Project/Area Number |
23K23857
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Project/Area Number (Other) |
22H02594 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43040:Biophysics-related
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
加藤 昌人 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 上席研究員 (30867768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 健太郎 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, チームリーダー (00360404)
中川 洋 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (20379598)
中林 孝和 東北大学, 薬学研究科, 教授 (30311195)
松尾 龍人 広島国際大学, 保健医療学部, 准教授 (60623907)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
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Keywords | 液‐液相分離 / low-complexity domain / cross-b fiber / 神経変性疾患変異 / phase separation / cross-beta polymer / neutron scattering / circular dichroism / Raman spectrum / 高速原子間力顕微鏡 / 液-液相分離 / CD / ラマン顕微鏡 / 中性子散乱 / クロスβ構造 / low-complexityドメイン / 相分離 / ALS変異体 / low-complexity sequence / 放射光CD / ラマンスペクトル / 相分離液滴 |
Outline of Research at the Start |
細胞内には、膜で仕切られた小器官(ミトコンドリアや小胞体)とは別に、タンパク質や核酸が凝集して形成された膜の仕切りを持たない柔らかい構造体も多数存在する。その形成は、水と油が混ざらずに液滴のように分離するのとよく似た機構(液‐液相分離)によって起こることがわかってきたが、まだ分子レベルでのメカニズムについては研究過程である。本研究では、相分離液滴に物理的に接触しない光を用いた計測方法を中心に研究する。
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Outline of Annual Research Achievements |
加藤グループは、FUS LCDの線維を高速AFMで観測する方法を確立し、1,6-hexandiolで線維が溶解する様子をリアルタイムで観測することに成功した。また、TDP43 LCDの1分子観測にも成功した。引き続きFUSの相分離液適用サンプルを各グループに提供した。 中川・松尾グループは、温度を下げると相分離するFUS LCD試料について、中性子小角散乱測定を行った。その結果、36℃から5℃に温度を下げると小角側の散乱強度が強くなり、5℃では液滴中に大きな構造体が生じることが分かった。散乱プロファイルの解析の結果、野生型と変異型でそのサイズに違いがあることが示唆された。前年度の測定よりも試料の濃度を上げることでシグナル精度は上がり、構造解析が可能になった。 藤井グループでは、相分離状態のFUS LCD試料について、放射光VUV-CDスペクトルの測定方法の改良を行った。相分離液滴が入射する放射光を散乱するため、CDスペクトル上に散乱の影響が現れる。相分離による構造変化のみを抽出するための多変量解析を進めている。また、変異体FUS LCDのCDスペクトル測定を行い、野生型と変異型とで相分離状態保持時間に依存した構造変化の違いがあることが分かった。 中林グループでは、ラマンイメージングを用いてHis-Tagを含まないFUS LCDおよびFUS全長の単一液滴内の構造・濃度・時間変化について検討を行った。その結果、タンパク質のHis-Tagの有無で液滴内の濃度が変化することを示した。また、FUS全長の液滴にRNAを滴下すると、あるRNAは液滴内に濃縮し液滴から凝集物への変化を抑制すること、また別のRNAでは濃縮されず液滴を解消させることを示した。ラマンイメージングの液滴内濃度定量法を複数の成分系に応用することを目指し、ペプチドとRNAからなる単一液滴の濃度定量ができることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加藤グループ:高速AFMで、線維の分解の様子と単一LCD分子の観測に成功したため。 中川・松尾グループ:測定試料の濃度を上げるなどの試料調製の工夫により、野生型と変異体の液滴中の構造体を検出でき、またそれら構造状態の違いを示唆するなど、野生型と変異体の構造変化を解析できたため。 藤井グループ:試料溶液中にわずかに残留している塩素などの影響によりCDスペクトルのバックグラウンドが190nm付近で増加したが、全体的には良好なスペクトルを得ることができたため。 中林グループ:ラマンイメージングを用いて単一液滴内のタンパク質の構造と濃度の時間変化を追跡することができた。RNAの滴下によりFUS液滴の時間変化が大きく変化し、またRNAの配列によっても時間変化の挙動が異なることも示すことができた。ラマンイメージングはラベルフリーかつ単一液滴の状態で分子情報を取得でき、他の手法では得ることが難しいユニークな情報が得られることを提案できている。
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Strategy for Future Research Activity |
加藤グループ:高速AFMを用いて、TDP43 LCD線維の1,6-HDやH2O2酸化による溶解の様子を観測する。高速AFMでFUS LCDとTDP-43 LCDの野生体と変異体モノマー分子の動態の違いを観測する方法を検討する。複数のモノマー分子の衝突・液滴核形成を撮影するための条件検討をする。 中川・松尾グループ:中性子小角散乱実験で得られた野生型と変異体の違いをより詳細に調べるため、X線小角散乱実験を実施する。ギニエ解析による慣性半径を指標とした解析や中性子小角散乱プロファイルで確認されたピークの解析などを行い、液滴形成による構造変化や変異による構造状態の違いを解析する。 藤井グループ:試料高純度試料のCDスペクトルの測定を行うとともに、同時に測定した吸収強度からの試料濃度の校正から精確なCDスペクトル解析を行う。その後、試料作製後の経時的な変化を追跡することで、繊維状態の蓄積に関する情報を得る予定である。 中林グループ:FUSの液滴から凝集体への時間変化の変異依存性について、変異の系統的な測定を行い、液滴形成・凝集体への時間変化を支配する因子を明らかにする。また、緩衝溶液のみではなく、細胞内にあるFUS液滴のラマンイメージング測定も目指す。RNAの添加による液滴内のタンパク質の濃度・分子間相互作用変化を検討し、RNAが凝集化の抑制および液滴を解消させる機構を明らかにする。
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