ロングリード技術を用いた統合ゲノム解析による中枢神経系胚細胞腫の病態解明
Project/Area Number |
23K24096
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Project/Area Number (Other) |
22H02834 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49010:Pathological biochemistry-related
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Research Institution | Kyorin University (2024) Juntendo University (2022-2023) |
Principal Investigator |
市村 幸一 杏林大学, 医学部, 特任教授 (40231146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 穣 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (40323646)
岡田 随象 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (70727411)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,320,000 (Direct Cost: ¥6,400,000、Indirect Cost: ¥1,920,000)
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Keywords | 中枢神経系胚細胞腫 / 脳腫瘍 / ロングリード / 全ゲノム解析 / ゲノムワイド関連解析 |
Outline of Research at the Start |
中枢神経系胚細胞腫は小児から思春期・若年成人に好発し、小児で2番目に頻度の高い悪性脳腫瘍である。本研究では約30例の中枢神経系胚細胞腫に対してロングリード技術を用いた全ゲノムシークエンスを行い、点突然変異・ゲノム構造異常からトランスポゾン・DNAメチル化まで、網羅的なゲノム・エピゲノム解析を行い、発生機序を解明する。得られた所見は多数の中枢神経系胚細胞腫の臨床検体を用いてバリデーションを行う。また300例あまりの中枢神経系胚細胞腫に対して、ゲノムワイドにSNP解析を行い、胚細胞腫発生と関連する遺伝子多型を探索する。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、胚細胞腫コンソーシアムまたはJCCG中央診断の余剰検体から、非ジャーミノーマ胚細胞腫を中心に中枢神経系胚細胞腫 の凍結手術検体とマッチした血液DNAに対し、PromethIONを用いたロングリードシークエンスを、研究分担者である東京大学大学院新領域創成科学研究科鈴木穣教授の研究室で行った。一部は先進ゲノム支援の支援のもとに行われた。前年度の27例に加えて、ジャーミノーマ6例を解析対象に追加した。主にstructual variation(SV)とDNAメチル化に絞って解析を進めた。SVが見られた遺伝子の数は33例の中央値が16であったが、2例のジャーミノーマ、2例の非ジャーミノーマでは100を超えていた。Germinomaではdeletionとinsertionが主だったが、非ジャーミノーマではduplicationやinversionなど様々なSVが見られた。現在、recurrentにSVの標的となったいくつかの遺伝子に対して、解析を進めている。また、LINE-1などretrotransposonのinsertionについて検索を進めている。DNAメチル化についてはSVの見られるアレルと同じアレルでメチル化の変化が見られ、ハプロタイプ解析を進めている。また、日本人健常対象集団と比較して有意な頻度差を示す多型を検索し、中枢神経系胚細胞腫の遺伝要因を同定する目的で、中枢神経系胚細胞腫350例(胚細胞腫コンソーシアム181例およびJCCG中央診断の余剰検体169例)に対して、アジア人に多い塩基多型を集めたマイクロアレイ(Infinium Asian ScreeningArray)を用いてゲノムワイド関連解析を行った。その結果、以前当研究室での解析により発見されたBAK1エンハンサー領域のSNVに加え、いくつかの新たなリスクアレルが発見された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ロングリードに供された中枢神経系胚細胞腫は血液とのペアで33例に達し、この腫瘍においては世界でも類を見ない大きなコホートとなった。ロングリードの解析も順調に進んでおり、2024年度中に論文化を目指している。ゲノムワイド関連解析については、350例という比較的少ない症例数にもかかわらず、既報のBAK1に加え、いくつかの新たなリスクアレルが発見されたことは予想を上回る成果といえる。こちらについても2024年度中の論文化を目指している。
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Strategy for Future Research Activity |
33例の中枢神経系胚細胞腫のロングリード解析を進め、特にがん遺伝子・がん抑制遺伝子内に認められたSVについては、RNAシークエンスデータなどと比較しながらその機能的意義について検討を進める。Retrotransposonの活性化の有無についてもさらに検討を進める。SVとDNAメチル化のハプロタイピングを進め、DNAメチル化のがん遺伝子活性化またはがん抑制遺伝子不活化に対する関りを調べる。さらに先行するショートリードによる全ゲノム解析とのデータと比較し、これらをすべてまとめて中枢神経系胚細胞腫の俯瞰的なゲノム異常と腫瘍発生機序とのかかわりを考察し、論文化を行う。ゲノムワイド関連解析については、新たに発見したリスクアレルの機能的意義を検討し、論文化を行う。さらに、国際共同研究によりゲノムワイド関連解析をアジアの他の国(台湾など)のコホートで行い、今回の結果のバリデーションを行う検討を進めている。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)