Project/Area Number |
23K24302
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Project/Area Number (Other) |
22H03041 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52050:Embryonic medicine and pediatrics-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡田 賢 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (80457241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小原 收 公益財団法人かずさDNA研究所, その他部局等, 副所長 (20370926)
溝口 洋子 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (30750533)
津村 弥来 広島大学, 医系科学研究科(医), 研究員 (80646274)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
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Keywords | 原発性免疫不全症 / ウイルス / I型インターフェロン / STAT1 / 易感染性 / インターフェロン過剰 / RelA / 中和抗体 / 自己抗体 / 遺伝子異常 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、ウイルスに対して易感染性を示すPIDに着目し、その病因病態解明を行う。既知遺伝子の解析で原因不明の該当患者に対し、全エクソーム解析、ターゲットRNAシーケンスを併用した網羅的解析による新規責任遺伝子の同定を行う。DNA、RNAを対象とした包括的な解析と、個別のタンパク質(抗I型IFN抗体、STAT1分子)に着目した詳細な解析を展開し、『I型IFNの障害によるウイルス易感染性』という疾患概念を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
原発性免疫不全症(PID)は、宿主免疫の障害により多様な病原体に対して易感染性を示す疾患で、その多くは単一遺伝子の異常により発症する。過去に400を超える責任遺伝子が同定され、それに基づいて病態解明が行われてきた。その結果、遺伝子診断はPID患者の診断確定のみならず、治療法の選択にも重要な役割を担うようになった。 本研究では、I型インターフェロンに着目してPIDの病因病態解明に取り組んだ。その結果、I型インターフェロン過剰状態を示す患者において、RELA遺伝子異常を同定することができた。RelAは、その半量不全によりベーチェット病様の症状を示すことが知られていたが、同定した患者は既報告例と比較して重篤な症状を示した。詳細な機能解析を行ったところ、同定した変異は優性阻害効果を示すことが判明し、新規のPIDとして『優性阻害効果によるRelA異常症』の疾患概念を確立し論文報告した(Moriya K, et al. J Exp Med., 2023)。その後も病態解明研究に取り組むことで、優性阻害効果を呈するRELA変異と、半量不全効果を示すRELA変異との間に一定の法則性が存在することが判明し、論文化に向けた作業を行っている。 並行して、STAT1機能獲得型変異の背景に存在する分子病態の解析を行った。STAT1機能獲得型変異は、その過剰なリン酸化を背景に過剰なシグナル伝達を示す。詳細な解析の結果、STAT1機能獲得型変異はホスファターゼによる脱リン酸化に抵抗性を示すことを明らかとし、近日中に論文投稿の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
国際共同研究(COVID Human Genetic Effort)に参加し、I型インターフェロンに関連する分子群の異常によるウイルス感染の重症化の実態を調査した。その結果、MyD88やIRAK-4が先天的に障害されたPID患者は、SARS-CoV-2感染症が高率に重症化することを明らかとした。また、COVID-19で致死的経過をたどった小児例2例において、STAT1機能獲得型変異の同定にも成功した。STAT1はインターフェロンのシグナル伝達を担う分子であり、その過剰活性化がCOVID-19重症化に密接に関連する示唆的な症例として論文報告を行った。また、肺線維症で致死的経過をたどった幼児例でIFIH1機能獲得型変異を同定した。IFIH1機能獲得型変異はI型インターフェロン過剰をきたすことが知られており、I型インターフェロン過剰が病態の中核を担うことを示唆する教訓的症例として論文報告した。 常染色体顕性RelA異常症の解析では、優性阻害効果を呈するRELA変異(I型インターフェロン過剰を示す)と、半量不全効果を示すRELA変異との間の法則性を発見しており、現在論文作成中である。また、STAT1機能獲得型変異の分子病態の解析も順調に進んでいる。STAT1に結合する2つの脱リン酸化酵素を見いだし、STAT1機能獲得型変異はこれらの脱リン酸化酵素に抵抗性を示すことを発見した(論文作成中)。一連の進捗状況を加味して、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ウイルス感染で重篤化した患者を対象にした網羅的遺伝子解析、I型インターフェロン中和抗体の測定を継続し、I型インターフェロンとウイルス易感染性との関連性を調査する。特に、COVID-19の重症例おけるI型インターフェロン障害の検討は、社会的インパクトも大きいため重要課題として継続して取り組む。並行して、COVID-19以外のウイルス感染(インフルエンザなど)で重症化した症例においても、同様の解析を行う。特にPID患者では同中和抗体の保有頻度が高いことが判明しており、特定の分子異常によるPIDと同中和抗体の保有率の関係性についても調査する。 他方で、I型インターフェロンの過剰も宿主に対して有害であることが知られている。実際、本研究を介して肺線維症で致死的経過をたどった幼児例でIFIH1機能獲得型変異の同定に成功している。そこで、持続的なⅠ型インターフェロンの過剰産生を中心病態とするメンデル遺伝性疾患であるインターフェロノパチーの病態解析にも取り組む。STAT1機能獲得型変異でも、STAT1を介する過剰なシグナル伝達がインターフェロノパチーを引き起こす。これまでの研究で、STAT1機能獲得型変異は脱リン酸化酵素に対して抵抗性を示すことが判明しており、研究成果をまとめて論文化に取り組む。RelA異常症の解析についても論文執筆作業が進んでおり、期間中の論文化を目指す。並行して、I型インターフェロノパチーの患者を対象に網羅的遺伝子解析を実施し、責任遺伝子の同定を介してその病態解明にも取り組む。
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