自然治癒力と骨質を高める細胞由来骨模倣材料による顎骨再生の新機軸
Project/Area Number |
23K24537
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Project/Area Number (Other) |
22H03279 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57050:Prosthodontics-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
江草 宏 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30379078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 将博 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (90549982)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | iPS細胞 / 生体模倣材料 / 骨再生 / 歯胚再生 |
Outline of Research at the Start |
歯の喪失により顎の骨を失うとインプラント等の治療が困難になるが、既存の人工骨では元通りの骨を取り戻すことは容易ではない。本研究では、骨を効率的に再生するアプローチとして、iPS細胞から骨や歯に近い硬い組織を遺伝子操作を利用して作製し、これを用いて骨の強力な自然治癒を可能にする生体に近い人工硬組織材料の開発を目指す。その過程でiPS細胞から作製した材料について骨の治癒の鍵となる炎症や骨質に着目する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,骨の自然治癒を強力に促進する生体由来骨補填材の開発を目的とし、iPS細胞由来骨模倣材料への血管新生や石灰化などの機能付与の有効性を検討する。初年度は、申請者が確立しているトランスポゾンPiggyBacシステム(Miao et al. Int J Mol Sci; 2021)を用い、血管新生因子VEGFの発現遺伝子をiPS細胞に導入して株化するため、VEGFエントリークローンの入手手続きを進めた。しかしながら、購入先の公的機関の取り扱いが変わり、ライセンス契約等に時間がかかり入手が困難となったことから、他の導入遺伝子候補として、硬組織形成にかかわるAmeloDに着目することとした。AmeloDのGatewayエントリークローンをPiggyBac発現ベクターに組み込み、これをiPS細胞に遺伝子導入後、12株をクローニングした。これらの株には、ドキシサイクリン(Dox)制御性のAmeloD発現On/Off誘導システムが組み込まれている。各株にDoxを添加し、AmeloD遺伝子の発現をスクリーニングした結果、AmeloDの誘導効果が著明な2株を樹立することができた。AmeloD遺伝子発現誘導のタイミングがiPS細胞のエナメル芽細胞分化に及ぼす影響を検討した結果、AmeloDを表層外胚葉から歯原性上皮細胞への分化段階で過剰発現させると、成熟したエナメル芽細胞への誘導効率が高まる知見を得た。一方、iPS細胞由来骨模倣材料の骨治癒効果を検討するために適した動物実験モデルの作製を検討した。骨の自然治癒力を強力に促進することを示すためには、自然治癒が困難なモデルでなければならないため、ラット大腿骨離断モデルに着目した。自然治癒しない離断幅の検討を行った結果、0.5~1 mmの離断幅が適切である結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、iPS細胞に組み込む遺伝子に血管新生因子VEGFを用いる予定であったが、Gatewayエントリークローンが入手困難であった。そこで、歯胚発生からエナメル質形成において重要な役割を果たすAmeloDに着目し、その発現をiPS細胞の分化過程で制御することで得られるiPS細胞塊を硬組織化する実験に切り替えた。その結果、iPS細胞から効率的に石灰化したエナメル芽細胞を得る培養法に道筋を立てることができた。これによって、より石灰化したiPS細胞塊を骨補填材に資することが可能となるだけでなく、この実験系を用いることによってエナメル芽細胞の分化過程におけるAmeloDの機能探索が可能になることが期待される。また、iPS細胞由来骨補填材の骨治癒効果を検討するためには、自然治癒しない骨欠損動物実験モデルが必要となるが、現在までにラット大腿骨離断モデルが確立できつつある。以上の進捗状況から、本研究計画はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
iPS細胞由来骨補填材への新たな機能付加の観点から、今年度確立したAmeloDを組み込んだiPS細胞を用いた骨補填材について検討を進める。今後は、より石灰化したiPS細胞細胞塊を得るための遺伝子発現のタイミングおよび培養条件の検討を進めて行くと同時に、iPS細胞からエナメル芽細胞への分化過程に及ぼすAmeloDの分子機構の探索を網羅的解析を含めて検討する。また、得られたiPS細胞由来硬組織を凍結乾燥して生体由来骨補填材とし、ラット頭蓋骨欠損あるいは大腿骨離断モデルに填入し、その骨再生効果を検討していく。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)