Project/Area Number |
23K24258
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Project/Area Number (Other) |
22H02997 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52030:Psychiatry-related
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
山末 英典 浜松医科大学, 医学部, 教授 (80436493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 随象 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70727411)
ベナー 聖子 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 主任研究員 (70772002)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / オキシトシン / オミクス解析 / 分子間相互作用 / サイトカイン / 神経免疫 |
Outline of Research at the Start |
自閉スペクトラム症(以下、ASD)の中核症状には、承認された治療薬が無く、巨大なアンメットニーズとなっている。中核症状に対する初の治療薬としてオキシトシン(以下、OXT)が注目されたが、単回投与での明らかな有効性と対照的に、反復投与での有効性に一貫性が乏しい。代表者はOXT反復投与によって次第に効果が減弱することを報告し、その減弱に関わる候補分子メカニズムを示唆した。本研究では、OXT反復投与によるASD中核症状改善効果の発現・減衰の分子メカニズム解明とマウスモデルを用いた候補分子についての検証を行い、OXT作用発現・減弱機序に注目した新規治療薬シーズ創出に挑む。
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Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症(以下、ASD)の中核症状には、承認された治療薬が無く、巨大なアンメットニーズとなっている。初の中核症状治療薬としてオキシトシン(以下、OXT)が注目されたが、単回投与での一貫した有効性と対照的に、反復投与での有効性に一貫性が乏しい。代表者はOXT反復投与によって次第に効果が減弱することを報告し(Brain 2015; 2019)、その減弱に関わる候補分子メカニズムを示唆した(Molecular Psychiatry 2021など)。本研究では下記の研究項目を設定し、OXT作用発現・減弱機序に注目した新規治療薬シーズの創出に挑む。令和5年度は主に以下の実績を得た。 (1)OXT投与によるASD中核症状改善効果の発現・減衰の分子メカニズム解明 RCTデータベースを整備し、網羅的サイトカイン濃度データについて解析を進め、IL-7, IL-9, MIP1bに共通してOXTの臨床効果ピーク用量(TTA-121 6U)をピークとした逆U字型の用量反応関係を見出し、さらに、クロスオーバー試験の前半のみのデータセットでも、このサイトカインに対するOXT投与効果を追試した。また、これらのサイトカインに対するOXT投与効果は臨床効果とも一貫して相関した。これらの成果についてBrain Behavior and Immunity誌より論文発表した。また、OXT作用発現・減弱機序に注目した新規治療薬シーズの創出の重要性についての総説論文もPeptide誌より発表した。 (2)マウスモデルを用いた候補分子についての検証実験 R4年度に開発したマウスの全自動集団飼育行動測定システムを用いた複数用量の候補薬剤投与実験体制を用いてOXTと相互作用が推定される物質を組み合わせることでOXT単独高用量投与で認められた社会行動への効果減衰を回避出来ることを実証し、特許出願を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度末までに以下の成果を得ており、当初の計画通りに進捗していると考えられる。 (1)OXT投与によるASD中核症状改善効果の発現・減衰の分子メカニズム解明 R3年度までに代表者がPIとして、合計275名のASD者を対象としたOXT経鼻剤の複数の無作為割付二重盲検プラセボ対照臨床試験から収集した、臨床指標、客観定量行動指標、脳画像、遺伝子と網羅的分子解析の多層的オミクス情報からなるデータセットの統合的解析を進めた。そして、網羅的サイトカイン濃度データについての解析から、IL-7, IL-9, MIP1bに共通してOXTの臨床効果ピーク用量(TTA-121 6U)をピークとした逆U字型の用量反応関係を見出し、クロスオーバー試験の前半のみのデータセットでもこのサイトカインに対するOXT投与効果を追試した。これらのサイトカイン濃度はいずれもOXT4週間投与によって上昇していた。また、これらのサイトカインに対するOXT投与効果はASDの社会的相互作用の困難に対する臨床効果と一貫して相関した。OXTによる臨床効果の背景に免疫システムの亢進が関与することを示唆する結果と解釈された(Brain Behavior and Immunity 2024)。また、OXT作用発現・減弱機序に注目した新規治療薬シーズの創出の重要性についての総説論文も発表した(Peptide 2024)。 (2)マウスモデルを用いた候補分子についての検証実験 R4年度に開発したマウスの全自動集団飼育行動測定システムを用いた候補薬剤投与実験体制を用いてOXTと相互作用が推定される物質を組み合わせることでOXT単独高用量投与で認められた社会行動への効果減衰あるいは下肢の運動機能障害や低体温などの副作用も回避出来ることを実証し、発見後は速やかに特許出願を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は各項目について下記のように計画を推進する。 (1)OXT投与によるASD中核症状改善効果の発現・減衰の分子メカニズム解明 R5年度までに認めたOXTによるサイトカイン濃度変化について、その脳内分子メカニズムを検討するため、OXT経鼻投与による社会行動改善効果の背景の脳内ミクログリア活性の変化を測定するPETを用いた臨床研究を特定臨床研究として行う。すでに計画を固めて学内審査を終えており、R6年度はデータ収集を進める。また、RCTデータベースの統合的解析を進めて、血中サイトカイン濃度変化と関連する遺伝子・分子特徴やOXT投与による変化を探索し、研究成果の発表準備を進める。 (2)マウスモデルを用いた候補分子についての検証実験 R5年度に発見したOXTと相互作用が推定される物質を組み合わせることでOXT単独高用量投与で認められた社会行動への効果減衰あるいは下肢の運動機能障害や低体温などの副作用も回避出来る発見について特許出願を完了させる。さらに臨床応用に繋げるために、様々な投与方法について検討を進めて、OXT高用量投与や反復投与による効果減衰を制御して社会行動改善効果を頑健に最大化する最適用量用法を探索する。研究成果の企業導出を図り臨床開発につなげる。
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