Project/Area Number |
23K24373
|
Project/Area Number (Other) |
22H03114 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54020:Connective tissue disease and allergy-related
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石垣 和慶 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー (00790338)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
|
Keywords | リスク多型 / 自己免疫疾患 / ゲノム編集 / 抗サイトカイン療法 / サイトカイン / ゲノム医療 |
Outline of Research at the Start |
抗サイトカイン療法によって自己免疫疾患の臨床転帰は平均的には改善したが、治療反応性に大きな個人差がある。近年、ゲノムワイド関連解析によって自己免疫疾患の発症に関連する多型(リスク多型)が多数同定されたが、各リスク多型とサイトカインとの具体的な対応関係は確認できていない。本研究の目的は、①ゲノム編集技術を駆使してリスク多型機能を高効率に評価する新しい実験系を確立し、②各リスク多型とサイトカインとの対応を明らかにすることである。本研究によって、個々の患者の遺伝子型情報を基にした個別化抗サイトカイン療法という新しい枠組みの治療方法が確立し、個々の患者レベルでの臨床転帰が改善することが期待される。
|
Outline of Annual Research Achievements |
自己免疫疾患は原因不明の難病であるが、抗サイトカイン療法の登場により臨床転帰は改善した。しかし、治療反応性に大きな個人差があるため、個々の患者レベルでは十分な治療効果が得られていない。より多くの患者が抗サイトカイン療法による恩恵を受けるためには、個々の患者毎に最適化された治療戦略(個別化抗サイトカイン療法)を確立することが求められている。疾患群・健常人群を比較したゲノムワイド関連解析は、十分なサンプル数の確保に成功し、発症リスクに関連する多型(リスク多型)を多数同定し、再現研究によってその頑強性も確認された。申請者らもその同定に貢献してきた。これらのリスク多型は、疾患群・健常人群の比較で同定されたものであり、本来は、疾患群内の層別化を意図して検出されたものではない。しかし、各リスク多型とサイトカインとの対応関係を実験的に紐づけることができれば、個々の患者のリスク多型の遺伝子型情報を基にした個別化抗サイトカイン療法を考案できると期待される。 本研究の目的は、①最新のゲノム編集技術を駆使してリスク多型機能を高効率に評価する新しい実験系を確立し、②リスク多型が機能するサイトカイン刺激条件を網羅的にスクリーニングして、各リスク多型とサイトカインとの対応を明らかにすることである。本研究によって、個々の患者の遺伝子型情報を基にした個別化抗サイトカイン療法という新しい枠組みの治療方法が確立し、個々の患者レベルでの臨床転帰が改善することが期待される。 本研課題では、改良版CRISPR-Cas9システムを用いてCD4陽性T細胞に高精度にリスク多型を導入することに成功した。また、リスク多型のクロマチン構造への影響を高効率に評価する実験システムを開発した。これらの技術の併用によって、種々の刺激条件・複数のタイムポイントでリスク多型機能を評価することに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、ゲノム編集で導入するリスク多型の選定、ゲノム編集条件の最適化を行い、ヒト初代免疫細胞に対するリスク多型のゲノム編集技術を確立した。具体的にはBase editorと、MLH1阻害を併用したPrime editing 4または5である。現在、CD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞のゲノム編集実験に成功している。 令和5年度は、多彩な刺激条件におけるリスク多型の機能評価を行った。具体的にはリスク多型が制御するchromatin accessibilityをリスク多型の機能の指標とし、多彩な刺激条件・タイムポイントでCD4陽性T細胞を処理し、リスク多型の機能のダイナミックな変化を評価した。リスク多型のchromatin accessibilityに対する影響を高い効率・精度で評価する新しい実験システム(UNIChro-seq:UNIque molecular identifier counting of regional CHROmatin openness with SEQuencing)を開発し、特許出願を完了した(特願2023-084002:“改良されたATAC-seq法及びキット”)。この実験系では、クロマチンが開いている領域を断片化する際に分子標識を付加することができるため、ライブラリー作成に伴うPCRバイアスを補正することができる。同技術の高度化を進め、複数のリスク多型の機能を同時に評価することに成功した。さらに、ゲノム編集技術によって人工的に導入したリスク多型(人工多型)とUNIChro-seqを併用することで、リスク多型の機能を効率的に評価することにも成功した。 上記、全て当初の計画通り研究を遂行できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、以下の3つの課題を検討している。 1)多彩な刺激条件におけるリスク多型の機能の評価 R6年度は刺激条件のパターンを更に拡大する。多彩な細胞状態のCD4陽性T細胞においてリスク多型の機能を網羅的に評価する。令和5年度に開発したUNIChro-seqを更に高度化し、効率よくリスク多型の機能評価を実施する。 2)複数のタイムポイントにおけるリスク多型機能の評価 遺伝子発現制御は時間変化とともにダイナミックに変化することが知られている。そのため、上述の多彩な細胞条件を複数のタイムポイントで詳細に評価する。 3)公共データベースと上記結果との統合解析を実施することで、リスク多型とサイトカインとの対応関係のリストを作成する。遺伝子多型情報から各種サイトカイン治療への反応を予測するモデルを構築する。そして、患者の遺伝子多型情報に適応し、実臨床における治療反応性の情報との相関を評価する。
|