Project/Area Number |
23K24624
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Project/Area Number (Other) |
22H03366 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58040:Forensics medicine-related
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
近藤 稔和 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70251923)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
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Keywords | 分子法医病理学 / 分子法医診断学 / 自然免疫 / Spi-B / マクロファージ / 分子法医診断 / 心不全 / 動脈解離 / 法医診断学 / 心臓突然死 / マクロファージ・樹状細胞 / 遺伝子欠損 マウス / サイトカイン / ケモカイン / 病態モデル / 侵襲 / 樹状細胞 |
Outline of Research at the Start |
自然免疫システムが様々な機械的・化学的侵襲及び内因性疾患においても活性化される.特に自然免疫担当細胞のマクロファージ・樹状細胞はHeterogeneityな細胞集団で,転写因子Spi-Bはこれらの細胞を機能の異なるサブセットに分化させるマスター因子の一つである.そこで,Spi-B遺伝子欠損マウスを用いて,種々の病態モデルにおけるSpi-Bの病態生理学的役割を検討し,病態特異的なSpi-B標的分子を探索し,マウス実験で得られた新規の候補分子については,実際の法医剖検試料を用いて検索し,その発現様式や発現量を各病態生理と有機的に関連付けることで,精度・客観性が高い分子法医診断学の確立を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
1.心不全モデル:Spi-BはTACにより惹起される心不全の病態形成において炎症と線維化を抑制し保護的に機能することを明らかにした.また,その保護機能はLy-6c high,CCR2+マクロファージの心臓への遊走抑制による可能性が高いことを示す結果を得た.本年度は,Spi-BによるLy-6c high,CCR2+マクロファージの遊走の制御について更に検討を進めた.TAC初期の心臓におけるSpi-B発現とLy-6c high,CCR2+マクロファージ浸潤の経時的変化を解析すると,TAC後1日にどちらもピークを示し,両者の強い関連が明らかとなった.このことはTAC1日後に急激に増加し速やかに消失するLy-6c high,CCR2+マクロファージがSpi-B高発現細胞である可能性を示唆する.実際,FACS解析を行い,Ly-6c high,CCR2+マクロファージがSpi-Bを発現することを確認した. 2.大動脈解離マウス:前年度の研究で,アンギンテンシンⅡ(AngII)持続投与によりマウス大動脈解離モデルでSpi-Bが保護的に機能し,致死的な大動脈解離の発症を有意に抑制することを明かにしたが,本年度はその保護機構について解析を進めた.AngII持続投与マウスの大動脈における遺伝子発現を解析し,大動脈の細胞外マトリックスの安定化に必要なLysyl oxidase 1(Lox1)が野生型マウスにおいては発現が強く亢進したが,Spi-B-KOマウスではその発現亢進が有意に抑制されていることを明かにした.野生型とSpi-B-KOマウスにおけるLox1発現の相違は免疫組織染色でも確認された.このことはSpi-BがLox1発現を介して大動脈の安定化に寄与することを示唆し,AngII持続投与による大動脈解離の病態形成におけるSpi-Bの保護機構はLox1発現制御によることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している. TAC誘導心不全モデルにおいて心臓内マクロファージのサブセット組成が急激且つドラスティックに変化することが近年明らかにされているが,Spi-Bがそのサブセット組成変化に関与することを明らかにできた.特に単球由来のLy-6c high,CCR2+マクロファージにSpi-Bの発現を見出したことはSpi-Bの保護機構解析研究の方向性を示す重要な知見を得たものと考えている.一方,アンギンテンシンⅡ持続投与大動脈解離マウスモデルにおいては,Spi-Bの保護機構の鍵分子としてLox1を見出したことは今後の研究の進展を大きく加速するものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
心不全モデルについては,Ly-6c high,CCR2+マクロファージの遊走を誘起するCCケモカインのSpi-Bによる発現制御を解析する.このことによって,Ly-6c high,CCR2+マクロファージ分化におけるSpi-Bがどのように関与するのかを分子レベルで解明する.さらに,剖検で採取された心臓におけるSpi-Bの発現態様を免疫組織学的に検索し,各事例における死因とSpi-Bの発現態様を解析することで,心臓突然死においてSpi-Bが有用な診断指標となるか否かについて検討する 大動脈解離モデルについては,Lox1とSpi-Bの発現細胞の同定とそれらの細胞の解離組織における出現の経時的変化について解析を進め,大動脈解離に特異的な細胞の同定とその機能,およびそれらに対するSpi-Bの関与を解明する. その他,敗血症モデル,肝障害モデルの解析を進める.
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