エージェントカメラ群による新しいin situ可視化
Project/Area Number |
23K24859
|
Project/Area Number (Other) |
22H03603 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 60100:Computational science-related
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
陰山 聡 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (20260052)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 尚久 神戸大学, システム情報学研究科, 准教授 (20402745)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2026: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
|
Keywords | 可視化 / シミュレーション / エージェントベースモデル / HPC |
Outline of Research at the Start |
大規模な計算機シミュレーションの可視化では今後、シミュレーション計算を実行しながら同時に可視化処理も行うin situ可視化手法が重要となるであろう。だが、複雑な現象のシミュレーションでは可視化すべき注目領域の位置と動きを予め予測することはできないのが普通である。 本研究ではエージェントベースモデルの考え方をin situ可視化に導入し、「エージェントベース可視化」という新手法を提案する。可視化カメラを自律移動する「エージェント」とし、シミュレーションをエージェントの置かれた「環境」とみなす。エージェントカメラの群れが注目領域を自律的に捕捉・追跡し、in situ可視化を行うのがこの手法である。
|
Outline of Annual Research Achievements |
大規模な計算機シミュレーションにおいて、可視化すべき注目領域の位置が事前に不明であっても有効な新しいin situ可視化手法を確立するのが本研究の目的である。そのためにin situ可視化を行う「視点」を自律的に行動する「エージェント」とみなす。シミュレーション空間に分布した多数の可視化エージェントは、他のエージェントとの相互作用や周囲の環境(=シミュレーション対象の現象)に基づいて自律的に判断し、自分の状態(=可視化パラメータ)を自動的に変化させる。この手法は、我々が考案した独自のin situ可視化手法「4次元ストリートビュー」を発展させたものである。4次元ストリートビューでは可視化視点のパラメータは固定であった。 昨年度までの研究において可視化エージェントが注目領域に対して近づいて可視化する機能を実現することができた。これは、エージェントのもつ可視化パラメータのうち視点位置パラメータを自律的に変更する機能である。本年度は新たに可視化画像解像度のパラメータを自動的に変更する機能の実装を行った。画像解像度は視点位置に次いで重要な可視化パラメータである。我々が提案するin situ可視化は全て基本的には全方位画像なので、ここでの可視化解像度とは全方位画像の解像度を指す。興味深い現象の近傍にいるエージェントは自動的に高解像度に切り替えてin situ全方位可視化することで全ての可視化視点から出力される動画群の総データサイズを小さくすることができるのがこの新機能のポイントである。簡単な流体シミュレーションに適用してその効果を確認した。 なお、この新機能では可視化解像度がエージェントごとに異なるだけでなく、同じエージェントであってもシミュレーションの時間発展の途中で突然解像度が切り替わることになるため、本研究で開発している専用の動画ビューアの機能拡張も必要であり、その開発も進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はまず、エージェントの移動方法を改良するために仮想的なベクトル場を設定する手法を開発した。可視化すべき興味領域(Region Of Interest, ROI)をソースとする単極子型と双極子型の二種類の仮想ベクトル場を設定し、各エージェントが自分の周囲のベクトル場に沿って移動するモデルを構築し、簡単なシミュレーションでそのテストを行った。いまのところエージェントがROIの近傍にむけて想定した通りの軌道を描いて移動することを確認しただけであるが、これらのエージェントにin situ可視化機能を実装し、出力動画群を専用のビューアで表示・切り替えをすることは特に難しいことではないと考えている。 今年度の大きな成果は、画像解像度の自動変更という新しいアイディアを思いつき、その有効性を確認したことである。これまで可視化エージェントの空間的な位置だけに注目していたが、画像解像度も自動調整できることが判明したことで、本研究の方向性が大きく広がったといえる。空間位置と画像解像度以外にも可視化パラメータは多数あるので、当初の想定以上に本研究は拡張性をもっていることがわかった。 本手法に不可欠な全方位可視化動画群の専用ビューアの開発も順調に進んでいる。 本研究の鍵となるアイディア、すなわち可視化パラメータを自立的に調整するin situ可視化エージェントという手法が実際のシミュレーションに対して適用可能であることは既にこれまでの研究で示すことができたと考えており、今後はこの手法の高度化と応用に注力する。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1) 他の可視化エージェントを表示する機能: これまでの研究で見つかった課題の一つは、それぞれの可視化エージェントが「撮影」する全方位in situ可視化画像の中で、自分以外のエージェントがどこに位置するかが直感的に分かりにくいという問題である。この問題を解決するために 自分以外のエージェントの位置を動画表示ブラウザで表示する機能を実現する。 (2) エージェント間の接続性を表示する機能: 本研究で開発中の動画表示ブラウザは、ユーザからの指示(キーボード入力)に応じて隣の可視化エージェントの画像に切り替えるようにデザインされている。この機能は既に実装済みであるが、隣のエージェントとの位置関係が分かりにくいという問題がある。そこで、可視化エージェントとの間を線でつないで画面上に表示する機能を実現する。 (3) 実問題への応用: 上記の二つの機能が実装されれば、本研究の基盤となる技術とツール群はほぼ完成したといえる。そこで今後は実際のシミュレーションに応用しながら実用性を高めていく。主な応用対象は並列化された磁気流体(Magnetohydrodynamics, MHD)シミュレーションとする。磁気流体の解析は、磁場と流れ場、渦度場と電流場という少なくとも4つのベクトル場を効果的に可視化する必要があるため、新しいin situ可視化手法の確立を目指す本研究のテストベンチに相応しい。特に研究代表者が現在開発している正四面体容器内部のMHD熱対流シミュレーションに重点的に適用していく。
|
Report
(2 results)
Research Products
(21 results)