Project/Area Number |
23K24763
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Project/Area Number (Other) |
22H03506 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
恒枝 宏史 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (20332661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹岡 利安 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (00272906)
和田 努 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 講師 (00419334)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
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Keywords | 嗅覚 / 脂質代謝 / 糖尿病 / 視床下部 / 糖代謝 |
Outline of Research at the Start |
一世紀以上前にロシアの生理学者パブロフが提唱した「条件反射」の概念が示す通り、空腹時の食事に関する知覚情報は脳を介して消化・吸収機能を摂食前に高める。しかし、嗅覚と代謝が連係するかは不明であった。そこで本研究ではマウスを用いて、空腹時の食餌の匂いが脂質代謝や糖代謝に及ぼす影響とその調節に関わる中枢・末梢機構を解析する。さらに嗅覚-代謝連係が糖尿病などの代謝異常の防止に寄与するか検証する。本研究により、肥満病態に有効な嗅覚標的型代謝改善法を確立し、糖尿病治療の新規治療への道を拓く。
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Outline of Annual Research Achievements |
一世紀前に提唱された「パブロフの条件反射」の概念が示す通り、食事に関する知覚情報は消化・吸収機能を摂食前に高めるが、匂いと代謝の関係は不明であった。我々は前年度に、空腹時の食事の匂いが脳の嗅覚記憶系、視床下部、自律神経系、脂質動員系を介して飢餓適応を促進すること、食後では脂質利用を高めて飽食適応を促進すること、過剰な脂肪摂取時に糖代謝の悪化を防止することを見出し、Nature Metabolism誌にて報告した。そこで本年度は、嗅覚-代謝連係機構への薬物介入法を見出すため、嗅覚記憶を強化する薬物処置により脂質代謝を促進できるかを検証した。空腹マウスが未知の食餌の匂い記憶を獲得する際に、嗅覚記憶促進剤を投与すると、薬剤非投与群に比べ、その食餌の匂い記憶依存的な探索行動が増加した。後日、空腹時にその食餌の匂いで刺激すると、薬剤性に強固な嗅覚記憶を獲得した群では、非処置群よりも顕著な血清遊離脂肪酸濃度の上昇が認められた。食後(オリーブオイル経口摂取後)の脂質吸収も嗅覚記憶促進剤投与によって促進された。なお、遺伝子欠損マウスを用いた解析で、脳の報酬効果に関わるドパミン神経系や動機付けに関わる視床下部オレキシン神経系は嗅覚記憶促進剤による脂質代謝の促進効果には寄与しないことが示された。以上より、嗅覚系(嗅覚記憶系)への薬物介入によって中枢性脂質代謝調節機能を増進できることが示されたことから、嗅覚系は肥満や糖尿病などの代謝疾患を防止するための新規治療標的になると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、嗅覚と脂質代謝の機能連関を見出した前年度までの研究成果(学術雑誌Nature Metabolism誌に掲載)をさらに発展させることを目的に、マウスの嗅覚記憶を強化すると脂質代謝との連係も強化されるか検証した。その結果、予想通り、未知の食餌の匂い記憶を獲得する際に嗅覚記憶促進剤を投与すると、後日、空腹時にその匂いを感知したマウスでは脂質代謝が促進されることを明らかにした。このように、薬物処置により、嗅覚系を起点としたパブロフ型代謝適応を強化できることを実証できたので、2024年度以降も引き続き、嗅覚-代謝連係を標的とした糖尿病と合併症の新規防止法の開発に向けた研究を計画通り実施することが可能な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)交付申請書において補助事業期間中の研究実施計画に記載した通り、嗅覚系によるパブロフ型代謝適応の生理的意義、本機構への介入法、および嗅覚-代謝連係を標的とした糖尿病や合併症に対する防止法を解明するため、マウスを用いた以下の嗅覚刺激実験と嗅覚破壊実験を実施する。1) 嗅覚記憶促進剤の処置で強化した嗅覚-脂質代謝連係の機能的意義を解明する。2) 嗅覚系の破壊が糖・脂質・エネルギー代謝に及ぼす影響とその機序を解明する。3) 褐色脂肪組織における熱産生が嗅覚刺激で調節可能か検証する。また高温や低温環境が嗅覚感度や嗅覚-代謝連係に及ぼす影響を検証する。4)肥満マウスに対し嗅覚刺激・嗅覚破壊を施し、糖脂質代謝機能や糖尿病治療薬の効果に及ぼす影響を検証する。5) 糖尿病の合併症・併存症に対する嗅覚系の意義を明らかにするため、マウスの嗅覚系を刺激または破壊し、代謝障害関連脂肪肝炎(MASH:高脂肪食負荷オレキシン欠損)やうつ病(社会性敗北ストレス負荷・強制水泳)に対する影響を検証する。これらの検討により、嗅覚系が中枢性代謝改善のための重要な標的であることについて補助事業の期間内で一定の結論が得られるよう配慮しつつ、研究を推進する。
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