Project/Area Number |
23K24533
|
Project/Area Number (Other) |
22H03275 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57040:Regenerative dentistry and dental engineering-related
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加治屋 幹人 広島大学, 病院(歯), 教授 (00633041)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 健彦 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (10274127)
太田 耕司 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (20335681)
池谷 真 京都大学, iPS細胞研究所, 准教授 (20442923)
加藤 功一 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (50283875)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
|
Keywords | 間葉系幹細胞集塊 / 神経堤細胞由来間葉系幹細胞 / 顎骨オルガノイド / 歯肉オルガノイド |
Outline of Research at the Start |
本研究は、口腔の起源となる神経堤細胞(NCC)をiPS細胞から誘導し、そこからさらに顎骨オルガノイド・歯肉オルガノイドを樹立する。また、これらオルガノイドを搭載可能な流体デバイスを独自開発することで、口腔環境を模倣する「口腔オルガノイド-on-a-chip」を開発する。 さらに、得られた「口腔オルガノイド-on-a-chip」に免疫細胞や口腔内細菌を還流させながら、口腔内の生理・病理状態を創出し、口腔についての分子生物学的レベルでの理解を深め、将来の創薬・予防・再生医療開発のための基盤構築を行う。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、iPS細胞から口腔の起源となる神経堤細胞由来間葉系幹細胞を誘導し(iNCC-MSCs)、それを用いた口腔環境を模倣するin vitro実験系の構築を行う。特に、集塊培養による顎骨オルガノイド・歯肉オルガノイドと、それらを搭載可能な還流デバイス装置を用いた口腔organoids-on-a-chipの開発を行う。 研究初年度に確立したiNCC-MSCs誘導法を改良し、より高効率にiNCC-MSCsを作成するとともに、口腔の起源として正確性を高めるために第1鰓弓特異的NCC-MSCsに誘導するために培養法確立実験を行った。さらに、その細胞を集塊培養・振盪培養等によって顎骨そのものに相当する顎骨オルガノイド作製実験まで行った。 一方、cm単位の歯肉オルガノイド樹立ために必要なバイオ3Dプリンタを使用した培養系の確立にも取り組んだ。特に、MSCsを集塊化させ、複数個の細胞塊をバイオ3Dプリンタで積層しながら、任意の形態の大型細胞構造体を作成するプロトコルの樹立に至った。この一連の培養実験の過程で、オルガノイド作製に最適な三次元細胞集塊培養の条件検討も行い、MSCs細胞塊に軟骨誘導・脂肪誘導などを組み合わせることで、軟骨原基様組織や骨髄脂肪様組織を得ることにも成功した。 さらに、還流デバイスについては、培地の漏出・コンタミネーションすることなく、任意の細胞・細菌・化合物を還流可能なデバイスの根本を確立した。また、半導体作製技術を応用し、任意の流路を付与したデバイスを作製可能になった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の根本となるiNCC-MSCsを研究初年度に樹立成功したことに加えて、本年度は、第一鰓弓特異的神経堤細胞をiPS細胞から高効率に誘導する方法が樹立できた。このことは、高精度な顎骨オルガノイド・歯肉オルガノイド樹立に必須の細胞を確保できたことを示す。実際、この第一鰓弓特異的神経堤細胞からiNCC-MSCsに誘導するのみでなく、三次元集塊培養によって骨基質・骨細胞・骨芽細胞から成るヒト顎骨オルガノイドを作製し、その移植が高い骨再生効果を発揮することを確認できている。 一方、バイオ3Dプリンタを用いたcm単位の細胞構造体作製方法も確立でき、実際に、ヒトMSCs由来大型細胞構造体が、多分化能を損なわず高い歯周組織再生効果を有していることを示した。この成果は、歯肉オルガノイド完成に向けて重要な進歩であったといえる。さらに、この大型構造体作製過程において、独自の三次元細胞集塊培養法をさらに改良し、軟骨原基様組織を作製する方法を確立したことが、論文発表に至ったことは進捗が順調と判断した根拠の一つである。 還流デバイスの設計・作製も順調で、特に半導体作製技術を活かし、いかなる形態でも任意に流路付与しながらデバイス作製可能になったため、オルガノイド搭載し、細胞・細菌を流路に供することで、口腔環境を模倣するOrganoids-on-a-chipのために必要な技術要素が揃ったといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度には、まず、iNCC-MSCsと血管内皮細胞を組み合わせた細胞集塊をバイオ3Dプリンタに供試、cm単位の毛細血管網を含む三次元大型細胞構造体、すなわち歯肉オルガノイドの完成を目指す。 得られた歯肉オルガノイドと確立済み顎骨オルガノイドを搭載可能な還流デバイスを作製し、血球系免疫細胞および口腔内細菌とを複合化することで、口腔内環境を模倣可能な口腔-on-a-chipの完成にも取り組む。 一方、バイオ3Dプリンタで大型化させる技術を用いて、高い歯周組織再生効果を発揮できる移植体の作製にもこれまでの成果を応用する。顎骨オルガノイド、もしくはiNCC-MSCs細胞塊を複合化することで、いかなるサイズの歯周組織欠損形態にも合致する大型細胞構造体の作製にすでに成功している。そこで今後は、ヌードラット歯周組織欠損モデルへ移植し・その組織再生効果と治癒メカニズム検証を行う。 また、顎骨オルガノイド・歯肉オルガノイドにおいて、幹細胞性を維持する間質細胞の存在率・局在を調べる。これによって、口腔のヒト間質系幹細胞についての知見を深めるとともに、遺伝子改変マウスを用い、その口腔特異間質系幹細胞が実際に口腔の恒常性維持に関与しているかについて調べる。 上記の研究を通じて、本研究計画の当初の目的を達成するのみならず、新たな口腔組織再生療法開発の基盤となる知見を得る。
|