Project/Area Number |
23K24235
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Project/Area Number (Other) |
22H02974 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52010:General internal medicine-related
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
田部 陽子 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (70306968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藍 智彦 順天堂大学, 医学部, 教授 (00570128)
岡崎 康司 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー (80280733)
木村 晋也 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359794)
里 史明 順天堂大学, 薬学部, 准教授 (10468580)
渡邉 達郎 佐賀大学, 医学部, 特任教授 (20595714)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / DNAメチル化 / BCL-2 / 内在性レトロウイルス / シングルセル解析 |
Outline of Research at the Start |
急性骨髄性白血病(AML)は成人の白血病の中で最も多く、難治性AMLは高齢者に多発する。治療効果向上と副作用低減を両立することを目指して、高齢者AMLを対象とした「抗アポトーシス因子BCL2とDNAメチル基転移酵素DNMTの同時阻害」の臨床試験が進行中だが、同試験では未治療(初発)AMLに卓越した効果が示された一方、既治療(難治)AMLでの有効性は限定的のため、効果識別マーカー(=耐性因子) の特定が喫緊の課題である。本研究では「DNMT阻害剤による内在性ERV活性化」というコンセプトのもとで、難治AMLにおける治療耐性メカニズムを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、難治性急性骨髄性白血病AMLにおけるDNMT阻害剤の抗腫瘍作用機序と耐性獲得の分子機構を明らかにし、「BCL2とDNMT同時阻害」治療の効果識別マーカー(=耐性因子)を探索する。初年度の研究概要として、まず、BCL2阻害剤Venetoclax(VEN)とDNMT阻害剤Decitabine(DEC)による「BCL2とDNMT同時阻害(VEN-DEC)」臨床試験参加症例から採取した臨床検体を用いて、治療奏効群と非奏効群および治療前後のAML細胞内のエピゲノム変化を明らかにし、治療感受性/耐性責任遺伝子候補を抽出することを目的としてDNAメチル化アレイ解析を実施した。その後、DNAメチル化アレイ解析結果をすでに得られているRNA-seq解析結果と統合し、治療奏効群と非奏効群の遺伝子発現/メチル化状態について、未治療症例、再発/難治性症例に分けて解析し、耐性責任候補遺伝子の絞り込みを行った。また、AMLにおけるDNMT阻害剤の抗腫瘍作用機序について、AML患者検体においてヒト遺伝子内に組み込まれた内在性レトロウイルス(ERV)に注目して検証実験を行った。すなわち、①VEN-DEC臨床試験に参加したAML臨床検体において認められた治療後のERV遺伝子発現亢進が、AML細胞株において再現されること、②ERV遺伝子再活性化は、VENではなく、DECによって誘導されること、③DNMT阻害剤(DEC)によって活性化されたERVがインターフェロン誘導遺伝子(ISG)発現を誘導すること、を確認し、ERV double strand RNAによるISG発現亢進(=INF誘導)のシグナル伝達経路について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
VEN-DEC臨床試験参加患者検体を用いたRNA-seq解析およびDNAメチル化アレイ解析データを用いて治療奏効群と非奏効群間の治療前の遺伝子発現およびDNAメチル化レベルの差異を検出し、さらに非奏効群においては、治療前後の遺伝子発現変化とDNAメチル化の関連性について統合的解析を進めた。その結果、非奏効群において奏効群と比較して治療前のDNAメチル化レベルの低下を伴って発現亢進を示す複数の遺伝子が抽出された。さらに、これらの遺伝子の一部は、VEN/DEC治療後にDNAメチル化レベル低下と遺伝子発現亢進を示した。これらの遺伝子には、ISGや代謝関連遺伝子が含まれた。これらのVEN/DEC耐性責任候補遺伝子の発現とDNAメチル化状態の変化を、AML細胞株を用いてqRT-PCRとバイサルファイト・パイロシーケンス法で検証した結果、抽出した候補遺伝子のうち、複数の遺伝子発現がDNAメチル化酵素阻害剤の直接制御下にあることを確認した。また、AML細胞株を用いたoverexpression実験を行い、代謝関連候補遺伝子のoverexpression細胞において、VEN-DEC治療によるapoptosis誘導効果が減弱することを確認した。さらに、AML細胞株を用いてAML細胞内の内在性レトロウイルス(ERV)がDNMT阻害剤によって活性化され、ERV double strand RNAがインターフェロン誘導遺伝子(ISG)の発現を誘導することを示した。内在性ERV遺伝子実験に使用するため研究協力者より提供された凍結臨床検体の一部の保存状態が不良で、新たに臨床検体の追加が必要となり、検体情報の確認に時間を要することが判明した。このため内在性ERV遺伝子の活性化の確認実験及び内在性ERV遺伝子の下流シグナルの検証実験について、追加検体分の実験条件設定作業を延長して実施する必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
AML細胞内の内在性レトロウイルス(ERV)がDNMT阻害剤によって活性化され、ERV double strand RNAがインターフェロン誘導遺伝子(ISG)の発現を誘導する際のシグナル経路について、IRF3を介した経路の活性化とTBK1の役割をTBK1 knock down およびTBK1阻害剤を用いて検証する。これによってDNMT阻害剤によるERV活性化とINF産生につながる下流シグナル経路を示す。また、single cell RNA-seqによって複数のAML細胞クラスターの存在を明らかにし、leukemia stem cell (LSC)クラスター内のAML細胞の遺伝子発現の特徴を抽出することによってVEN-DEC治療耐性に係るLSCの遺伝子発現パターンとLSCにおける耐性責任遺伝子をシングルセルレベルで明らかにする。さらに、他のAML細胞クラスターとLSCクラスターにおいて治療耐性細胞で発現が亢進する遺伝子が一致するか、不一致であるかを調べ、AML細胞に共通して作用する治療耐性関連遺伝子および形質を検討する。
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