Project/Area Number |
23K24379
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Project/Area Number (Other) |
22H03120 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54030:Infectious disease medicine-related
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
天野 将之 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (30575080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 正晴 崇城大学, 薬学部, 教授 (00376592)
中村 朋文 熊本大学, 病院, 診療助手 (00772526)
岡田 誠治 熊本大学, ヒトレトロウイルス学共同研究センター, 教授 (50282455)
高宗 暢暁 熊本大学, 熊本創生推進機構, 准教授 (60322749)
刈谷 龍昇 熊本大学, ヒトレトロウイルス学共同研究センター, 特任講師 (40757663)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,540,000 (Direct Cost: ¥5,800,000、Indirect Cost: ¥1,740,000)
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Keywords | HIV-1 / CA蛋白 / 蛋白自己崩壊 / 脱殻 / 薬剤開発 / キャプシド蛋白 / 創薬 / 蛋白自壊 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、HIV-1 粒子骨格を形成する Gag 構造蛋白であるキャプシド(CA)に対して特異的に結合し、更に CA の異常な自己崩壊(自壊)を誘導する事で HIV-1 の増殖を抑制する、新規機序を有する抗 HIV-1 薬の開発を目指すものである。更に、本研究では CA 阻害剤開発で得られた知見を基に、HIV-1 が細胞へ感染後に起こる CA殻の脱殻に関して検討を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、HIV-1の粒子骨格を形成する必須の構造蛋白であるキャプシド(CA)に結合し、CAの異常な自己崩壊(自壊)を誘導する事でHIV-1の増殖を抑制する、新規機序の抗HIV-1薬の開発を目指す。更にCA阻害剤開発で得られた知見を基に、HIV-1が細胞へ感染後に起こるCA殻の脱殻に関して検討を行う。研究代表者はCA特定領域にアミノ酸挿入変異を有するHIV-1変異株において顕著なCA自壊が起こる事を見出し、この異常なCAの自壊はCAのC末端側を発端とする事等を解明し(Amano, Sci Rep, 2019)、CA自壊誘導化合物の発見へと繋げてきた。このCA自壊は野生型CAでも軽度認められ、HIV-1生活環において意義を有すると考えられる。本研究ではCA自壊の責任領域やその機序、HIVの脱殻や複製に対しCA自壊が及ぼす影響について評価する事で、脱殻時のCAの動態に関し新規コンセンサスの確立に貢献し得る可能性がある。研究代表者は新規同定したCA自壊誘導化合物が、感染細胞内で合成されたCAのみならず、成熟HIV-1粒子内に侵入しHIV-1遺伝子を包む殻を形成した CA にも直接作用する事、すなわちHIV-1生活環での異なった段階においてその抗HIV-1作用を発揮する事をこれまで明らかにしてきたが、当該研究期間において、CA自壊誘導化合物の合成展開及び薬効評価を進めた結果、HIV-1 CAの顕著な自壊誘導による抗HIV-1阻害活性を発揮するとともに、良好な抗SARS-CoV-2活性及び抗HBV(B型肝炎ウイルス)活性を発揮する、複数の新規化合物群を開発・同定・報告し(Boateng, Amano, Sugiura, ACS omega, 2022)、同化合物群に関して特許を出願した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々が新規に同定したHIV-1 CA自己崩壊(自壊)誘導化合物の抗HIV-1活性に関する構造最適化を図るため、化合物の合成展開を進めている。当該研究期間中に、30種類の新規化合物群を新たに合成し、抗ウイルス活性の活性評価を行った。その結果、HIV-1 CAの顕著な自壊誘導による抗HIV-1阻害活性を発揮するとともに、良好な抗SARS-CoV-2活性及び抗HBV(B型肝炎ウイルス)活性を発揮する、複数の新規化合物群を同定した(阻害活性は全て感染性ウイルスを用いたアッセイで評価)。これら新規化合物の抗SARS-CoV-2活性に関してSARS-CoV-2変異株を用いて評価した結果、アルファ株・デルタ株では武漢株(野生株)と比較し抗ウイルス活性はほぼ変わらず、免疫回避型変異株であるベータ株・ガンマ株・オミクロン株では抗ウイルス活性の低下を認め、新規化合物はSARS-CoV-2のスパイク蛋白に作用している事が推測された(Boateng, Amano, Sugiura, ACS omega, 2022)。また、これらの新規化合物について特許を出願した(出願番号:特願 2022-032330)。更にCA自壊誘導化合物のマウス体内における動態評価を行った。新規HIV-1 CA自壊誘導化合物群における、これまで開発・報告されてきた他の抗HIV-1剤に無い特性を明らかとしており、本研究計画における達成度は順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
【化合物の構造最適化・合成展開】 合成展開による化合物の構造最適化を継続する。また in silico 結合シミュレーションを並行して行い、得られたデータを基にした定量的構造活性相関(QSAR)解析により新たなファーマコフォアの同定や合成展開にフィードバックする。 【化合物の機能・薬理作用評価】 BALB/c マウスを用いた CA 自壊誘導化合物の in vivo 毒性評価(短期毒性・長期毒性)や、(HPLC や質量分析により)マウス投与後の CA 自壊誘導化合物の PK/PD 評価を行う。HIV-1 感染 PBMC を移植した免疫不全マウス(NOD/SCID マウス)を用いて CA 自壊誘導化合物の in vivo 薬効評価を行う。各種 in vitro アッセイや質量分析等により、CA 自壊誘導化合物が誘導する CA 自壊の機序を検討する。抗SARS-CoV-2活性や抗HBV活性を発揮するCA自壊誘導化合物について、SARS-CoV-2のスパイク蛋白との結合評価、及び各ウイルス間で共通した標的分子に関して評価する。 【CA-化合物間の結合様式の評価】 X 線回析による、CA 自壊誘導化合物と CA の共結晶構造解析やクライオ電顕解析により詳細な結合様式の検討を行い、効果的な合成展開につなげる。様々な部位での欠損変異/点変異 CA 発現プラスミドを網羅的に作成し、各変異 CA に対する CA 自壊誘導能の変化を検討する。
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