Project/Area Number |
23K24789
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Project/Area Number (Other) |
22H03532 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | Nagoya City University (2023-2024) Kyoto University (2022) |
Principal Investigator |
内田 周作 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (10403669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 元 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (60723278)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,320,000 (Direct Cost: ¥6,400,000、Indirect Cost: ¥1,920,000)
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Keywords | ストレス / 神経回路 / うつ病 / ストレス脆弱性 / レジリエンス / 個体差 / エピジェネティクス / アンヘドニア / 社交性 / 分子メカニズム |
Outline of Research at the Start |
近年のストレス社会やコロナ禍による生活環境の変化を背景に、うつ病に代表される精神疾患や自殺者が増加し、社会問題となっている。心の健康や健康寿命の阻害要因としての心理・社会的ストレスによって精神疾患を発症する人がいる一方、ストレスに適応・回復することで心の健康を維持できる人もいる。また、同様のストレッサーを受けても、個人によって表出する精神症状や行動は多種多様である。このようなストレス感受性や症状発現の個人差・多様性はどのようなメカニズムで構築されているのだろうか?この問題を解決すれば個人に最適な心の健康増進法や健康寿命延伸法、精神疾患の予防法・治療法開発につながることが期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ストレス感受性の個体差・多様性をうみだす生物学的基盤を多階層的アプローチにより解明することである。従前の疾患モデル動物を用いた基礎的研究において、症状の個体差や精神疾患の異種性は注目されてこなかった。この状況を打破し、従来の基礎研究では見過ごされていた個体差に着目し、精神症状の多様性をうみだすメカニズムとしてのエピゲノム制御を基軸とした階層横断的な視点から、ストレス病態の分子・神経基盤を明らかにする。具体的には、行動変容の個体差に基づくエピゲノム変容を抽出し、症状発現に関わる神経回路選択的な分子神経メカニズムを解明することで、神経回路選択的なエピゲノム修飾の操作による個体のストレス制御法を確立することを目的とする。2023年度は、心理・社会ストレス負荷マウスを行動指標によりサブタイプ分類し、目的神経回路における遺伝子発現変動を確認した。具体的には、社会性ストレス負荷マウスを社会性試験とスクロース嗜好性試験を用いて社会行動・アンヘドニアを評価した。社会性のみ低下、アンヘドニア症状のみ、社会性低下とアンヘドニア、いずれも異常なし、の4つのサブタイプに層別化した。マウスの特定の回路における網羅的遺伝子発現解析(RiboTag法)を用いて候補遺伝子を抽出した。これら遺伝子群とKDM5阻害剤によって変動する遺伝子群とを統合的に解析し、回路変容の基盤となるKDM5C標的遺伝子を抽出した。目的遺伝子について、アデノ随伴ウイルスを用いた過剰発現マウスやノックダウンマウスを作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ストレス対処行動発現の個体差に関わる神経パスウェイを薬理遺伝学的手法により同定することができ、その神経パスウェイ選択的な分子メカニズムとしてKDM5Cを介したエピジェネティクス制御の存在とKDM5Cの標的遺伝子まで同定することができた。またここまでの成果をNeuron誌に報告することができた。3年目の実験の準備もすでに整っており、研究は当初の想定以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に得られた神経回路変容の基盤となる分子機構と行動との関連をさらに検証する。行動変容の表出が特定神経回路障害に起因するならば、回路障害の原因となる分子経路を修復すれば精神症状は消失するとの仮説を検証する。そこで2024年度は、申請者が既に確立している神経回路選択的エピゲノム編集技術を用いて、課題1・2で見出した遺伝子と申請者が既に見出している遺伝子におけるエピゲノム修飾(ヒストンH3K4メチル化修飾)を操作することで、神経活動変容と狙った特定の症状(社交性低下・アンヘドニア)が改善できるかを検証する。本実験によって神経回路選択的エピゲノム修飾の操作によって、神経活動・行動変容を制御可能なことを立証できる。
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