Project/Area Number |
23K24213
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Project/Area Number (Other) |
22H02952 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 51030:Pathophysiologic neuroscience-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
井上 剛 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (40370134)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
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Keywords | 脳神経疾患 / てんかん / 代謝産物 / 電気信号 / ケトン食 / 難治てんかん / スチリペントール |
Outline of Research at the Start |
治療薬が効かない難治性てんかんの創薬は重要である。この難治性てんかんにはケトン食療法が奏功するが、厳しい食事制限が課されるため、ケトン食の作用機構に基づく治療薬が切望されている。そこで本研究では、ケトン食による「代謝変化」とてんかん発作に伴う「電気活動変化」を繋ぐ、未知の脳内シグナル経路を同定する。さらに、この「代謝-電気クロストーク経路」の制御法を確立し、本経路を標的とした新規てんかん創薬基盤を構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
治療薬でコントロールできない「難治てんかん」の新薬開発は重要である。そこで本研究では、最終的な新薬開発を目指し、難治てんかんに有効性を示す「ケトン食」の作用メカニズム解析を進める。具体的には、ケトン食代謝と電気信号変化を繋ぐ「代謝-電気クロストーク経路」に着目し、本年度は以下2項目を実施した。 1、ケトン食の主要代謝産物であるケトン体に関しては、神経電気制御作用と抗てんかん作用が知られているが、それ以外のケトン食代謝産物の電気制御作用・抗てんかん作用については不明な点が多い。我々はこれまで、メタボローム解析によるケトン食代謝産物の網羅的同定とマウス脳スライス標本からのパッチクランプ測定法を組み合わせ、電気制御作用を示すケトン食代謝産物を同定している。そこで本年度は、パッチクランプ法を用いた電気生理実験によりメカニズム解析を行い、その作用分子を特定した。さらに、この代謝産物をてんかんモデルマウスに投与して in vivo 抗てんかん作用を評価した。 2、我々はこれまで、ケトン食代謝と電気信号変化を繋ぐ分子として乳酸脱水素酵素を見出し(Science 2015, Epilepsia 2020)、さらに既存薬スチリペントールを構造改変することで、強力な乳酸脱水素酵素阻害作用と抗てんかん作用を併せ持つ新規化合物を見出している。そこで本年度は、抗てんかん作用評価に汎用される急性モデルやヒト病態に近い慢性モデルといった複数のモデルマウスを用いて in vivo 抗てんかん作用を評価すると共に、そのメカニズム解析も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、ケトン食代謝による電気信号制御のメカニズムを明らかにし、難治てんかんの新薬開発に繋げることである。令和5年度(2年目)までに、メタボローム解析によるケトン食代謝産物の網羅的同定から脳スライス標本のパッチクランプ測定により、神経電気制御作用を持つケトン食代謝産物を見出し、その in vivo 抗てんかん作用評価を進めている。さらに、ケトン食代謝-電気クロストーク経路上に存在する乳酸脱水素酵素に関しては、本酵素に作用し in vivo 抗てんかん作用を示す新規化合物も見出している。上記を踏まえ、順調に研究が進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度までに明らかにした神経電気制御作用・抗てんかん作用を有するケトン食代謝産物に関し、最終年度(令和6年度)ではその化学構造を改変することによって、強力な電気制御作用・抗てんかん作用を有する化合物を探索し、新薬開発へと繋げる。また、我々が既に明らかにしているケトン食代謝-電気クロストーク経路上の乳酸脱水素酵素に関しては、その下流シグナル経路を明らかにすると共に、見いだした抗てんかん作用化合物の特性評価(薬効評価、薬物動態評価)を引き続き進める。さらに、ケトン食代謝産物であるケトン体の作用分子として既に同定済みの電位依存性カルシウムチャネルに関しても、薬効と薬物動態の両側面から本分子に作用する抗てんかん作用化合物を探索する。
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