Project/Area Number |
23K24183
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Project/Area Number (Other) |
22H02922 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50020:Tumor diagnostics and therapeutics-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池永 直樹 九州大学, 大学病院, 講師 (90759755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐田 政史 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (10783508)
水内 祐介 九州大学, 大学病院, 助教 (20849088)
永吉 絹子 九州大学, 大学病院, 助教 (90761015)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
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Keywords | 膵癌 / マイクロバイオーム / 腫瘍関連好中球 / 微小環境 / 腫瘍免疫 / オルガノイド / 腫瘍微小環境 |
Outline of Research at the Start |
膵がんには間質反応の主因たる膵星細胞に加え多種多様なマイクロバイオームと免疫細胞が共生しており、これらはがん細胞とともに一種の“ミニエコシステム”を構築している。本研究では、がん微小環境を形成するキャストとしてマイクロバイオームと腫瘍関連好中球に着目し、微小環境を再現できる膵がん3Dオルガノイドとマイクロバイオーム改変マウスの解析を基盤に、膵がんミニエコシステムの仕組みを包括的に解明する。最終的にはミニエコシステムの維持に重要な新規分子を同定し、これを治療標的とすることで免疫抑制性微小環境を抗腫瘍性微小環境に改変する間質標的膵がん治療の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、マイクロバイオームと好中球が構築する免疫抑制性微小環境のメカニズムを明らかにし、抗腫瘍環境へと誘導する新たな治療標的を見つけることである。まず、本目的を達成するために以下の実験系を確立した。 1.In vitroで腫瘍関連好中球とマイクロバイオームを解析するため、ヒトHL-60細胞株を用いた分化培養好中球、Fusobacterium nucleatum (F. nucleatum)の培養法 2.マウス膵癌モデルにおける皮下腫瘍内好中球とマイクロバイオームの解析法 3.ヒト膵癌組織における腫瘍関連好中球とマイクロバイオームに由来する分子の免疫染色解析法 これまでの解析で、膵癌腫瘍内でF. nucleatumが免疫抑制性微小環境を構築し、膵癌の進展を促進していることを明らかにした。F. nucleatumは膵癌細胞のサイトカイン(CXCL1)分泌を誘導し、CXCL1-CXCR2 axisを介して抑制性骨髄由来細胞を誘導や、腫瘍内のT細胞浸潤低下を引き起こしていることを明らかにした。また、膵癌内の腫瘍関連好中球がT細胞の活動を抑制する特異的分子(免疫チェックポイント分子XX)を高発現し、T細胞の抗腫瘍機能を抑制してることを明らかにした。免疫チェックポイント分子XXの抑制により、膵癌の進展が抑えられることもマウスモデルで確認し、現在論文投稿中である。さらに、好中球が腫瘍内で免疫抑制性細胞にphenotypeを変化させるメカニズムの一つとしてオートファジーに注目し、好中球内のオートファジーが腫瘍関連好中球と膵癌細胞との相互作用においてどのような影響を与えるかについても解析を進めている。これらの研究成果は、腫瘍内マイクロバイオームが免疫抑制性微小環境を構築するメカニズムの一端を示すもので、新たな治療標的の発見につながる大きな成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腫瘍内のマイクロバイオームと腫瘍関連好中球が腫瘍の進展に与える影響を、in vitro、in vivoで解析し、そのメカニズムの一端を明らかにできたため、おおむね順調に進展していると判断する。以下、これまでの成果を列記する。1.ヒト骨髄系幹細胞株であるHL-60細胞にサイトカインとDMSOを添加し、好中球への分化に成功した。2.培養好中球に膵癌細胞株の上清を添加し、腫瘍関連好中球を作成した。3.腫瘍関連好中球の上精を採取し、膵癌細胞株に添加し膵癌細胞株の増殖・浸潤・遊走能を評価した。4.腫瘍関連好中球が分泌するケミカルメディエーターをマイクロアレイとサイトカインアレイより同定した。5.腫瘍内に存在するF. nucleatumと癌細胞の共培養実験により、F. nucleatum共存癌細胞が特異的に分泌するCXCL1を同定した。6.CXCL1が膵癌の進展に重要であることをin vitro, in vivo実験で明らかにした。7.腫瘍関連好中球が腫瘍浸潤T細胞を抑制することを確認した。8.マイクロアレイで同定した腫瘍関連好中球に発現する免疫チェックポイント分子XXが、腫瘍浸潤T細胞の活動性を抑制することを薬理学的および遺伝学的なXXの抑制を通して明らかにした。9.マイクロバイオームの変化を改変する目的で抗生剤投与を行い、腫瘍の増殖に変化することを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
F. nucleatumと腫瘍関連好中球の相互作用を明らかにするため、マイクロバイオームやその分子のdeletion実験を行う。マイクロアレイで同定した免疫チェックポイントXX以外の候補分子についてもin vitro抑制実験を行い、腫瘍の増殖・浸潤に重要な働きを持つ腫瘍関連好中球関連分子を同定する。既存のチェックポイント阻害剤PD-1抗体と同定した免疫チェックポイント抑制の併用実験により、膵癌における免疫治療を強化する試みも行う。また、好中球のphenotype変化のメカニズムを明らかにするためオートファジ―に着目し、オートファジー阻害により腫瘍関連好中球へのphenotype switchの抑制を試みる。
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