Project/Area Number |
23K24555
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Project/Area Number (Other) |
22H03297 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57070:Developmental dentistry-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
井澤 俊 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (30380017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加治屋 幹人 広島大学, 病院(歯), 教授 (00633041)
早野 暁 岡山大学, 大学病院, 講師 (20633712)
上岡 寛 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (80253219)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
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Keywords | エピジェネティクス / 破骨細胞 / ポリコーム遺伝子 / シグナル伝達 / 顎顔面領域骨代謝性疾患 / エピゲノム / マクロファージ / ポリコーム群遺伝子 |
Outline of Research at the Start |
エピゲノムはDNAあるいはヒストンへの後天的な化学修飾によりゲノムDNAからの情報読み出しを調節するメカニズムである。エピゲノムによる顎顔面領域骨代謝メカニズムを解明することは先天性疾患の症状や病態把握と発達予後予測に重要な研究となる。また、若年性関節リウマチ患者においては成長中の下顎頭骨破壊が顎変形症の要因となる可能性が指摘され、矯正治療中に発症した場合には当初の治療目標が達成できないなど大きな問題となることが多い。したがって、病的状況下を含め頭蓋顎顔面におけるエピゲノムによる骨リモデリング機構を解明することが矯正歯科臨床の一助となりうることから、その基礎的背景を明らかにすることが重要となる。
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Outline of Annual Research Achievements |
骨粗鬆症により骨折し、寝たきりになることでさらに骨量が減少し、骨折治癒までもが遅延してしまう負のスパイラルに陥ってしまうことが問題となっている。喫煙が骨粗鬆症や骨折のリスクファクターであることは疫学的によく知られた事実であるが、そのメカニズムについては未だ不明な点が多い。タバコの煙には発がん性物質が100種類以上含まれており、その中で最も強力な化学物質の一つが外因性AhRリガンド(B[a]P)である。喫煙によって生体内のAhRは活性化され、炎症関連病態である骨粗鬆症や関節リウマチとの関連が示唆されている。必須アミノ酸のトリプトファン代謝物であるFICZは高親和性の内因性AhRリガンドとして知られている。また、Kynurenineはトリプトファンからナイアシンを生合成するキヌレニン経路における主要な代謝中間体の一つであり、免疫抑制に重要な役割を果たすAhRの活性化にも関与することが知られている。そこで、今年度の目的はAhRの外因性リガンドB[a]P及び内因性リガンドFICZ、Kynurenineを使用して、AhRを介した破骨細胞や骨芽細胞に対する分化メカニズムを解明することとした。野生型の骨髄由来マクロファージをin vitroにおいて破骨細胞形成に必須のサイトカインRANKL/MCSFを添加後、さらにKynurenineによる刺激を行った結果、Kynurenineの濃度25 μMをピークに破骨細胞形成能の上昇を認め、アクチンリング形成率、ピットあっせいによる骨吸収能、Ctx ELISA値の上昇がみられた。AhRリガンドであるB[a]P 、Kynurenine及びFICZ刺激が破骨細胞において各々異なる作用を示し、AhR活性化経路が破骨細胞分化や骨折治癒過程において重要な役割を果たしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Maesらの報告(JCI 2006; 116: 1230-42)に準じて、我々はすでにC57/BL6J野生型(WT)マウス骨折治癒モデルを確立し、さらに骨折の過程でAhRの発現がRNAレベル、タンパクレベルにおいても上昇するというデータを得ている。また、骨折に伴い出現する病的状況下でのTRAP陽性破骨細胞とAhRの発現が一致していることが判明した。FICZ刺激による破骨細胞形成能をサイトカインRANKLおよびM-CSF添加下での骨髄細胞の培養系において比較したところ、破骨細胞形成能の低下、TRAP、Cathepsin K、Integrin β3、Cyp1a1、Cyp1a2、NFATc1、c-Fosなどの各種破骨細胞マーカー発現の減少がみられた、一方でB[a]Pによる刺激では破骨細胞形成能の上昇、TRAP、Cathepsin K、Integrin β3、Cyp1a1、Cyp1a2、NFATc1、c-Fosなどの各種破骨細胞マーカー発現の上昇がみられた。さらに、破骨細胞におけるKynurenineとAhRシグナル軸との関係を詳細に解析するために野生型の骨髄由来マクロファージをin vitroにおいてKynurenineによる刺激を行った。その結果、Kynurenineの濃度25 μMをピークとして破骨細胞形成能の上昇を認めたことからもおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
マクロファージから破骨細胞への分化・成熟に伴いミトコンドリア生合成が促進することがすでに知られている。そこでAhR欠損マウス由来の破骨細胞やBaP、FICZ刺激による破骨細胞の電子顕微鏡像を作製しミトコンドリア数のカウントやミトコンドリアマーカー(ND4、Cytb、Cox1、Cox3)の発現をリアルタイムPCRにて解析するとともにc-Fos/AP-1やCREBのリン酸化、PCG-1βといったミトコンドリア生合成に伴うシグナル伝達経路の解析を実施する。また、AhR欠損マウス由来の破骨細胞へc-Fos、NFATc1などの遺伝子過剰発現を行い破骨細胞分化のレスキューがみられるかどうかの検討を行う。さらに、B[a]P、FICZ、Kynurenine刺激により、同じ転写因子であるc-FosとAhRあるいはARNTの相互作用、結合能を解明するため破骨細胞のRANKL刺激下でのクロマチン免疫沈降(ChIPアッセイ)を実施する。 C3H10T1/2細胞を用いたin vitro間葉系幹細胞分化系、マウス骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1細胞を用いた骨芽細胞の石灰化実験系を用い、B[a]P刺激やAhR siRNA導入の有無でBMP2による軟骨細胞分化と骨芽細胞の石灰化能を比較検討する。また、マクロファージから破骨細胞分化に伴う細胞内代謝状態の変化や代謝リプログラミングをメタボロール解析やB[a]P、FICZ、Kynurenine投与の骨折モデルマウスから採取した仮骨部でのRNA-seq解析を実施しAhRを介した新たな細胞集団の探索を行う。
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