の実験から、神経分化時の自発的な熱産生が単なる細胞内反応の副産物ではなく、神経分化に必要な事象であることが示唆される結果が得られたことから、本研究の目的達成に近づいた。
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Strategy for Future Research Activity |
蛍光ナノダイヤモンド (FND)を使った細胞内温度計測法の確立、各種細胞小器官局在化シグナルを付与したダイヤモンドナノ粒子を作製し、細胞内小器官にFNDをターゲットし、細胞内小器官局所の温度計測法の確立を目指す。さらに、細胞小器官局在化シグナルを付与したポリドーパミン修飾FNDを用いて、細胞小器官を温度をモニターしながら局所加熱した時に、細胞がどのような応答をするのかについて調べる。核と細胞質および各種細胞小器官をNGF添加の有無、NGF添加後の時間、加熱する温度などの様々な条件の組み合わせでの実験から、その後の細胞分化や細胞内温度がどのような影響を受けるかを明らかにすることで、細胞が熱発生をコントロールし、分化を制御するメカニズムの解明を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(24 results)