Project/Area Number |
23K23976
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Project/Area Number (Other) |
22H02713 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 46010:Neuroscience-general-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松井 広 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (20435530)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
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Keywords | グリア細胞 / 小脳依存性運動学習 / オプトジェネティクス / シナプス可塑性 / ファイバーフォトメトリー / 学習と記憶 / 記憶形成の並行仮説 / グルタミン酸 / 貪食 / パッチクランプ電気生理学 |
Outline of Research at the Start |
小脳依存性運動学習においては、オンライン学習が強力に抑制され、トレーニング中の学習が全く成立しない場合でも、トレーニング後のオフライン学習は成立すること、および、オンライン学習を亢進する条件下では、逆に、オフライン学習が抑制される。本研究では、(1)グリア細胞からのグルタミン酸放出と、(2)グリア細胞による神経細胞片の貪食過程が、それぞれの学習に関わることが示された。また、脳梗塞後には、機能回復を図るために超可塑性が発揮される。この時、ふたつの学習過程は異なった時空間特性で亢進されることも示唆された。これらの発見に基づき、本研究では、学習を効果的に促進させる方法を開発することに取り組んだ。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、トレーニング中に成り立つ瞬間的なオンライン学習と、トレーニング後の休憩中にじわじわと長期的に定着するオフライン学習のふたつの学習過程が存在し、このふたつの学習過程は並行して進むことを明らかにした。これまで、実験動物のマウスを用いて、主に、小脳の活動に依存するとされている水平視機性眼球運動(HOKR)学習をモデルとして研究を進めてきた。実験の結果、オンライン学習が強力に抑制され、トレーニング中の学習が全く成立しない場合でも、トレーニング後のオフライン学習は成立すること、ならびに、オンライン学習を亢進する条件下では、逆に、オフライン学習が抑制されることが示された。ふたつの学習過程のいずれにもグリア細胞が関与する。(1)グリア細胞からのグルタミン酸放出(Kanaya et al., Glia 2023)と、(2)グリア細胞による神経細胞片の貪食過程(Morizawa et al., Nat Neurosci 2022)が、それぞれの学習に関わることが示唆された。また、これらの眼球運動の学習過程と並行して、脳内血管の拡張と収縮の繰り返し運動の視覚刺激に対する同調も、全脳的に発展することが示された(Sasaki et al., eLife 2024)。したがって、血管>グリア>神経へと至る経路が、脳の動作と学習記憶等の可塑性に支配的な影響力を及ぼすことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、マウスを用いて、小脳依存性運動学習のひとつ、水平視機性眼球運動(HOKR)学習を主に扱った。水平方向にサイン波状に行き来する縞模様をマウスに提示すると、マウスの眼球は自然とこの縞模様の動きを追う。しかし、マウスに初めてこの視覚刺激を提示しても、実際の縞模様の振幅より、眼球運動の振幅は小さい。視覚刺激を繰り返し提示すると、次第に眼球運動の振幅は増大し、網膜上の縞模様像は安定化する。学習の程度を定量的に評価できる点、また、学習に関わる脳領域が小脳の中でもflocculusという小領域に絞られる点で、このパラダイムを用いた多くの研究がなされてきた。本研究では、この古典的な学習パラダイムを扱いながら、オンライン学習とオフライン学習のふたつの並行学習過程が存在することを示し、しかも両方の過程がともにグリア細胞の異なる活動に左右されることを示した。このように、血管やグリア細胞などの末梢系の働きが、中枢の脳神経細胞の活動に影響を与えることをダイレクトに示した研究はこれまでにほとんどない。当初の計画以上に研究が進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、グリア細胞がオンライン学習やオフライン学習の双方で重要な役割があることが示された。引き続いて、グリア細胞機能を光計測することで、グリア細胞から神経細胞への代謝エネルギーサポートで、可塑性にともなうエネルギー消費を賄っているかどうかを明らかにすることに取り組む。この研究にあたっては、生きている in vivo マウス脳の深部から生体分子の動態を計測する光ファイバーフォトメトリー法を活用する。これまで、蛍光計測値から脳内環境の変動を示す複数のパラメーターを分離して解析するマルチプレキシング法を開発した(Ikoma et al., Brain 2023a)。また、この手法を用いて、てんかん病態時だけではなくレム睡眠時の脳内環境変動を解析したところ、生理的な条件下でもアストロサイトの細胞内が酸性化することがあることが示された(Ikoma et al., Brain 2023b)。これらの手法を用いて、HOKR学習にともない、小脳flocculus領域において、局所脳内変動があるかどうかを解析し、グリア細胞による代謝エネルギーサポートが、どのように神経機能の可塑性に貢献するのかを明らかにすることに挑戦する。
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