Project/Area Number |
23K24626
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Project/Area Number (Other) |
22H03368 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58040:Forensics medicine-related
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
木林 和彦 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20244113)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
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Keywords | 抗血栓薬 / DNA損傷 / 老化細胞 / モデル動物 / 剖検 |
Outline of Research at the Start |
外傷性脳損傷の重症化の機序に重点を置いた脳内病態の解析を行い、重症化が予測される患者の特定や、脳損傷の増悪を防ぐ治療につなげ、患者の救命への貢献を目指す。外傷性脳損傷の剖検例を解析し、既存疾患や受傷前の服薬などの脳損傷を増悪する要因を特定し、増悪の予防方法を考案する。また、外傷性脳損傷のモデル動物を用いて、抗凝固薬による出血性損傷の増悪機序を解明し、阻害剤の投与で増悪が予防可能であることを証明する。さらに、モデル動物を用いて受傷後の継続的な脳内DNAの損傷と細胞老化が後遺障害や死亡の機序に関係することを証明し、脳内DNA損傷の抑制や老化細胞の除去による増悪の防止の研究に発展させる。
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Outline of Annual Research Achievements |
ワルファリン服用時に外傷性脳損傷が増悪する機序の解析では、ビタミンK欠乏飼料で飼養したマウスにワルファリンを経口投与し、脳挫傷作成装置を用いて大脳皮質に局所性脳損傷を作製した。ワルファリン未投与と未受傷のマウスと比較した。受傷2時間、1日及び3日後にプロトロンビン時間と脳出血量を測定し、また、液体クロマトグラフ・タンデム質量分析計を用いてワルファリンと7-水酸化ワルファリンの血中濃度を定量した。ワルファリン高投与量において損傷群は未受傷群に比べ、受傷後1日目にプロトロンビン時間が有意に延長し、脳出血量は有意に増加し、また、ワルファリンと7-水酸化ワルファリンの血中濃度は高値となる傾向が観察された。従って、ワルファリン服用時には受傷後1日目に脳挫傷に伴う脳出血が増大することが示された。外傷性脳損傷が増悪する機序に受傷後の血液凝固能障害と血中ワルファリン濃度高値の関与が示唆された。 外傷性脳損傷による脳内DNA断片化の観察では、マウスに脳挫傷作成装置を用い、大脳皮質に局所性脳損傷を作製した。コントロールとしてシャム群を作製して比較した。受傷後1、3、7、14日に灌流固定後に脳を摘出した。脳の凍結切片を作製し、DNA断片化の指標となるγH2AXの抗体を用いて免疫組織化学染色を行い、陽性細胞数を損傷側と非損傷側で比較をした。損傷群では受傷後3日と7日に抗γH2AX抗体陽性細胞数の損傷側と非損傷側の間での有意な差がみられた。陽性細胞は視床に集中していた。シャム群では全期間において損傷側と非損傷側で有意な差はなかった。多重染色の結果、損傷群損傷側の受傷後3日と7日に出現する抗γH2AX抗体陽性細胞は、抗NeuN抗体陽性細胞と重複し、外傷性脳損傷によるγH2AXのリン酸化は神経細胞で生じることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外傷性脳損傷の重症化機序の解析として、外傷性脳損傷のモデル動物を用い、抗血栓薬投与時の重症化に薬剤の代謝障害が関与していることを明らかにした。また、同じく外傷性脳損傷のモデル動物を用い、脳損傷の受傷後に脳内DNA断片化が神経細胞において出現することを明らかにした。法医解剖例での重症化機序の解析も行っている。研究計画に従い研究を実施しており、研究成果は国際学会で発表予定であり、英文論文として投稿を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)ヒト剖検例の解析:法医解剖での頭部損傷200症例について①来院時GCS、受傷から発症までの期間、受傷後生存期間、既往歴、服薬歴、転倒歴、剖検所見、組織検査所見、血液生化学検査結果、中毒検査結果、死因、死因の種類を抽出する。受傷原因別に交通事故、転倒、転落、殴打、その他に分類する。身体各部位の損傷の重症度をAISとISSを用いて定量化する。交通事故、転倒、転落、殴打の4群を比較し、受傷原因別の頭部損傷患者の特徴を明らかにする。また、受傷機転、既往歴・現病歴の有無を独立変数、頭蓋内損傷の重傷度と受傷後の臨床経過を従属変数とし、多項ロジスティック回帰分析や重回帰分析等の解析手法を用いて、頭蓋内損傷の重傷度と受傷後の臨床経過に及ぼす要因を解明する。 2)外傷性脳挫傷モデル動物の解析:抗血栓薬服用と非服用のマウスのそれぞれに外傷性脳損傷を作成し、小動物用MRIを使用した脳損傷体積の経時的変化、脳出血量の定量、免疫染色で炎症細胞等の広がりと単位面積当たりの個数の定量化を行う。心臓血からLC-MS/MSを用いて薬物を測定し、肝臓からミクロソーム画分を調整し、ウェスタンブロット法で抗血栓薬代謝に関与するCYP2Cサブファミリーの発現、リアルタイムPCRによるCYP2CサブファミリーmRNA発現量を測定し、抗血栓薬服用時の脳損傷の増悪機序を解析する。 3)脳内DNAの持続的断片化と老化細胞について組織学的に解析して脳損傷増悪の機序と防止方法を考案する。マウスの大脳皮質に局所性脳損傷を作製し、脳の凍結切片を作製して抗γH2AX抗体を用いて免疫組織化学染色を行い、陽性細胞数を算出する。抗γH2AX抗体陽性細胞の同定のために抗GFAP抗体、抗Iba1抗体、抗NeuN抗体を使用し、免疫蛍光抗体法による多重染色を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(12 results)