統合失調症と気分障害における感情制御ネットワーク障害のニューロンメカニズム
Project/Area Number |
23K24257
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Project/Area Number (Other) |
22H02996 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52030:Psychiatry-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
橋本 隆紀 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (40249959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊知 充 金沢大学, 医学系, 教授 (00377384)
紀本 創兵 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (00405391)
廣澤 徹 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 准教授 (80645127)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥13,910,000 (Direct Cost: ¥10,700,000、Indirect Cost: ¥3,210,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
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Keywords | 感情認知バイアス / GABAニューロン / 死後脳 / 認知機能 / 背外側前頭前野 / GABA / 前頭前野 / 認知機能課題 / 脳磁図 |
Outline of Research at the Start |
統合失調症、双極性感情障害、うつ病の3精神疾患では、感情制御の障害が慢性的な社会的機能の低下や症状の易再燃性につながっている。刺激により生じた感情は、背外側前頭前野、前帯状回、腹外側前頭前野、眼窩前頭皮質などの皮質領域からなる神経ネットワークにより制御されている。本研究では、3疾患における感情制御ネットワーク機能障害のメカニズム解明を目指す。そのために、ネットワークを構成する4皮質領域を対象に、患者と対照者の死後脳の分子発現解析と感情制御課題遂行中の患者および健常者における脳磁図によるオシレーション解析を相補的に組み合わせ、各疾患で感情制御障害の病態に関わる皮質領域とニューロン種を同定する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、対照者、統合失調症患者、双極性障害患者、うつ病患者の各40名(計160名)のDLPFCよりRNAを抽出し、PVニューロンに選択的に発現するカリウムチャネルサブユニットであるKCNS3とGABAニューロンにおいて伝達物質GABAの合成を担うGAD67の遺伝子発現をreal-time PCRを用いmRNAレベルで定量した。その結果、KCNS3 mRNAの発現は、対照者と比較して、統合失調症で22%, 双極性障害で10.9%, うつ病で10%低下していた。GAD6 7mRNAの発現には、対照者と比較して、統合失調症で18.8%, 双極性障害で8.6%、うつ病で8.1%の低下が認められた。定量データは、診断を主要因として、性別、年齢、死後経過時間、RNAの品質の指標であるRNA integrity number (RIN)、脳組織の質の全般的指標であるpH、そして組織の冷凍保存期間を共変数とする共分散分析により解析した。その結果、KCNS3 mRNAについては、 診断による有意な影響[F(3,150)= 6.002, p < 0.001]が検出され、post hoc テストでは対照群と統合失調症群の間で有意な差(p < 0.001)が検出された。一方、対照、双極性障害、うつ病の各郡の間では有意差は認められなかった(p > 0.23)が、統合失調症ではうつ病に比べ有意に低かった(p = 0.049)。GAD67 mRNAについては、診断による有意な影響[F(3,150)= 2.707, p = 0.047]が検出され、post hoc テストでは対照群と統合失調症群の間で有意な差(p = 0.032)が検出された。一方、対照、双極性障害、うつ病の各郡の間では有意差は認められなかった(p > 0.71)。また、統合失調症、双極性障害、うつ病の各郡の間でも有意差は認められなかった(p > 0.22)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は当初計画していた。ADCYAP1, BDNF, NPTX2, NRN1などの錐体ニューロンに発現する分子の発現ができなかった。またコロナ禍で海外出張が困難であり、共同研究先でのDLPFC以外のACC, VLPFC, OFCの各大脳皮質領域からの灰白質組織の準備ができなかった。感情制御の評価については、感情認知および感情認知バイアスの特性とそれを制御する各種認知機能を定量化するコンピュータを用いたシステムCambridge Neuropsychological Test Automated Battery (CANTAB)のライセンスを購入し、患者および対照者ボランティアで計測を始めたが、少数にとどまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
同性で年齢が近い健常対照者、統合失調症患者、双極性障害患者、うつ病患者を1組として、20組を目標に、CANTABを用い感情認知特性および陰性感情を認知しやすい傾向を定量化する。さらに感情の制御を行っている前頭前野の機能を、CANTABを用いた作業記憶課題、実行機能課題、注意課題などで定量し、感情認知やバイアスの指標との相関を評価する。また、健常対照者、統合失調症患者、双極性障害患者、うつ病患者の背外側前頭前野において、錐体ニューロンに発現するADCYAP1, BDNFなどに加えて、PVニューロンおよびSSTニューロン以外のサブタイプである血管作動性腸管ペプチド(VIP)を発現するニューロンに選択的なVIPおよびカルレチニンの発現を定量し、対照からの変化を疾患間で比較する。さらに、共同研究先のピッツバーグ大学に出張し、DLPFC以外のACC, VLPFC, OFCの各大脳皮質領域より灰白質組織を切り出し、RNA抽出のための組織攪拌液を作成し、これらの領域においてGABAニューロンおよび錐体ニューロンの変化を反映する遺伝子の発現解析の準備を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)