Project/Area Number |
23K24248
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Project/Area Number (Other) |
22H02987 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52020:Neurology-related
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
山野 嘉久 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (80445882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 誠 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (90625261)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,760,000 (Direct Cost: ¥5,200,000、Indirect Cost: ¥1,560,000)
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Keywords | HTLV-1 / HAM / シングルセル解析 / TCRレパトア解析 |
Outline of Research at the Start |
ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)関連脊髄症(HAM)は、HTLV-1感染での免疫異常に起因する脊髄の慢性炎症性疾患である。最近研究代表者らは、HAM患者由来検体を用いたエピゲノム・遺伝子発現解析によって、HAMの感染細胞では「疾患特異的なシグナル伝達系異常」が存在し、免疫異常の重要な要因であること、またこの異常が感染細胞のみでなく他の免疫細胞にも及んでいることを見いだした。そこで本研究では、HAMにおける感染細胞―免疫細胞間相互作用についてシングルセルレベルで遺伝子発現等の異常や経時的変化を詳細に解析し、HTLV-1が感染T細胞や免疫系細胞にHAM特異的なシグナル伝達系異常を引き起こす分子機構の全容解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
HTLV-1感染者の約95%は、無症候性キャリア(AC)として生涯を全うするが、感染者の約5%で成人T細胞白血病(ATL)を、約0.3%でHAMを発症する。ACではHTLV-1感染細胞が少なく宿主の免疫によりHTLV-1が制御されているが、ひとたびこの均衡が崩れ宿主免疫の機能が低下するとATLを、免疫が異常な活性化を起こすとHAMを発症する。しかしながら、なぜ同じウイルスが免疫不全症と炎症性疾患という相反する病態を引き起こすのかは不明である。 そこで本研究では、HTLV-1というウイルスに感染した後、ACでは維持されていた感染細胞と宿主免疫のバランスが、HAMではどのように乱されていくのかを、シングルセルレベルで解析することで、HAMの真の病態形成機序を明らかにすることを目的とし、我々が同定したHAMに特異的なシグナル伝達系の活性化が感染細胞と宿主免疫のバランスに与える影響を①ウイルス遺伝子発現による誘導、②T細胞受容体による誘導、③液性因子による誘導の3つの段階に分けてシングルセルレベルでの検証を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HAMに特異的なシグナル伝達系の活性化が感染細胞と宿主免疫のバランスに与える影響を検討するため、HAM患者由来PBMCのシングルセル遺伝子発現解析(scRNA-seq)を実施し、シグナル伝達系遺伝子の発現解析を進めた。またHAM患者由来PBMCを用いてscRNA-seq / scTCRレパトア同時解析を行い、major/minor cloneにおける遺伝子発現の差を検討した。同様にHAM患者髄液細胞を用いてscRNA-seq / scTCRレパトア同時解析を行い、major/minor cloneにおける遺伝子発現の差を検討し、血液中と髄液中でのクローンの分布を比較した。これよりHAMの病態形成に寄与するCTLクローンの同定を行った。また、HAMに特異的なシグナル伝達系の活性化により、炎症性サイトカイン等の液性因子が、周囲に存在するどの種類の細胞にどのような変化を引き起こし得るかを、3日間培養したHAM患者由来PBMC培養上清を神経系細胞株の培養系に添加しscRNA-seqにより検討した。使用する検体も問題なく得られており、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き検討を進める。具体的には、HAM患者由来PBMCを培養し、シングルセル遺伝子発現解析(scRNA-seq)を実施し、HAMに特徴的な変化を明らかにする。さらに、HTLV-1の機能遺伝子であるtaxおよびマイナス鎖に存在するHBZ遺伝子の発現がシグナル伝達系遺伝子の発現亢進に寄与しているかを検討するため、HTLV-1感染CD4+T細胞のなかでもtax発現/非発現細胞、HBZ遺伝子の有無に区別し、シグナル伝達系遺伝子の発現を解析する。 HAM患者由来PBMCを用いて、HLA拘束性HTLV-1 tax特異的テトラマーによりHTLV-1-tax特異的/非特異的CD8+T細胞に分画し、それぞれの細胞のscRNA-seqを行うことでシグナル伝達遺伝子の発現を比較解析する。またscRNA-seq / scTCRレパトア同時解析を行い、major/minor cloneにおける遺伝子発現の差を検討する。さらに疲弊分子や分化関連分子、エフェクター活性といった免疫応答の状態についても解析し、CTLの機能異常の発生過程をシングルセル解析特有の「疑似時系列解析」によって明らかにする。同様にHAM患者髄液細胞を用いてscRNA-seq / scTCRレパトア同時解析を行い、major/minor cloneにおける遺伝子発現の差を検討し、血液中と髄液中でのクローンの分布を比較し、よりHAMの病態形成に寄与するCTLクローンの同定を試みる。 HAMに特異的なシグナル伝達系の活性化により、炎症性サイトカイン等の液性因子が、周囲に存在するどの種類の細胞にどのような変化を引き起こし得るかを、3日間培養したHAM患者由来PBMC培養上清を神経系細胞株の培養系に添加しscRNA-seqにより検討する。
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