自然免疫受容体TollとGyc76Cのリガンドアイソフォームの発現による免疫調節
Project/Area Number |
23K24021
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Project/Area Number (Other) |
22H02758 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47030:Pharmaceutical hygiene and biochemistry-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
倉田 祥一朗 東北大学, 薬学研究科, 教授 (90221944)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
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Keywords | 自然免疫 / ショウジョウバエ / NF-κB経路 |
Outline of Research at the Start |
近年自然免疫系が注目されている。その理由の一つに、自然免疫系が、病原体成分以外に、自己由来の内因性リガンドも認識することができ、関連が予想されることもなかった慢性炎症疾患、生活習慣病などの発症に深く関わることが明らかとなってきたことがある。その際、病原体成分では強い応答が一過的に誘導されるのに対して、内因性リガンドでは弱い応答が持続的に誘導されることで慢性炎症となる。本研究では、このような自然免疫応答の違いがどのようにして生じるのかを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、研究代表者が、新規自然免疫受容体による新たな免疫調節機構の存在を見出したため、この機構の解明を目的とする。NF-κB経路は、自然免疫を制御する中心的なシグナル伝達系である。研究代表者は、新たにショウジョウバエにおいて、NF-κB経路を制御する受容体Gyc76Cを同定した(iScience 2021)。さらに、NF-κB経路を制御している二つの受容体、Gyc76CとToll受容体は、それぞれ単独でNF-κB経路を活性化するが、両者が同時に活性化されると、はるかに強い応答が誘導されることを明らかにした。多数のアイソフォームが存在するSpz前駆体は、全て同様にToll受容体のリガンドである活性化型Spzを生じるが、Gyc76C の活性化に変わるSpz N末端に多様性を示す。本研究では、多数のアイソフォームを持つSpz前駆体が、二つの受容体を介して免疫応答を調節する、新規機構を解明する。 今年度は、個別のSpz前駆体アイソフォームのNF-κBシグナル活性化能を調べた。すなわち、内因性のSpzの影響を排除するために、内因性のSpz前駆体が切断されない変異体(Spzrm7変異体)において、個別のアイソフォームを単独で発現させ、感染時に活性化するModSPセリンプロテアーゼを発現することで、単独のSpz前駆体を切断し、Toll受容体のリガンドである活性化型Spzと、Gyc76CのリガンドであるSpz N末端を産生させた。そして、その際のNF-κBシグナルの活性化を、抗菌ペプチドDrosomycinの発現量として定量した。その結果、各々のSpz前駆体アイソフォームが、異なるNF-κBシグナル活性化能を示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
強制的に感染シグナルを活性化した際の、個別のSpz前駆体アイソフォームのNF-κBシグナル活性化能を調べたところ、各々のSpz前駆体アイソフォームが、異なるNF-κBシグナル活性化能を示すことが明らかとなった。各々のSpz前駆体アイソフォームは、共通して、Toll受容体のリガンドである活性化型Spzを産生させるため、この結果は、当初の計画通り、多数のアイソフォームを持つSpz前駆体が、二つの受容体を介して免疫応答を調節していることを示唆しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、個別のSpz前駆体アイソフォームのNF-κBシグナル活性化能を調べている。すなわち、内因性のSpzの影響を排除するために、内因性のSpz前駆体が切断されない変異体(Spzrm7変異体)において、個別のアイソフォームを単独で発現させ、感染時に活性化するModSPセリンプロテアーゼを発現することで、単独のSpz前駆体を切断し、Toll受容体のリガンドである活性化型Spzと、Gyc76CのリガンドであるSpz N末端を産生させた。そして、その際のNF-κBシグナルの活性化を、抗菌ペプチドDrosomycinの発現量として定量した。この系では、ModSPセリンプロテアーゼを人為的に発現させており、強制的に感染シグナルを活性化した際の、個別のSpz前駆体アイソフォームのNF-κBシグナル活性化能を知ることができる。一方、通常の感染時には、研究代表者が同定したPGRP-LEなどの病原体認識タンパク質が、感染する病原体を認識し特定の感染シグナルを活性化する。そこで今後の研究方策として、感染シグナルの違いにより、個別のSpz前駆体アイソフォームのNF-κBシグナル活性化能に違いが生じるのかどうかを調べる。具体的には、Spzrm7変異体において、個別のアイソフォームを単独で発現させ、グラム陽性菌E.faecalis,真菌C.glabrata,グラム陰性菌Ecc15を、それぞれ感染させ、その際の抗菌ペプチド発現量を解析する。これにより、個別のSpz前駆体アイソフォームが、どのような種類の感染時に、Gyc76Cを介してNF-κBシグナルを正に制御するのか、負に制御するのかを明らかにできる。
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Report
(2 results)
Research Products
(17 results)