Project/Area Number |
23K23965
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Project/Area Number (Other) |
22H02702 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45040:Ecology and environment-related
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
辻 瑞樹 琉球大学, 農学部, 教授 (20222135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 香織 (鶴井香織) 琉球大学, 農学部, 准教授 (00598344)
佐藤 行人 琉球大学, 医学部, 准教授 (20566418)
久保田 康裕 琉球大学, 理学部, 教授 (50295234)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
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Keywords | 進化 / 群集生態 / 適応 / 種多様性 / 血縁選択 / 生態 / 種内競争 / 種間競争 / 性選択 / 群集 / DNAメタバーコード / 種内適応荷重 / 群選択 / アリ / 淡水魚 / 適応荷重 / 行動生態 |
Outline of Research at the Start |
地球には多種多様な生物がおり、しかも同じ地域に多数の種が共存することが普通である。野生生物には種内と種間で競争が生じうるが、とくに潜在的に競争が働くと考えられる似たようなニッチを持つ多種の共存の説明の理論的な難しさは生態学ではよく知られている。本研究では、これまでは種内で完結するプロセスと考えられてきた性選択や血縁選択による形質進化が、種間の関係に強く働きかけることで、多種共存や非共存をもたらすという、近年代表者らが提唱する適応荷重仮説を、潜在的に競争関係にある多数の種が共存するアリ群集や、逆に多種が共存しにくい淡水魚群集などを用いて検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
最近代表者らは性選択や血縁選択による種内適応(種内力学)が群集動態へ甚大な波及効果を持つと予測する新理論『種内適応荷重』を提出した.この新学説を経験的にテストするため本課題2年度目の本年は以下8項目を計画し実行した.1.各種アリの消化管内容物にDNAバーコード法を適用し餌生物種を検出する手法開発を継続,2.トゲオオハリアリの種内種間競争係数の野外実測データの論文化,3. 同様の競争係数野外実測を外来種アシナガキアリへ適用する研究に着手,4.外来アリ一般の定着を予測する環境モデルの構築に着手,5. グッピー,カダヤシ,ミナミメダカの間で過去に野外で起こったと想像される競争排除に至ったプロセスを,野外および室内の水槽で再現する実験を継続,6 グッピーのメスにおける配偶者選択をMig-seqを用いて父性判定で厳密に実証する手法の開発研究を継続,7.沖縄島で野生化したグッピーのオスの色差形態が環境における捕食者頻度と相関するかを環境DNAデータで検討する方法の開発研究を継続,8. 南西諸島における擬態関係にあるチョウ種の性選択形質の進化動態と個体群動態に関する野外データ収集を継続.計画の8項目これらは全て実行され,とくに次世代シーケンス技術を活用したメタバーコーディングによるアリ類の食物ニッチ分析と,淡水魚における種間競争の半野外再現実験では着実な成果と驚くべき結果も得られており,1,2,7については現状のデータまとめ現在投稿論文化を進めている.他の項目ついてもデータは着実に集まり,とくに手法開発項目についての見通しは明るい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トゲオオアリの種内と種間競争係数をアリ類で初めて野外実測に成功し論文を投稿中である.またこの方法を簡便化したものを同所的に分布するが社会構造の全く異なるアシナガキアリにも適用可能か検討した.各アリ種の餌ニッチを分析するためアリ成虫・幼虫のホールボディからDNA抽出を行い,PCR-メタバーコーディング分析を行うことで,データ取得が可能であることを確認した.アシナガキアリから,カダヤシやコイ科の魚類,ハネカクシやシロアリ等の昆虫類,ヒタキ科の鳥類,カナヘビの一種(爬虫類)などの餌生物の他,人間の食材の廃棄物由来と思われるウシ,ブタ,ニワトリを検出した.この手法は論文作成が可能なレベルまで手法をほぼ確立することが出来た.淡水魚の種間相互作用研究では先行実験でグッピーからカダヤシへの一方的な繁殖干渉が検出されたが,今年度2種個体群を長期飼育する競争実験を行なったところ,カダヤシよりむしろグッピーの産仔数が低下する結果となった.また,メダカとカダヤシ科卵胎生外来魚の競争実験(グッピー、カダヤシ、ソードテール)を野外に設置した水槽で1年半にわたり実施したところ,カダヤシ>ソードテール>グッピーの順にメダカの次世代数を低下させる負の影響が大きいことが分かった.これらの原因プロセスを総合的に検討中である.グッピー配偶者選択で用いるSNP解析MIG-seqについて手法の改良を進め,グッピーの基準ゲノムにマッピングするリーシークエンシング手法を取り入れることで,SNP分析の精度と出力を高めた.環境 DNA 分析による網羅的魚類相解析については論文を発表.データ解析プログラムの改良により,シロオビアゲハの擬態遺伝子型を雌雄間親子間比較することでチョウ類では野外で初めてベイツ擬態のモデル他種存在下での捕食回避効果を直接的に示すデータを得た.
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Strategy for Future Research Activity |
アリ,淡水魚,チョウ群集ともに順調に研究が進捗している.来年度の見通しも明るい.唯一,初年度計画したアリ類のコロニー識別標識である体表炭化水素の遺伝性の研究だけが進まなかった.これは操作実験環境下の飼育が極めて困難であったことによる.遺伝性体表炭化水素が標識であることは他種の系だが近年明らかになりつつある.そこでこの項目を削除し,アリ類の研究項目では種内種間競争のデモグラフィー効果と社会構造の関係の研究とくに多女王多巣性と栄養循環の問題にスコープを絞ることにする.
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