Project/Area Number |
23K24228
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Project/Area Number (Other) |
22H02967 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52010:General internal medicine-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三善 英知 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20322183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 佳宏 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30622609)
近藤 純平 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (80624593)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,320,000 (Direct Cost: ¥6,400,000、Indirect Cost: ¥1,920,000)
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Keywords | 糖鎖 / バイオマーカー / がん / フコシル化 / Mac-2bp / ハプトグロビン / オルガノイド / 次世代型糖鎖抗体 / 組織培養 / 臨床検査 |
Outline of Research at the Start |
これまで長年構築してきた糖鎖の解析技術、次世代型糖鎖抗体、糖鎖リモデリング細胞を用いて、糖鎖バイオマーカーのもつ生物学的機能を解明し、糖鎖バイオマーカーを使ったプレシジョンメデイシンの構築を目指す。今日まで発見された多くのバイオマーカーによって、疾患の診断だけを目的にした新規のマーカー開発は限られている。そのバイオマーカーの産生機序/生物機能の解明によって、治療法の選択を決めることができるかもしれない。がんに伴う慢性炎症と、がんそのものの生物学的反応を見分けることによって、より本質的な糖鎖バイオマーカーを多角的に評価できると考えられる。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究実績としては、大きく3つある。まず1つ目として、昨年度から行ってきたツインリサーチ研究で、糖鎖バイオマーカーの糖鎖の部分とタンパク質の部分のどちらが遺伝因子/環境因子の検討した結果、糖鎖の部分の方がより環境因子(疾患)の影響を受けやすいことを見出し、Glyoconjugate Journalに公表した。 2つ目の成果としては、糖鎖バイオマーカーの1つであるMac-2 binding protein (Mac-2bp)は主に分子量90Kとして血中に存在するが、切断された70Kに対する特異的な抗体19-8Hの樹立に成功し、がん細胞や免疫細胞の表面にこの70K Mac-2bpが結合していることを見出した(J. Biochem)。恐らく70Kの出来やすさには、特定のプロテアーゼの発現だけでなく、糖鎖が関与すると予想される。また70K Mac-2bpは細胞表面の何らかの受容体に結合し、そのシグナル伝達に関与する可能性があり、生物学的機能の解析も待たれる。 3つ目の成果としては、フコシル化ハプトグロビンに対する次世代型糖鎖抗体として樹立した10-7G抗体が捉えるプロハプトグロビンが、新しい疾患バイオマーカーであることを見出した。まず大腸がんの臨床病期に分けて考えるとStage IVで著増するが、Stage IからIIIにおいても10-7G値(10-7G抗体ELISAで測定した血中フコシル化ハプトグロビン)が高い症例では予後不良であること、プロハプトグロビンを過剰発現させた大腸がん細胞ではEMT様変化を呈することを見出した(BBRC)。さらに免疫チェックポイント阻害薬治療を行った腎臓患者において、治療前の10-7G値は、治療効果を予測できることを見出した(Sic Rep)。以上のデータは、プロハプトグロビンの生物学的な機能と関連する可能性があり、今後の解析が待たれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
次世代型糖鎖抗体を使った実験から、70Kの断片化されたMac-2bpに生物学的機能を示唆する知見が得られたことは望外である。また、当初から10-7G値の測定が安定しているため、これまでのレクチンー抗体ーELISA法以上に臨床応用が期待されていた。プロハプトグロビンの産生細胞が炎症局所におけるリンパ球系の細胞であることを前提に、プロハプトグロビンは疾患の微小環境を反映したバイオマーカーであることが示唆された。 さらに、プロハプトグロビンの過剰発現によって大腸がん細胞の形態変化が見られたこと、10-7G値ががん免疫チェックポイント阻害薬の効果判定を予測するサロゲートマーカーである可能性を示せたことは画期的な結果と言える。今後プロハプトグロビンの生物学的機能の解析を進めることで基盤データの強化を図り、実際の臨床応用を目指してAMEDなどの大型予算獲得を目指したい。 一方、オルガノイド研究においては、研究室の学生がその扱いに未経験であったため、実験が少し遅延し、予想以上の結果が出なかった。最終年度は、この研究も加速化し、新しい知見を生み出す基盤を構築したい。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況の部分にも記載したが、今後70K Mac-2 bpとプロハプトグロビンの生物学的機能を明らかにしたい。バイオマーカーを使ってプレシジョンメデイシンを目指すためには、バイオマーカーの産生機序を明らかにすることが大切である。さらに生物学的機能をもつバイオマーカーの場合は、その値に重みをつける可能性がある。最終的に統合的な解析を行うためには、数理モデルやAI解析が必須と考える。現在、数理データサイエンスセンターのコースに数名の学生を派遣し、研究手法を学んでいる。実際、昨年度はその技術を使ってBBRPに論文を出すことができた。 一方、偶然ではあるが免疫チェックポイント阻害薬の治療前の効果判定を、血中プロハプトグロビンが有効であることには驚いた(特許出願)。もちろんプロハプトグロビンが局所で免疫機能を制御している可能性もあるが、今のところは間接的な効果ではないかと考えている。現在、プロハプトグロビンのトランスジェニックマウスを用いて、動物実験による検証を行っている。また、理学研究科との共同研究によって、ハプトグロビンとプロハプトグロビンの糖鎖を含めた立体構造の違いなども探索している。
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