Project/Area Number |
23K24854
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Project/Area Number (Other) |
22H03598 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 60090:High performance computing-related
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Research Institution | Institute of Science Tokyo |
Principal Investigator |
横田 理央 東京工業大学, 学術国際情報センター, 教授 (20760573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻田 武史 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00339615)
星 健夫 核融合科学研究所, 研究部, 教授 (80272384)
伊田 明弘 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(地球情報科学技術センター), 主任研究員 (80742121)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2022: ¥9,230,000 (Direct Cost: ¥7,100,000、Indirect Cost: ¥2,130,000)
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Keywords | 固有値問題 / H行列 / 電子状態計算 / 高性能計算 / 精度保証 |
Outline of Research at the Start |
本課題では、物質・材料開発の基盤となる電子状態計算における固有値問題を、H行列を用いて密行列と同等の精度を維持しながらもO(NlogN)の計算量に低減する方法を提案する。既存の疎行列を用いた近似解法では行列の正定値性が失われ、分子間相互作用を無視するため電気伝導特性の評価が困難である。一方、密行列として扱う場合は固有値問題の計算量はO(N になり、現実的な時間で計算することはできない。H行列を用いた提案手法は正定値性も保持でき、ランク次第では密行列と同等の精度で固有値計算をO(NlogN)で実現できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
電子状態計算では密行列の固有値問題を解く必要があるが、素朴な手法ではN次元の行列に対してO(N^3)の計算量を要する。既存研究では、小さい行列要素を無視することで疎行列とみなすが、疎行列近似により本来あるべき行列の正定値性が失われ、解法が数理的に破綻することさえある。そのため,疎行列に近似することなく高速に計算する手法が確立されれば、大きなブレークスルーとなる。本研究では、密行列を階層的にブロック分割し、非対角ブロックを低ランク近似することで行列積や行列分解の O(N^3) の計算量を O(N log^2 N) あるいは O(N) にまで低減できる手法を開発する。 2023年度には、代表者の横田らのH行列によるコレスキー分解をLDL^T分解に拡張し、固有値の二分探索を行うことでk番目の固有値をO(NlogN)で求める方法を開発した。これと並行して2023年度には、固有値分解における三重対角化に対してH行列を適用した。これにより、密行列としては扱えない巨大な行列の全固有値を計算可能であることを明らかにした。さらに、2023年度には、H行列を用いた場合でも密行列と同じ精度で固有値計算ができていることを精度保証の枠組みを利用することで証明した。ただし、このときの実験には比較的小規模な行列を用いることで、密行列の直接解法や精度保証の計算が現実的な時間で完了するように配慮した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度には、代表者の横田らのH行列によるコレスキー分解をLDL^T分解に拡張し、固有値の二分探索を行うことでk番目の固有値をO(NlogN)で求める方法を開発した。これと並行して2023年度には、固有値分解における三重対角化に対してH行列を適用した。これにより、密行列としては扱えない巨大な行列の全固有値を計算可能であることを明らかにした。さらに、2023年度には、H行列を用いた場合でも密行列と同じ精度で固有値計算ができていることを精度保証の枠組みを利用することで証明した。ただし、このときの実験には比較的小規模な行列を用いることで、密行列の直接解法や精度保証の計算が現実的な時間で完了するように配慮した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度には、2023 年度に開発した O(N log N) の固有値解法を電子状態計算のアプリケーションコードへ適用し、疎行列近似を用いた既存手法と比較する。特に、既存手法では計算が困難であった、基底数が大きいとき、高精度が必要なときの問題設定を中心に、H行列による解法の優位性を明らかにする。さらに、行列の条件数や非対角ブロックのランクが変わるようなアプリケーション側の設定において、この優位性がどのように変わるかを明らかにする。さらに、従来型密行列計算では扱えない超大規模(行列次元= 1 千万次元以上)系として、フレキシブルデバイス(有機分子集合体) の実問題計算に取り組む。
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