Project/Area Number |
23K24074
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Project/Area Number (Other) |
22H02812 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48030:Pharmacology-related
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
西 昭徳 久留米大学, 医学部, 教授 (50228144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原 幸江 久留米大学, 医学部, 准教授 (10279135)
大西 克典 久留米大学, 医学部, 助教 (10626865)
黒岩 真帆美 久留米大学, 医学部, 助教 (20585690)
首藤 隆秀 久留米大学, 医学部, 准教授 (70412541)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
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Keywords | ドパミン / p11 / コリン作動性神経 / 神経精神疾患 / 薬物療法 / コリン作動性 |
Outline of Research at the Start |
統合失調症を初めとする神経精神疾患において、現状の薬物療法を改善するためには、ドパミン神経系を制御する神経回路および神経分子機構の解明が必要である。そこで、ドパミン神経系を制御するp11シグナル系に着目して、p11 システム系によるドパミン放出制御とドパミンD1受容体シグナル制御の神経分子機構の解明を目指す。得られた知見に基づいて神経精神疾患に対する新規薬物療法の探索と開発を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症を初めとする神経精神疾患において、ドパミン神経系を標的とした薬物療法が臨床応用されている。現状の薬物療法を改善するためには、ドパミン神経系を制御する神経回路および神経分子機構の解明が必要である。そこで、ドパミン神経系を制御するp11シグナル系に着目して、側坐核、前頭前皮質、海馬神経回路におけるドパミン神経伝達制御機構を解明するための研究を実施している。令和4年度に引き続き、(1) 側坐核コリン作動性介在神経 (CIN) p11シグナル系によるドパミンシグナル制御機構、(2) 前頭前皮質に投射するコリン作動性神経によるドパミンシグナル制御機構、(3) 青斑核ノルアドレナリン神経による海馬歯状回ドパミンシグナル調節機構に焦点を絞った解析を行なった。アセチルコリン(ACh)やノルアドレナリンによるドパミンシグナル制御機構の解析のために、Fiber photometryを用いて神経伝達物質の濃度変化を高い時間分解能で解析できるシステムを構築し、神経伝達物質の変動とマウスの行動との関連性の解析を進めている。マウス行動に関してはDeepLabCutによるディープニューラルネットワークを用いた行動の定量解析を行なうことにより、より詳細な分析が可能となっている。前頭前皮質におけるドパミンシグナル制御や海馬-前頭前皮質ドパミン調節回路において、前脳基底部コリン作動精神系に発現するp11が重要な役割を果たしていることを明らかにした。前頭前皮質のAChは認知機能調節においても重要であるが、ChAT-Cre p11 cKOマウスは新規対象物に対する認知が低下していることは、認知機能においても前脳基底部コリン作動性神系に発現するp11の重要性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 側坐核コリン作動性介在神経 (CIN) p11シグナル系によるドパミンシグナル制御機構の解明:(1) 神経伝達物質の濃度とダイナミクスに適したバイオセンサーの選定を行い、Fiber photometryによるACh、ドパミン測定系を構築している。行動の解析では、DeepLabCutによるディープニューラルネットワーク解析を行うことにより、目視では気づきにくいマウスの行動変化も定量的に捉えることが可能となっている。これらのデータを元に、AChおよびドパミンの変動と行動変化の関連性について解析を行っている。 (2) 側坐核CINに発現するp11、HCN2および5-HT1B受容体がマウスのうつ様行動に及ぼす影響の評価:CINに発現するp11とHCN2はうつ様行動を制御するが、CINに発現する5-HT1B受容体の関与を示唆する結果は得られていない。 2. 前頭前皮質に投射するコリン作動性神経によるドパミンシグナル制御機構の解明: ChAT-Cre p11 cKOマウスでは、新規刺激に対する前頭前皮質ドパミン応答や海馬-前頭前皮質ドパミン調節回路の機能が低下している。ChAT-Cre p11 cKOマウスの前脳基底部コリン作動神経にp11を過剰発現させるレスキュー実験により、新規刺激に対するドパミン応答および海馬-前頭前皮質ドパミン調節回路の機能が回復した。この結果は、前頭前皮質のドパミンシグナル調節におけるコリン作動性神経p11の重要性を示唆している。また、認知機能においても前脳基底部コリン作動性神系に発現するp11の重要性を明らかにしている。 3. 青斑核ノルアドレナリン神経による海馬歯状回ドパミンシグナル調節機構の解明:Fiber photometryによるノルアドレナリン測定システムを用いて、ストレスに対する青斑核ノルアドレナリン神経の応答を解析している。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 側坐核コリン作動性介在神経 (CIN) p11シグナル系によるドパミンシグナル制御機構の解明:側坐核コカイン注入や自然報酬におけるACh・ドパミン応答をマウスの行動変化と同時記録することにより、行動におけるACh・ドパミン応答の生理的意義を検討する。AChとドパミンの時間的変動性と相関性の解析において複雑な関連性が予測されるため、AIアルゴリズムの開発にも注力する。また、ACh・ドパミン応答と行動変化の相関性をより具体的に解析するために、オペラント条件付けシステムを用いた行動解析を実施する。 2. 前頭前皮質に投射するコリン作動性神経によるドパミンシグナル制御機能の解明: ChAT-Cre p11 cKOマウスの前脳基底部において、コリン作動性神経のp11レスキューにより、前頭前皮質のドパミン応答が改善する結果を得た。この結果を得てさらに、背部と腹側部海馬入力の機能的役割の違いについても検討する。また、前脳基底部コリン作動性神経のp11が認知機能調節において重要であることを示唆する結果を得ており、p11によるACh放出と認知機能との関連性を解析する。さらに、前脳基底部コリン作動性神経の活動性を制御する神経回路にもアプローチする。 3. 青斑核ノルアドレナリン神経による海馬歯状回ドパミンシグナル調節機序の解明:化学遺伝学的手法を用いて青斑核ノルアドレナリン神経の活性を調節し、うつ様行動への影響を明らかにする。ドパミン・ノルアドレナリンバランスのストレス・うつ病での変動を明らかにするため、ストレス負荷によりうつ様行動を示すマウスモデルを用いたFiber photometry解析を行う。ドパミン・ノルアドレナリンバランスの変動と行動変化との関連性は複雑であり、AIアルゴリズムの開発にも注力する。
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