Project/Area Number |
23K23942
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Project/Area Number (Other) |
22H02679 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45020:Evolutionary biology-related
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology (2024) National Institute for Physiological Sciences (2022-2023) |
Principal Investigator |
齋藤 茂 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 准教授 (50422069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野澤 昌文 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (50623534)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,320,000 (Direct Cost: ¥6,400,000、Indirect Cost: ¥1,920,000)
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Keywords | 温度応答行動 / 環境適応 / 温度センサー分子 / 両生類 / ゲノム編集 / 温度感受性TRPチャネル / 無尾両生類 / 高温忌避 / 高温耐性 |
Outline of Research at the Start |
本研究では繁殖時期や産卵する水場環境が異なる両生類種の幼生(オタマジャクシ)を用い、温度応答行動や温度耐性を比較する。また、行動応答に欠かせない温度感覚のセンサー分子の機能特性の種間比較も行う。更に、ゲノム編集により温度センサー分子を破壊した個体を用いた行動解析を行い、個体レベルの行動応答に温度センサー分子が関与するかを検証する。また、飼育温度依存的な幼生の温度応答行動の変化に関与する遺伝子の同定も試みる。これらの解析により、生息地の環境に連動した温度応答行動の進化機構を分子レベルで解明することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
両生類は産卵の時期や利用する水場が種間で異なり時空間的に異なるニッチを繁殖に利用しているため、幼生は種ごとに異なる温度環境に適応していると考えられる。これまでの研究で日本在来の5種の両生類(リュウキュウカジカガエル、カジカガエル、ニホンアカガエル、ツチガエル、シュレーゲルアオガエル)を比較し、受動的な適応機構である高温耐性よりも、能動的な適応機構である忌避行動が生息環境に応じて大きく変化してきたことを見出してきた。更に、5種の両生類種のうち3種について高温センサーとして機能するTRPA1の機能解析を行い、その温度応答特性が種間で異なることも明らかにした。 本年度は、未だ機能解析ができていないシュレーゲルアオガエルおよびツチガエルからTRPA1を単離し、温度応答特性を調査する研究計画を進めた。2種のTRPA1をアフリカツメガエルの卵母細胞に異所発現させ、電気生理学的な機能解析を行ったところ、どちらの種のTRPA1も高温およびアゴニストであるシンナムアルデヒドによって活性化されることを確認した。予備的な結果ではシュレーゲルアオガエルのTRPA1の高温に対する活性は、リュウキュウカジカガエルやカジカガエルのTRPA1に比べて大きく、行動応答から推測される特性を持つ可能性が示された。 次に、各種の幼生が長期的に耐えることができる温度を決定し、忌避温度や短期的な高温耐性との関連性を調べた。調べた5種において長期的に耐えることができる温度は短期的に耐えることができる温度(臨界最高温度)より低く、また忌避温度と近い温度である傾向が認められた。それぞれの種において忌避温度は長期的に耐えることが出来る温度と相互に関連しながら進化してきたと推察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績概要に記述した通り、本研究で対象にしている5種の無尾両生類の幼生を異なる温度で長期的に飼育し、個体の発生速度や生存率を測定することによって幼生の長期的な高温耐性を調べ、忌避温度や短期的な高温耐性との関連を調査することができた。そのため研究計画の一つである「長期的な高温耐性と忌避温度の関連性」について明らかにすることができた。 一方で、TRPA1の機能解析についてはシュレーゲルアオガエルとツチガエルからTRPA1の2種類の選択的スプライシングバリアント[TRPA1(V+)、TRPA1(V-)]の単離を完了し、電気生理学的な機能解析の実験を行う段階まで進めることができた。しかし、実験の試行回数が未だ十分でないため、それぞれの種のTRPA1の温度および化学物質に対する応答特性の詳細を明らかにするまでに至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
シュレーゲルアオガエルとツチガエルのTRPA1の応答特性を詳細に明らかにするため、電気生理学的な実験を引き続き進める。各種の2種類の選択的スプライシングバリアント[TRPA1(V+)、TRPA1(V-)]に温度及びアゴニストによる刺激を加えた際の応答を調べ、これまでTRPA1のチャネル特性を明らかにした種(リュウキュウカジカガエル、カジカガエル、ニホンアカガエル)のTRPA1と比較し、TRPA1の温度応答性にそれぞれの種の忌避温度や高温耐性と相関した種差が生じているか明らかにする。また、他の研究計画についても順次進めていく。
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