Project/Area Number |
23K24157
|
Project/Area Number (Other) |
22H02896 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50010:Tumor biology-related
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千葉 奈津子 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (50361192)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城田 松之 東北大学, 医学系研究科, 講師 (00549462)
方 震宙 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (40963806)
吉野 優樹 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (60755700)
渡部 剛 東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (70451573)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
|
Keywords | 中心体 / がん / DNA損傷 / ゲノム不安定性 / がん治療 |
Outline of Research at the Start |
中心体は、細胞の分裂において遺伝子を均等に分配することに機能し、その異常は発がんやがんの悪性化の原因になる。我々は、中心体を制御する分裂期キナーゼが遺伝性乳がん卵巣がん症候群の原因遺伝子産物であるBRCA1の結合分子の中心体局在の低下を介して、中心体の複製に機能すること、BRCA1が核内のDNA損傷シグナルを中心体に伝達し、中心体数の増加を起こすことを明らかにした。本研究では、これらの機序の詳細をさらに解明し、我々が推進してきた「がんと中心体の生物学」を革新的に発展させる。また、中心体の異常を標的とすることで、がん細胞特異的に分裂期細胞死を引き起こすがん治療法を開発する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
中心体は、微小管形成中心として機能し、分裂期に紡錘体極として娘細胞への均等な染色体分配を担い、その異常は発がんの原因になる。一方、中心体の異常は正常細胞にはない明らかながんの特徴で、がんの診断や治療の標的として有望である。遺伝性乳がん卵巣がん症候群の原因遺伝子産物であるBreast Cancer 1 (BRCA1)は、従来よりDNA修復能が注目されてきたが、我々はBRCA1結合分子Obg-like ATPase 1 (OLA1)などを同定し、BRCA1がこれらの分子とともに中心体の複製を制御し、その機能破綻が中心体数を増加させ、乳腺での発がんに関与することを明らかにしてきた。 R5年度は、分裂期キナーゼAurora AがE3ユビキチンリガーゼ活性 (E3活性) を持ち、OLA1をユビキチン化して、プロテアソームを介して分解に導き、G2期のOLA1の中心体局在を低下させ、それにより中心小体周辺物質のタンパク質の中心体へのリクルートを促進して、中心体成熟を進めることを明らかにした。また、Aurora Aのキナーゼ活性が、Aurora AのE3活性には抑制的に機能することが明らかになり、Aurora AがE3活性とキナーゼ活性をG2期からM期に連続的に機能を発揮することで、中心体の成熟を促進することを明らかにした。 また、Ola1 ヘテロノックアウトマウスが、雌マウスでのみ悪性リンパ腫などを形成し、これらの悪性化と中心体数の増加に相関があることが明らかになった。さらに、OLA1の発現抑制による中心体の異常をエストロゲン刺激が抑制することも示された。よって、高度の中心体数の増加は発がんに抑制的に作用し、この機構が遺伝性乳がん卵巣がん症候群における組織特異的な発がん機構に関与することが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究により、Aurora AがE3活性を持ち、OLA1をユビキチン化して、OLA1の中心体局在を低下させ、それにより中心小体周辺物質のタンパク質の中心体へのリクルートを促進して、中心体成熟を進めることことに関して、英文論文として発表した。現在はさらに、このAurora AによるOLA1のユビキチン化に、BRCA1、OLA1の結合分子であるBARD1も関与すること、さらにこの機構がBARD1の細胞周期におけるリン酸化と脱リン酸化が関与することについて解析している。 また、Aurora AがE3活性阻害剤の同定のために、ハイスループットに化合物スクリーニングが可能な系の開発を行っている。 Ola1 ヘテロノックアウトマウスの腫瘍形成にエストロゲン刺激が関与することに関しても英文論文として発表した。 さらに、前年度にBRCA1がDNA損傷シグナルを核から中心体に伝達し、中心体数を増加させることを明らかにしたが、OLA1もこの機構に関与することが明らかになり、DNA損傷センサーによるOLA1のリン酸化やOLA1の核外移行シグナルが重要であることが明らかになっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
Aurora AのE3活性の中心体制御能に関しては、Aurora AによるOLA1のユビキチン化におけるBARD1の機能を解明して、論文発表を行う。また、精製した中心体タンパク質で、in vitroユビキチネーションアッセイを行い、プロテオーム解析でAurora AのE3活性の新たな基質を同定し、BRCA1関連分子との相互作用や中心体への影響を解析する。Aurora AがE3活性阻害剤を同定し、中心体への影響や抗腫瘍効果を細胞やマウス移植腫瘍で解析する。 がんで高発現しており、乳がんのaddiction遺伝子としても同定されている因子の発現抑制が、DNA損傷後の殺細胞効果を増強するため、中心体数増加に引き続くクラスタリング阻害による新しい中心体標的療法を開発する。そのため、クラスタリング阻害剤としてこの因子の阻害剤で処理し、中心体数増加、多極紡錘体形成、殺細胞効果を解析する。効果的な阻害剤処理のタイミングも検討する。また、中心体数の増加の程度の異なるがん細胞株のマウス移植腫瘍や、Ola1 KOマウスに発症する中心体数増加を伴うリンパ腫、中心体数増加処理後の阻害剤投与の効果を検討する。 BRCA1関連分子の異常による組織特異的な発がんとの関連について、エストロゲン刺激のAurora AのE3活性、中心体のDNA損傷応答へ影響を解析する。また、Ola1KO(+/-)マウスでエストロゲン投与の腫瘍形成への影響、中心体標的療法への影響を解析する。また、中心体数が増加した乳腺腫瘍を発症すると考えられるK14-p53-/-Ola1+/-マウスを作製し、解析する。
|