Project/Area Number |
23K24195
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Project/Area Number (Other) |
22H02934 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50020:Tumor diagnostics and therapeutics-related
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
松下 博和 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫制御TR分野, 分野長 (80597782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 浩章 帝京大学, 医学部, 教授 (20365274)
籠谷 勇紀 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (70706960)
真砂 勝泰 愛知県がんセンター(研究所), がん病態生理学分野, 研究員 (80338160)
山口 類 愛知県がんセンター(研究所), システム解析学分野, 分野長 (90380675)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,150,000 (Direct Cost: ¥5,500,000、Indirect Cost: ¥1,650,000)
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Keywords | 肺癌 / 腫瘍抗原 / T細胞 / 術後再発予防 / がんワクチン |
Outline of Research at the Start |
肺癌の術後補助がんワクチン療法に向けた基盤データを構築するため、腫瘍抗原の違いによるT細胞の運命決定と術後の再発予防効果との関連を明らかにする。がん抗原ペプチドを自己のB-APCあるいはHLA発現人工APCにロードして目的のTCR遺伝子を導入した健常人CD8T細胞を刺激し、どのようなT細胞に分化するかをフローサイトメーターやシングルセル解析で明らかにする。そして、その患者の生体内で誘導されていた同一のT細胞の表現型と比較する。さらに、若いメモリーT細胞が術後の再発予防に寄与している可能性を、肺癌の再発、無再発症例の検体を用いて検討し、肺癌の術後補助がんワクチン療法の治療戦略に活かす。
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Outline of Annual Research Achievements |
手術で切除された肺癌検体中のCD8+TILについて,single cell RNA解析とTCR解析を行った。同時に、肺癌検体から全エクソン解析及びRNA解析(バルク)を行い,そのデータを用いてネオ抗原およびがん精巣抗原であるKK-LC-1由来抗原エピトープを予測した。TCR遺伝子を人工合成し,transcriptionally active PCR (TAP) fragmentsを利用してJurkat細胞に発現させた。ルシフェラーゼレポーターアッセイによりTCRと抗原エピトープとの反応性を検証した。 CD8+T細胞は、遺伝子発現プロファイルによって10のクラスターに分類された。ENTPD1(CD39),TOX,PDCD1(PD1)などの遺伝子発現を特徴とする疲弊クラスター(Texクラスター)が同定された。肺がん3例のTexクラスターには,5種のKK-LC-1由来抗原と4種のネオ抗原を認識する計9種の異なるTCRクロノタイプが含まれていた。腫瘍抗原特異的T細胞(n=140)を再クラスタリングすると,同じTexクラスター内でもGZMAとPRF1の発現を特徴とする‘effector-like’T細胞とCCR7 と IL-7Rの発現を特徴とする‘progenitor-like’T細胞に分けられ,またT細胞クロノタイプごとに分化段階や機能状態が異なることが明らかになった。また、GSEAおよびssGSEAの結果からは、T細胞のシグナル伝達,活性化,増殖,サイトカイン産生に関連する遺伝子セットが,ネオ抗原に反応するT細胞群でenrichしていた。TCRシグナル強度はKK-LC-1由来抗原よりもネオ抗原に反応するTCRの方が高いことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肺癌3例から、5種のKK-LC-1抗原と4種のネオ抗原を認識する計9種の異なるTCRクロノタイプを同定し論文発表した(Komuro et al, J Immunother Cancer 2023)。GSEAおよびssGSEAの結果からは、T細胞のシグナル伝達,活性化,増殖,サイトカイン産生に関連する遺伝子セットが,がん精巣抗原に比べて、ネオ抗原に反応するT細胞群で強くなっていることを示した。また、TCRシグナル強度もKK-LC-1由来抗原よりもネオ抗原に反応するTCRの方が高いことが示された。腫瘍抗原の違いによるT細胞活性化と術後再発予防効果との関連を明らかにし、将来の肺癌の術後補助がんワクチン治療戦略に向けた基礎データを得ることができた。 現在、さらに肺癌症例を増やして検証している。一方で、肺癌の初発、再発のペア検体が得られにくく、肺癌の再発検体の収集が遅れていることから、初発と再発検体の比較検討ができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
シングルセル解析とAIによるがん抗原予測アルゴリズムを組み合わせることで、肺癌検体から、ネオ抗原やがん精巣抗原等の抗原エピトープと、それらを特異的に認識するT細胞を同定するシステムを構築することができた。しかし、肺癌の再発検体の収集が遅れていることから、本研究の目的の一つである初発と再発での抗原や抗原特異的T細胞の比較検討ができていない。したがって、初発の腫瘍検体が保存されている症例について、引き続き再発症例の検体の収集に努める。 一方で、当センターで2019年より肺癌検体の収集を開始した手術症例の中で、無再発症例100例と再発症例50例程度で、がん抗原の性質や腫瘍免疫微小環境に関する網羅的な比較解析を行う。これらの網羅的な解析に加え、上記の初発、再発のペア検体を収集して、抗原消失や抗原特異的T細胞の変化など免疫逃避のメカニズムを探り、肺癌の再発予防の戦略を検討する。
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