Project/Area Number |
23K24148
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Project/Area Number (Other) |
22H02886 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49070:Immunology-related
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Research Institution | Tokyo University of Science (2024) The University of Tokyo (2022-2023) |
Principal Investigator |
新田 剛 東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 教授 (30373343)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
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Keywords | 胸腺 / T細胞 / 微小環境 / 免疫 / ストレス / ストロマ細胞 |
Outline of Research at the Start |
胸腺のストロマ細胞は、T細胞の生成と抗原認識能の決定に重要な役割を果たしている。胸腺ストロマ細胞は加齢やストレスによって変化し、胸腺の退縮とT細胞生成能の低下をもたらし、感染症や自己免疫疾患の増加の一因となる。本研究では、マウスをモデル動物として、胸腺の退縮をもたらす胸腺ストロマ細胞の量的・質的な変化を同定し、その分子機構を明らかにする。特に、ストレスによる胸腺の退縮期と回復期におけるT細胞機能への影響を精査し、胸腺退縮の生理的意義を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
胸腺のストロマ細胞は、T細胞の生成と抗原認識能の決定に重要な役割を果たしている。胸腺は加齢や妊娠やストレスによって退縮し、これがT細胞生成能の低下をもたらす。しかし、胸腺退縮の要因となる胸腺ストロマ細胞の変化の実体は明らかになっていない。本研究ではマウスをモデル動物として、胸腺退縮の鍵となる胸腺ストロマ細胞およびその機能分子を同定し、胸腺退縮のしくみを分子レベルで解明する。また、胸腺の退縮がT細胞機能に与える影響をTCRの抗原認識能の観点から理解することをめざす。 野生型マウスの若齢期と老齢期の胸腺ストロマ細胞を解析し、遺伝子発現プロファイルを得た。遺伝子改変マウスを用いて、通常は分離困難なストロマ細胞集団を分けることにも成功した。退縮時の胸腺ストロマ細胞の変化の全容が明らかになりつつある。また、老齢期の胸腺には、若齢期にはみられないTCRクローンをもつT細胞が検出された。 胸腺退縮の制御因子候補について、KOマウスおよびcKOマウスを作製・解析した。胸腺退縮の制御因子として報告されていたFasについては、先行研究の結果が再現されず、一連の研究については見直しを余儀なくされた。一方で、特定の胸腺ストロマ細胞の役割を調べる研究については、loxP-pA-loxP-DTAシステムによって標的細胞を特異的に除去するcell ablationマウスの樹立に成功し、mTECの分化阻害因子OPGを発現するmTECサブセットの生理機能を明らかにした。現在、これらのマウスの表現型解析を進めている。 さらに、独自のTCRシーケンス解析法を用いて、老齢期の胸腺におけるTCRレパトアを明らかにした。これまでに蓄積してきたTCRレパトアデータを検索し、老齢期に自己抗原特異的または外来抗原特異的TCRがどのように変化するか、精査を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①胸腺退縮に伴う胸腺ストロマ細胞群の変化:野生型マウスを用いて、若齢期と老齢期の全胸腺ストロマ細胞を単離し、フローサイトメーターで解析した。ストレスホルモンによる急性退縮期の胸腺ストロマ細胞についてはシングルセルRNAseqを行い、髄質上皮細胞(mTEC)が顕著に減少すること、および髄質線維芽細胞においてmTECの回復を促す因子の発現が亢進することを見出した。 ②胸腺退縮の責任ストロマ細胞の探索と特徴づけ・機能分子の同定:胸腺退縮の制御因子候補Fasについて、全身性KOマウスおよび胸腺ストロマ細胞特異的なcKOマウスを作製したが、先行研究の結果は再現されず、Fasは老齢期および妊娠期の胸腺退縮に関与しないことがわかった。また、mTECの分化阻害因子OPGを発現するmTECサブセットを同定した。loxP-pA-loxP-DTAシステムを用いて、当該サブセットがOPGの産生を介してmTEC全体の分化を調節する役割を担うことを明らかにした。 ③胸腺退縮の生理的意義・TCRレパトアへの影響:TCRシーケンス解析法を用いて、老齢期の胸腺におけるTCRレパトアを明らかにした。老齢期特異的TCRのCDR3領域の特性や抗原特異性について、mTEC欠損マウスなどのTCRレパトアと比較しながら解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
①胸腺退縮に伴う胸腺ストロマ細胞群の変化:ストレスホルモンによる退縮から回復中の胸腺に着目し、髄質線維芽細胞に発現する上皮細胞増殖促進因子を同定する。候補因子のKOマウスやcKOマウスの解析を進める。 ②胸腺退縮の責任ストロマ細胞の探索と特徴づけ・機能分子の同定: これまでの候補因子(サイトカイン群やその受容体)のKOマウスの表現型解析を進める。また、OPG産生mTECの生成機構とTCRレパトア選択における機能を明らかにする。 ③胸腺退縮の生理的意義・TCRレパトアへの影響: TCRb鎖レトロジェニックマウスとpMHCテトラマーを用いて、自己または外来のモデル抗原特異的TCRを同定する。これらのTCRクローンが加齢やストレスによる胸腺退縮期にどのように変化するか、前年度までに得たTCRレパトアデータを検索することで明らかにする。研究展開に応じて、TCRabペアを発現するレトロジェニックマウスを作製し、自己免疫の表現型を精査する。
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