Project/Area Number |
23K23894
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Project/Area Number (Other) |
22H02631 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44020:Developmental biology-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
日比 正彦 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (40273627)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | プルキンエ細胞 / ゼブラフィッシュ / 小脳 / 転写因子 / 遺伝子発現 |
Outline of Research at the Start |
小脳は円滑な運動制御や運動学習だけでなく、恐怖応答学習など情動に関わる高次機能にも関与する脳の領域である。小脳の主要ニューロンであるプルキンエ細胞は、発生過程で作られる神経前駆細胞に由来するが、プルキンエ細胞は小脳内の局在により、異なる軸索・樹状突起形態をもち、異なる入力と出力ニューロンと接続を行い、異なる機能をもつ。本研究では、プルキンエ細胞が神経前駆細胞から作られ多様性を獲得するメカニズムを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ニューロンは神経前駆細胞から分化し、複雑で機能的な神経回路を形成する。正確な神経回路を形成するためには、同じ種類のニューロンでも、個々のニューロンが独自のアイデンティティを獲得し、その情報に基づいて神経接続を行う必要がある。小脳は、円滑な運動制御や運動学習だけでなく、恐怖応答学習など情動に関わる高次機能にも関与する脳の領域で、ニューロンの分化やアイデンティティ獲得のメカニズムを解析するための適切なモデルである。小脳の主要なニューロンであるプルキンエ細胞は、小脳原基の腹側脳室帯に位置するプロニューラル遺伝子ptf1aを発現する神経前駆細胞に由来し、小脳内の局在によって異なる軸索・樹状突起形態を持ち、異なる入力と出力ニューロンとの接続を行い、異なる機能をもつ。プルキンエ細胞のアイデンティティ獲得には、プルキンエ細胞の一般的な分化プログラムに加えて、分化過程で発現する転写因子の量や時間的変化、エピゲノム制御が関わる遺伝子発現の多様性が必要である。本研究ではゼブラフィッシュを用いて、ptf1aを発現する神経前駆細胞からプルキンエ細胞への分化過程で必要な転写制御因子を解明する。シングルセルRNA-seq解析により、プルキンエ細胞の形態や機能の多様性を説明できる、プルキンエ細胞での発現多様性を示す遺伝子(アイデンティティ遺伝子)を同定する。それらのプルキンエ細胞アイデンティティ遺伝子を制御する転写因子を解明し、プルキンエ細胞アイデンティティを決定する細胞間シグナル分子を同定する。また、プルキンエ細胞アイデンティティ遺伝子の小脳神経回路における機能の役割を解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)ゼブラフィッシュ小脳においては、ptf1aを発現する神経前駆細胞からプルキンエ細胞やGABA作動性介在神経だけでなく、出力細胞(広樹状突起細胞)や顆粒細胞も産生されることを見出した。また、ptf1aはもう一つのプロニューラル遺伝子neurog1と協調的に機能することを明らかにした。 (2)プルキンエ細胞の初期分化に、フォークヘッド型転写因子のFoxp1bとFoxp4、SKIファミリー転写共抑制因子のSkor1bとSkor2が鍵因子として機能することを明らかにした。 (3)Skor1bとSkor2は、顆粒細胞への分化を抑制することでプルキンエ細胞の分化を制御していることを見出した。 (4)シングルセルRNA-seq解析を行い、プルキンエ細胞で発現の多様性を示す遺伝子(アイデンティティ遺伝子)を探索した。 (5)プルキンエ細胞アイデンティティ遺伝子を制御する転写因子の候補であるFoxp1a/1b/2/4, Skor1b/2, Lhx1a/1b/5, Rorα/β, Ebf1a/1b/3a, Tfap2aのゼブラフィッシュ変異体を作製した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)プルキンエ細胞のアイデンティティ遺伝子の解析:プルキンエ細胞とプルキンエ細胞の前駆細胞のシングル RNA-seqデータを解析し、発現に多様性を示すアイデンティティ遺伝子を同定し、in situ hybridization法で遺伝子発現の多様性を確認する。また、プルキンエ細胞アイデンティティ遺伝子の発現とプルキンエ細胞の分化度、局在、形態・神経接続の関係を検討し、神経前駆細胞とプルキンエ細胞の多様性の関係も解析する。 (2)プルキンエ細胞アイデンティティ遺伝子を制御する転写因子の解明:プルキンエ細胞での遺伝子発現の多様性が、転写制御因子の発現の量的・時間的違いによって生じると考えられるため、これまでの研究からプルキンエ細胞の分化に関わる転写因子を多く特定してきた。これまでに作製したFoxp1a/1b/2/4, Skor1b/2, Lhx1a/1b/5, Rorα/β, Ebf1a/1b/3a, Tfap2a変異体のプルキンエ細胞分化マーカーおよびアイデンティティ遺伝子の発現を解析し、プルキンエ細胞分化および多様性獲得を制御する遺伝子プログラムを解明する。 (3)プルキンエ細胞アイデンティティを決める細胞間シグナルの同定:プルキンエ細胞が産生される受精後1-2週目の仔魚に対して、Fgfシグナル阻害剤、Bmpシグナル阻害剤、TGF-βシグナル阻害剤の処理を行い、シグナル伝達を阻害した魚での転写因子およびアイデンティティ遺伝子の発現に与える影響を検討し、プルキンエ細胞の多様性を制御する細胞間シグナルを解明する。 (4)プルキンエ細胞アイデンティティ遺伝子の小脳神経回路機能における役割を解明する:プルキンエ細胞アイデンティティ遺伝子に対するcrispant(CRISPR/Cas9法によるノックアウトF0個体)を作製し、その表現型を解析する。
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