Project/Area Number |
23K24202
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Project/Area Number (Other) |
22H02941 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 51020:Cognitive and brain science-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小川 園子 筑波大学, 人間系, 特令教授 (50396610)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,760,000 (Direct Cost: ¥5,200,000、Indirect Cost: ¥1,560,000)
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Keywords | エストロゲン受容体ベータ / 社会行動神経ネットワーク / 性行動・攻撃行動 / 社会的不安・選好性 / 出産後雌の社会行動 / 性行動 / 攻撃行動 / 社会的不安 / 社会的選好性 |
Outline of Research at the Start |
エストロゲン受容体、アルファ(ERa)とベータ(ERb)は、雌雄各々において、性ステロイドホルモンによる適応的な社会行動の発現制御に重要な役割を果たしている。両者は,エストラジオールへの結合親和性や転写制御因子としての作用機序には大きな違いがないものの、脳内での局在や共発現タンパクが大きく異なる。本研究では、ERaに比べて理解が大きく遅れているERbが社会行動表出の調節に果たす役割に焦点をあて、雌雄のマウスの各々において、社会行動神経ネットワークに局在するERb陽性細胞が、ERaとの協働による社会行動の適応的表出にどのように貢献しているのかについて包括的に理解することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主要目的は、社会行動の発現の調節に関与するエストロゲン受容体、なかでも未知の部分が多いERbの役割に着目し、行動神経科学の最先端の技術を用いて解析することにより、性ステロイドホルモンによる社会行動神経ネットワークの機能調節を理解することにある。雄マウスでは、攻撃行動や性行動をはじめとするさまざまな社会行動が、縄張り維持や繁殖に重要な役割を果たしているが、このような社会行動の効率的、適応的な表出には、相手の性や生殖状態などの特性に関する情報を的確に処理することが必要である。ところが、その神経回路基盤については明らかとなっていなかったため、2022年度には内側扁桃体後背側部に局在するERb陽性(MeA-ERb)細胞群に着目して解析を行なった。MeA-ERb細胞を選択的に操作できるようにした遺伝子組み換え雄マウス(ERb-iCre)を用いて、社会的選好性テスト中のMeA-ERβ細胞の神経活動の記録するとともに、薬理遺伝学的手法によるMeA-ERβ神経活動の抑制が選好性に及ぼす影響と、MeA-ERb細胞の下流の脳領域である分界条床核(BNST)の役割の検討を行なった。その結果、発情状態にある雌個体と非発情雌との区別に基づく社会的選好性と、相手個体が発情雌か雄かの情報に基づく社会的選好性との神経基盤の違いが明らかとなった。すなわち、前者ではMeA-ERb細胞の興奮がBNSTに入力されることが必須であるのに対して、後者では、MeA-ERb細胞の活動とは独立したBNSTの神経集団による制御機構が働いていると結論付けられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度に実施を予定していた研究計画については、十分な成果があがったが、論文投稿、受理が2023年度にずれ込んだため全体として、概ね順調に進展したと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
ERbを介した社会的不安行動の調節の神経ネットワーク機構の解析:ERaと比べてERbの発現細胞が多い上に、ERaとの共発現細胞は極端に少ない(ERb陽性細胞の2%)ことが明らかとなっている外側中隔は、攻撃行動や不安レベルの制御に関わることが知られている。そこで、「外側中隔のERb陽性細胞群を主軸とする神経回路が、社会的不安の調節を介して雄マウスの攻撃行動の最終表出レベルの決定に関与している」という仮説に基づき、ERbの役割と作用機構を解析する。また、攻撃行動や不安レベルの制御に関わる中脳背側縫線核でもERaと比べてERbの発現細胞が優位であり、その多くはセトロニン産生細胞であることから、この領域についても同様な解析する。実験個体として、ERb-iCrgおよびERb-RFPtgの成体雄マウスを用いて、外側中隔、中脳背側縫線核の各々のERb陽性細胞群の作用機構と神経回路の同定を行う。
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