イベリアトゲイモリが示す新規の細胞周期制御機構と強力な再生能力との関係を解明する
Project/Area Number |
23K24058
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Project/Area Number (Other) |
22H02796 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48010:Anatomy-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
林 利憲 広島大学, 両生類研究センター, 教授 (60580925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻野 肇 広島大学, 両生類研究センター, 教授 (10273856)
古野 伸明 広島大学, 両生類研究センター, 准教授 (80219120)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,150,000 (Direct Cost: ¥5,500,000、Indirect Cost: ¥1,650,000)
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Keywords | イベリアトゲイモリ / 細胞周期 / 器官再生 / CDK1 / cyclin D |
Outline of Research at the Start |
モデル動物として確立したイベリアトゲイモリを用いて、再生における細胞の再増殖が起こる機構を研究する。特に、イモリや両生類特有の細胞周期の進行機構が存在する可能性に着目して、再生時のcyclinやCDKの機能の詳細を明らかにすることを目指す。本研究は脊椎動物の細胞周期制御における多様性を示すと共に、イモリの強力な再生能力を支える細胞増殖の仕組みを解明して、再生を細胞増殖の視点から研究する基盤を作る。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自身がモデル動物として確立したイベリアトゲイモリを用いて、再生における細胞増殖が起こる機構を解明することを目指す。中でもイモリや両生類特有の細胞周期の進行機構が存在する可能性に着目して、再生時のcyclinやCDKの機能の詳細を明らかにすることを目指す。 当該年度は次の2項目を実施した。 (1)イモリに見られるCDK1に依存しない細胞周期の進行機構の証明に取り組み、CDK1ノックアウトイモリの個体レベルでの細胞増殖と、細胞分裂のパターンを解析した。KOイモリの結合組織細胞を培養する方法により、細胞分裂のパターンの解析を行った。また、CDK1の機能を補う因子の候補として予測されるCDK2についてもノックアウト個体を作製して、その機能を調べた。 (2)イモリにおいて恒常的に発現するcyclin D遺伝子の働きについて、骨格筋の分化と成熟に焦点を当てて解析した。cyckin D1ノックアウトイモリでは、成長に遅れが見られたが、特に骨格筋形成の遅滞が顕著であった。そこで、骨格筋の元となる筋芽細胞の抗体染色を行い、野生型個体との比較を行った。さらに、cyclin D1 ノックアウトイモリの骨格筋の遺伝子発現プロファイルを明らかにするために、遺伝子発現サンプルを調整する準備を行なった。また、3種類あるcyclin D遺伝子のうち、cyclin D3とD2のノックアウトイモリ作製を進めた。これらのノックアウトイモリを用いて四肢再生実験を行い、少なくともcyclin D1は四肢再生に不要であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の実施項目として計画した(1)イモリに見られるCDK1に依存しない細胞周期の進行(2)イモリにおいて恒常的に発現するcyclin D遺伝子の働きについて、骨格筋の分化と成熟に焦点を当てた解析、の2項目について着実に進展させることができた。また、cyclin D1ノックアウトの表現型については、筋芽細胞のマーカー分子に対する適切な抗体染色法を確立したことで、その未成熟な状態を示すことができた。さらに、cyclin D1ノックアウトイモリにおける四肢再生については、この遺伝子が存在しない状態でも再生が進行することを示すことができ、計画よりも進展したと言える。 これらの理由から、本研究は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は引き続き、(1)イモリに見られるCDK1に依存しない細胞周期の進行(2)イモリにおいて恒常的に発現するcyclin D遺伝子の働きの解明を進めていく。 (1)に関しては、細胞培養下のライブイメージングにより、CDK1ノックアウトイモリの細胞が細胞分裂までを完了できることを証明することに特に力を入れる。(2)に関しては、cyclin D1ノックアウトイモリの骨格筋細胞において、どのような遺伝子の発現に影響が出ているのかを、野生型個体と比較することで明らかにしていく。このために、それぞれの組織からRNAを抽出する条件はすでに検討しているので、今年度は実際のシークエンスとデータ解析を重点的に行う。 これらに加えて、(3)イモリで見られている現象の一般性についてしらべるため、研究分担者と共にツメガエルにおける研究をさらに進める。 これらを行うことで、研究を着実に推進していく。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)