Project/Area Number |
23K24146
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Project/Area Number (Other) |
22H02884 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49070:Immunology-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河部 剛史 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (50834652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 直人 東北大学, 医学系研究科, 教授 (60291267)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | T細胞 / 恒常性 / 感染免疫 / 自己免疫疾患 / 腫瘍免疫 / CD4 T細胞 / メモリー細胞 |
Outline of Research at the Start |
CD4 T細胞は獲得免疫応答に必須の役割を果たすリンパ球である。我々は、同細胞中に、定常状態において自己抗原認識依存的に産生され、感染時には自然免疫的に生体防御に寄与する新規「MP細胞」を同定した。本研究は、MP細胞の質的特異性、産生維持・分化機構、免疫学的機能を解明し、さらには同細胞を取り巻く免疫細胞ネットワークを究明することにより、MP細胞の存在意義の全容を明らかにするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
CD4 T細胞は外来抗原に対する獲得免疫応答における中核を担うリンパ球である。我々は同細胞中に、定常状態下において自己抗原認識依存的に産生され、病原体感染時には自然免疫活性を発揮し得る「Memory-phenotype cell: MP細胞」を同定した(Sci Immunol 2017)。そして、MP細胞がMP1/2/17などのサブセットに分類され得ることを報告した(Nat Commun 2020)。これらの知見に基き、本研究ではMP細胞の質的特異性、産生・維持・分化機構、免疫学的機能、同細胞を取り巻く免疫細胞ネットワークを解明することを目的とした。 本年度は主にMP細胞の質的特異性ならびに産生・維持・分化機構の解明に取り組み、同細胞の鑑別マーカーを同定した。すなわち、外来抗原特異的メモリー細胞がCD127(hi) Sca1(hi) Bcl2(hi)の表現型を呈するのに対し、自己反応性MP細胞はCD127(lo-hi) Sca1(lo-hi) Bcl2(lo)であることを発見した。また、うち前者二者マーカーの発現によりMP細胞自身が4分画に分類され、うちCD127(lo) Sca1(lo-hi)細胞は速い細胞分裂を呈する未熟な細胞分画であること、CD127(hi) Sca1(hi)細胞はすでに細胞分裂を経た成熟MP細胞であることが明らかになった。さらに、CD127(hi) Sca1(hi) MP細胞はTh1型の”MP1”分画に相当し、上記のMP細胞の自然免疫活性の主軸を担うことも明らかになった(Front Immunol 2022にて報告)。 本年度に得られた知見に基き、次年度はMP細胞の機能的意義の解明、同細胞を取り巻く免疫細胞ネットワークの究明に取り組む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(I) MP細胞マーカーの同定と質的特異性の解明:従来、自己特異的MP細胞と外来抗原特異的メモリー細胞との質的差異は不明であった。我々は、single cell RNAseq解析を施行することにより、両細胞の鑑別マーカーとしてCD127, Sca1, Bcl2を同定した。具体的には、メモリー細胞がCD127(hi) Sca1(hi) Bcl2(hi)の表現型を呈するのに対し、MP細胞はCD127(lo-hi) Sca1(lo-hi) Bcl2(lo)であることを発見した。そして、この表現型により定義されるMP細胞の大半が外来抗原認識非依存的に産生されることをgerm-free、antigen-freeマウスを用いて明らかにした。 (II) MP細胞の産生維持・分化機構の究明:上記の解析の結果、MP細胞はそれ自身、CD127、Sca1発現により4分画に分類されることが判明した。そして、うちCD127(lo) Sca1(lo-hi)分画が恒常的に細胞分裂状態を呈する未熟なMP細胞であること、一方でCD127(hi) Sca1(hi)分画は分裂静止状態となった成熟Th1型MP細胞(MP1)であることが明らかになった。 (III) MP細胞の機能解析:上記のCD127(hi) Sca1(hi) MP細胞は、抗原刺激非存在下においてTh1型サイトカインIL-12/18/2に反応しIFN-gを産生し自然免疫活性を発揮することが判明した。一方、同活性はMP細胞の炎症惹起能、抗腫瘍活性を説明し得る可能性についても提起された。
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Strategy for Future Research Activity |
(I) MP細胞マーカーの同定と質的特異性の解明:本年度明らかになったマウスMP細胞マーカーに関する知見をもとに、次年度はMP/メモリー細胞の基礎的性質を規定するシグナルの同定に向けて研究を継続する。また、ヒトMP細胞の同定・解析についても行う。 (II) MP細胞の産生維持・分化機構の究明:MP細胞が4分画に分類されるとの結果をもとに、その生体内分布機構やMP1/2/17/reg分化との関係性を明らかにする。 (III) MP細胞の機能解析:MP1/2/17分画による感染防御機能、炎症惹起能、抗腫瘍活性に関する研究を引き続き継続する。 (IV) MP細胞を取り巻く免疫細胞ネットワークの解明:MP細胞、樹状細胞、制御性T細胞との関係を明らかにし、MP細胞ひいてはCD4 T細胞の恒常性維持機構を細胞間相互作用の観点から究明する。
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