Project/Area Number |
23K24153
|
Project/Area Number (Other) |
22H02891 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49070:Immunology-related
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
姜 秀辰 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 寄附研究部門准教授 (30644398)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
|
Keywords | 血管内皮細胞 / 代謝 / 炎症 / 肺疾患 / 解糖系 / サイトカインストーム / 免疫細胞 / Endothelial cell / Cytokine storm / Metabolism / Epigenetics |
Outline of Research at the Start |
組織損傷や感染によって血管内皮細胞に炎症が生じると、凝固因子の発現が増加し、血栓形成を強力に誘導する。この様な血管内恒常性の破綻は敗血症などの全身性炎症反応症候群の重症化に大きく関与する。しかし、何故血管内皮細胞の傷害で凝固と炎症のカスケードが誘導されるのかについては未だに不明である。本研究では、IL-6受容体シグナルにより誘導されるHIF1αに着目して血管内皮細胞の炎症応答に寄与する代謝活性を検討する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、IL-6受容体シグナルにより誘導されるヒストン脱リン酸化酵素であるJmjd1A因子の機能解析及び血管内皮細胞における代謝と炎症のクロストークの分子基盤の解明である。当研究の目的を達成するため、順次に以下のことを明らかにしてきた。1年次:1)血管内皮細胞はIL-6刺激によりHIF1Aを介しJmjd1A発現が誘導することを発見した。さらに、HIF1Aをノックダウンした血管内皮細胞はIL-6シグナルに対し、炎症メディエーターであるIL-6,MCP-1,PAI-1の産生が低下とともにJmjd1Aの発現も抑制された。2)血管内皮細胞における炎症と代謝の関連性を検討するため、IL-6で刺激した血管内皮細胞の解糖系関連遺伝子の発現をRNA-Seq解析を行った。その結果、IL-6刺激により血管内皮細胞における解糖系遺伝子発現がHIF1A依存的に誘導されることを明らかにした。解糖系で代謝されない2-デオキシグルコース(2DG)を処理すると、活性化された血管内皮細胞の炎症応答が顕著に抑制された。この様な結果は、血管内皮細胞の炎症応答は糖代謝の鍵分子であるHIF1Aを介して制御されることが示唆される。2年次も実験計画の通り行い、複数の論文にその成果を発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究の目的を達成するため、令和5年度の研究計画を以下の通りに実施した。 2年次:1)マウス生体内に血管内皮細胞の恒常性に寄与するグリコカリックスの脱落や安定化にIL-6受容体-HIF1A-Jmjd1Aシグナルの関与性を検討した。その結果、敗血症を誘導したマウスの肺血管内皮細胞のグリコカリックスが顕著に脱落したが、HIF1A阻害剤を投与したマウスではグリコカリックスが保たれている現象を電子顕微鏡観察により明らかにした。2)炎症時の血管内皮細胞と免疫細胞の相互作用を検討するため、IL-6受容体であるgp130を血管内皮細胞特異的欠損マウスを作成し、肺組織からプライマリー血管内皮細胞を単離し、解糖系関連遺伝子の発現を検討し、糖代謝及び乳酸産生が低下していた。このような結果は、IL-6シグナルの下流にはHIF1Aが糖代謝を介し炎症性因子の転写を制御するヒストン脱リン酸化酵素の発現を誘導することを明らかにした。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)IL-6受容体-HIF1A-Jmjd1Aシグナルをターゲットとしたサイトカインストームへの治療効果の解明:HIF1A-Jmjd1Aによる凝固・炎症制御機序が急性炎症疾患においてどのように病態形成に関わるのかを明らかにしたい。血管内皮細胞特異的gp130欠損マウスを用い、複数のマウスモデル(エンドトキシンショックモデル、ブレオマイシン誘導性肺炎モデル、熱傷モデル)におけるJmjd1A機能解析をin vivoにて検討する。血清中の炎症性サイトカインやPAI-1の濃度測定、全身性血管内皮の透過性評価、肺血管内皮細胞を用いたグルタミン代謝活性の評価なども行う。さらに、理化学研究所バイオリソース研究センターの化合物ライブラリーを用いIL-6受容体-Jmjd1Aシグナルをターゲットとした阻害剤をスクリーニングし、上記に確立したマウスモデルを用いサイトカインストームに対する治療効果を検討する。
|