Project/Area Number |
23K23940
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Project/Area Number (Other) |
22H02677 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45020:Evolutionary biology-related
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
高橋 宗春 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (30313125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 玄理 東京医科大学, 医学部, 准教授 (40743331)
林 由起子 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (50238135)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
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Keywords | 咽頭弓 / ナメクジウオ / 脊椎動物 / Tbx1/10遺伝子 / 進化発生学 / 頭部中胚葉 / ゼブラフィッシュ / Tbx1/10 |
Outline of Research at the Start |
脊椎動物の咽頭弓は、顎や鰓など脊椎動物頭部の様々な器官を生み出す発生過程の構造である。これらは主に摂食と呼吸のために機能しており、脊椎動物の繁栄の礎となった大きな体サイズと活動的な摂食様式の確立に欠かせない器官であった。従って咽頭弓の進化的起源を解明することは、脊椎動物の歴史を理解する上で重要な鍵となる。 この問題を解決するために、本研究は、脊椎動物の祖先形質を多く保持している頭索動物ナメクジウオの咽頭部を解析する。遺伝子改変動物を用い、脊椎動物の精巧な咽頭弓が、より単純な鰓孔からどのように進化してきたかを明らかにする計画である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、脊椎動物の咽頭弓発生に極めて重要なTbx1遺伝子のナメクジウオ相同遺伝子Tbx1/10に焦点をあて、ナメクジウオとゼブラフィッシュの遺伝子改変動物を作成することにより、ナメクジウオ鰓裂におけるTbx1/10の機能と発現制御メカニズムを精査することを目的としている。このうち本年度は発現制御解析に焦点を当て、Tbx1/10及びPitxレポータートランスジェニックゼブラフィッシュ(BfTbx1/10:Venus、BfPitx:Venus)の樹立をおこなった。 既に先行研究でナメクジウオTbx1/10遺伝子の上流ゲノム領域をクローニングし、それを用いてVenusレポーター遺伝子を構築後ナメクジウオ胚に導入し、5.3kbのゲノム領域にはナメクジウオTbx1/10の発現を再現するのに十分なシス制御エレメント(CRE)が含まれていることを確認している。それに加えて、今後の頭部中胚葉の解析に必須な主要マーカー遺伝子であるPitx遺伝子の上流ゲノム領域もクローニングし、同様にVenusレポーター遺伝子を構築した。 これらのレポーター遺伝子をゼブラフィッシュ受精卵にTol2遺伝子とともにマイクロインジェクトし、通常のプロトコールに従ってトランスジェニックゼブラフィッシュの樹立を試みた。まず体細胞系列にレポーター遺伝子が導入されたfounderをスクリーニングするため、PCRジェノタイピングを完了した。現在それらと野生型(ab)を交配して得られたF1初期発生胚を、Venusシグナルの部位と強度を指標に、選別をおこなっている段階である。 現時点ではこれらVenusシグナルを詳細に解析・報告する段階ではないが、ゼブラフィッシュのtbx1やpitx2遺伝子発現に類似した頭部中胚葉での発現パターンが観察されており、今後の解析の基盤となるリソースが速やかに得られることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ナメクジウオTbx1/10遺伝子の転写発現調節ゲノム領域をもとに構築したVenusレポーター遺伝子を導入したトランスジェニックゼブラフィッシュライン(BfTbx1/10:Venus)に関しては、研究代表者の前任地における先行研究で既に樹立しており、樹立後、ラインが維持されていたマンチェスター大学より、他の遺伝子改変ゼブラフィッシュとともに、発生胚の状態で採択内定直後に移送した。 しかしながら、長期間にわたる新型コロナウイルスによる英国の完全なロックダウンや、その後の研究代表者の移籍期間中に、マンチェスター大学水槽施設においてラインの混雑があったと思われ、移送された発生胚が成育してから再度ジェノタイピングや蛍光顕微鏡による発生胚の観察などが必要となった。 その結果、BfTbx1/10:Venusと確認された個体は4個体しか観察されず(1個体はその後失われた)、また原因不明であるが、これらの個体を本学で維持されていた野生株と何度交配を試みても、結局受精卵が得られなかった。 研究開始半年後、これらの移送されたゼブラフィッシュラインを用いることを断念し、新たに本学でトランスジェニックラインの樹立をやり直すことにした。その間、新たにナメクジウオPitx遺伝子の転写発現調節ゲノム領域をクローニングし、これをもとにVenusレポーター遺伝子を構築できた。そのため、現在BfTbx1/10:VenusとBfPitx:Venusの二つのレポータートランスジェニックゼブラフィシュを樹立しつつある。 これら予期せぬ事情により、当初計画よりやや遅れてはいるものの、あらたにBfPitx:Venusの解析も本実験計画に加えることができたため、結果的には今後の解析に用いられるリソースが増えたため、総じて順調に推移していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように現在樹立しつつある2つのトランスジェニックライン(BfTbx1/10:Venus、BfPitx:Venus)は今後の解析の基盤となるユニークなリソースであり、次年度はこれらを用いてゼブラフィッシュ咽頭弓の構成要素の中で祖先脊索動物から継承した領域を同定し、ナメクジウオ鰓裂から脊椎動物咽頭弓への進化を詳細に解析する。 具体的には、まず現在進行しているF1遺伝子改変個体とab野生型個体の交配により得られたF2発生胚をVenusシグナルの部位と強度により選別し、レポータートランスジェニックゼブラフィッシュをそれぞれ複数ライン確立する。その後、これらから得られるF3以降の発生胚を次の段階の解析に用いる。BfTbx1/10:Venus、BfPitx:Venusゼブラフィッシュ発生胚の頭部中胚葉や咽頭弓に見られるVenusシグナル陽性細胞は、ナメクジウオ転写調節領域により制御される脊索動物の共通祖先から由来する細胞群の一部である。これらの細胞系譜を各種マーカー遺伝子とのHybridization Chain Reactionや免疫染色により解析する。また、この細胞群から発生する組織をライブイメージングにより追跡・同定する。こうした実験手法を組み合わせることによりナメクジウオ鰓裂原基と相同性のあるゼブラフィッシュ咽頭弓の構成要素や組織を特定することができ、咽頭弓のどの部分が祖先から引き継いだ古い部分であり、どの部分が神経堤細胞などの寄与による新たな付加であるかを直接動的・視覚的に理解することができる。
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