Project/Area Number |
23K24593
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Project/Area Number (Other) |
22H03335 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58020:Hygiene and public health-related: including laboratory approach
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
小野田 淳人 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 助教 (70835389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅澤 雅和 東京理科大学, 先進工学部機能デザイン工学科, 准教授 (60615277)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
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Keywords | ナノ粒子 / ナノマテリアル / 脳 / タンパク質 / 毒性 / PM2.5 / 表面反応 / 神経変性疾患 / プロテオパチー / 構造変化 / 脳組織病理 / タンパク質構造 / 毒性学 / 超微小粒子 / 脳発達異常 |
Outline of Research at the Start |
現在、環境中超微小粒子による、胎児・新生児の脳発達異常が国際的に問題視されている。しかし、その抜本的な予防法は未だ存在しない。これは、その生体影響が生じる機序、特に粒子特有の原因が未解明であることに起因する。先行研究により、粒子表面で生じるタンパク質異常構造化がその脳発達異常に寄与していることが示唆された。これは、他の汚染物質には認められない粒子特有の現象であった。一方で、異常構造化する分子、脳発達に影響を及ぼす分子、異常構造化の機序の3点が未解明である。そこで本研究では、超微小粒子により異常構造となるタンパク質の種類や性質を同定し、脳発達異常を引き起こす原因分子の特定とその機序解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、微小粒子が脳機能異常を誘導する機序解明に向け、粒子と生体分子(特にタンパク質)との相互作用による異常構造化に注目し、異常構造化が誘発される生体分子の特徴や異常構造化を誘導する微小粒子の性質を見出すことを目標としている。本年は、生体分子と反応に重要な微小粒子の性質を明らかにするべく、様々な粒子を用意し、粒子径や粒径分布、表面電荷、表面の欠落構造などの物性を、電子顕微鏡による観察、元素分析、動的光散乱法、ラマン分光法などにより評価した。さらに、それらの粒子とアルブミン分子とを反応させ、その構造変化を赤外スペクトルや円偏光二色性 (CD) スペクトル測定などを用いて分析し、粒子ごとの違いを比較した。その結果、シリカ粒子は一次粒子径の小ささに比例して、構造変化が短時間で生じることが明らかになった。また、カーボンブラック粒子の場合、ラマン分光分析で炭素原子の欠落が確認される粒子でのみ、タンパク質二次構造の構造変化を誘発することが明らかになった。これらの結果は、粒子の曲率や表電荷がその構造変化に関与する可能性を示唆している。 さらに、粒子により構造の変化したタンパク質が脳組織や脳機能に与える影響を評価するべく、試験管内で微小粒子と反応させた粒子由来異常構造タンパク質を回収し、それを脳内に投与した後、そのタンパク質の脳内分布について評価した。その結果、粒子由来異常構造タンパク質は、投与直後から2時間の間に、脳実質組織の間に入りこみ、主に大脳皮質前頭前野や嗅球のミクログリアに、一部は脳境界型マクロファージの一種である髄膜マクロファージに、さらにごく一部はアストロサイトに取り込まれることが明らかになった。この結果から、微小粒子により構造の変化したタンパク質は、主にミクログリアに集積し、影響を与えている可能性が考えられ、ミクログリアに生じる変化を明らかにすることが今後の課題になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究計画では、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、研究時間の減少や試薬輸送の遅延が懸念されたが、二年目終了時点までの目標であった、使用する微小粒子の収集と各種微小粒子の物性分析を完了させたうえ、それら複数種の粒子を用いた比較検証を終えることができた。当初は、様々な物性を持つ微小粒子とタンパク質の反応実験は最終年度まで継続して行う必要があると想定していたが、それを二年目の段階で完了できたことは、当初の計画を超える成果である。特に、物性に関してはラマン分光分析により、特定のカーボンブラック粒子には炭素原子の欠落が確認され、それがタンパク質構造変化に寄与していることを発見したことは、本研究の目的を達成するうえで重要な知見である。この知見を得られたこともまた、想定を超える成果を得た理由となる。さらに、動物への投与に関する実験では、二年目の段階で、粒子により異常構造化したタンパク質の脳内挙動の評価と、集積する細胞を同定させた。その結果を踏まえ、次年度に行う予定だった、微小粒子由来異常構造タンパク質が同定した細胞への影響評価に向けた検証も進めている。これもまた、当初の計画以上に研究が進展している理由となる。 海外を中心とした学外の研究者との交流や意見交換に関しては、これまで、新型コロナウイルス感染症拡大により自粛していた。しかし、今年度は拡大が終息したことを受けて、積極的に国内外の研究者と交流することができた。特に、英国Oxford大学に招待され、講演し、その時の聴衆であった先方の研究者に本研究課題の内容が高く評価されたことは想像を超える収穫であった。その結果、その研究者と共同研究をすることになった。研究の遂行のみならず、研究成果の発表等に関しても、当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、微小粒子により構造の変化したタンパク質が集積する脳内の細胞(主にミクログリア)に生じる影響を明らかにする。特に、細胞内における異常構造タンパク質の処理と関連のある、ユビキチン-プロテアソーム系やオートファジー、小胞体ストレスに注目し、微小粒子由来異常構造タンパク質が、これらの機能に及ぼす影響について評価する。この実験系では、最初にミクログリアの培養細胞を用いて検証を進め、その結果に基づいて動物実験へと発展させる。動物を用いた解析では、まずミクログリアの病態変化を評価し、そのミクログリアの変化に伴って生じうる周囲の神経細胞への影響について明らかにする。 また、これまでの検証では入手の容易なアルブミン分子を用いて解析を進めてきたが、次年度は脳内で発現する生体分子の中でも特に、構造変化が生じると細胞毒性を誘発するタンパク質に注目し、微小粒子との反応性を評価する。現在、その絞り込みを完了させ、対象となるタンパク質分子の収集を行っている。その収集したタンパク質分子を微小粒子と反応させて、微小粒子由来異常構造タンパク質がミクログリアや神経細胞に及ぼす影響について培養細胞系で評価する。その後、同様に粒子由来異常構造タンパク質を動物の脳内に投与し、行動実験により脳機能の変化を評価する。とくに、脳内に蓄積する異常構造化タンパク質は、プロテオパチーに関連する認知機能異常を誘発するため、微小粒子由来異常構造タンパク質を脳内投与した後、長期的に飼育し、認知機能や空間把握などの脳機能の変化を行動試験により評価する。これらを踏まえ、タンパク質の異常構造化を誘導しやすい粒子の特性やその異常構造化したタンパク質が脳に及ぼす影響について明らかにする。
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