Project/Area Number |
23K24891
|
Project/Area Number (Other) |
22H03635 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 61020:Human interface and interaction-related
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小林 稔 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (60738623)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 雅行 国立研究開発法人理化学研究所, 情報統合本部, チームリーダー (70637404)
磯 和之 東京情報デザイン専門職大学, 情報デザイン学部, 教授 (20810302)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
|
Keywords | ビデオ会議 / 遠隔会議 / CSCW / 会話空間 / 話者交代 |
Outline of Research at the Start |
複数人が集合して行なっている会議に1人が遠隔地からビデオ会議システムを用いて参加する状況で、相手の状態を把握しにくかったり、発話のタイミングがつかみにくかったりするために会話を円滑に進めにくいと感じることがある。遠隔会議では会議参加者が属する「会話空間」が複数存在すること、それぞれの「会話空間」に対して適切な注意配分が行えないことがその一因と仮定し、遠隔会議における会話進行のメカニズムの解明と、コミュニケーション円滑化手法の実現にとりくむ。そのために、まず「会話空間」の数を変えながら参加者の注意分布を計測し、会話進行に必要な情報を取り損ねる状況を調査し、それにもとづき改善手法を考案する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
遠隔会議では、相手の状態を把握しにくかったり、発話のタイミングがつかみにくかったりするために、会話を円滑に進めにくいと感じることが多い。本研究では、遠隔会議では会議の中心となる会話空間の他に、参加者が周囲の人と会話したりテキストチャットなどを行う「副次的な会話空間」が存在し、その存在がコミュニケーションに必要な情報の見落しを招き、コミュニケーションが妨げられると想定し、そのメカニズム解明と解決方法実現に取り組む。そのために、 (1)対面で実施される会議、(2)ビデオ会議システムだけを用いる会議、(3)テキストチャットなどを併用するビデオ会議、の3種の状況における会議参加者の行動を観察・計測し分析する。 本年度は研究の開始にあたり、想定する課題が一般の遠隔会議利用者の認識と合っていることを確認するために、ビデオ会議を日常的に行う400名を対象として調査を実施した。ここから、資料閲覧と会話時のリアクションの両方を支援する技術の必要性を確認し、実験において配慮することとした。調査から得られた知見は、学会で報告し共有した。 また、実験実施環境を構築し、計測方法を確認する予備実験を行なった。特に、会議に参加する複数人の視線を計測し分析する方法について実験を行った。例えば、視線計測データは実験参加者の視野全体を表す基準画像にマッピングした上で、視線の分布を分析するが、どのような画像がマッピングに用いる基準画像として適切かを、分析のしやすさや安定性などの面で比較検討した。ここで得られた知見について、学会で報告した。 これらの取り組みを通じ実験方法の詳細を定め研究倫理審査を申請し、実際の被験者を対象とした実験実施の準備を完了させた。加えて、ビデオ会議で用いる画像の撮影方法およびコミュニケーションロボットが示す記号の意味解釈について検討を進め、国内学会2件、国際学会2件、論文誌1件の発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、2022年度中に「対面で実施される会議」において円滑な会話進行が行われている状況を計測・観察する実験を完了し、会議参加者が何に注目し、何を手がかりとして他の参加者の発話意思を推定し、発話権の移譲を行なっているかの分析を開始する予定であった。しかし実際には、実験を実施するための準備を完了させた段階であり、当初計画に対して遅れている。 実験を開始することはできなかったが、一方で、次のような点で進んでいる側面もある: (a) 研究が想定する課題について再確認するために調査を実施し、実験で着目すべき点を整理したこと、(b) 実験実施を担う研究協力者の変更があったものの、より多くの研究協力者を獲得して訓練を行い機材使用の技能を向上させ、複数の計測機材を同時に使用しながら実験を効率的に実施する体制を構築したこと、(c) 第一段階の「対面で実施される会議」だけでなく、第二段階の「ビデオ会議システムだけを用いた会議」も含めて実験を実施するための方法を検討し計画を具体化したこと、(d) 実験計画を具体化し使用する文書を整備した上で、実験実施に必要な研究倫理審査を受験し実験実施可能な状態に進めたこと。 このように、全体として予定していた到達点に至っていない一方で、計画に沿った実験を実施可能とする状況が整ったため「やや遅れている」と評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
ここまでに実験を開始するための準備が整ったので、今後は、研究が対象とする被験者に対して実験を実施していく。 今後の実験では、ビデオ会議を日常的に仕事などで使用している人を一般から集め実験の対象とする。集まった実験参加者に課題を与えて会議をしてもらい、発話、行動、視線を計測し記録する。同じ実験参加者に対して「対面で実施される会議」に加えて「ビデオ会議システムだけを用いた会議」の状況でも実験を実施することで、同じ人物について複数の状況での行動のデータを効率的に取得する。 実験の会議は4人の参加者によって行うが、4人分の録画、録音、視線計測を行うための機材を同時に連続して運用するためには、実験実施者の運用技能が重要である。そのため、ここまでに獲得した研究協力者のチームで取り組める期間内に、できる限り多くの実験を実施することが課題の推進に重要である。加えて、今後のメンバー入れ替わりに備えて、できる限り多くの次世代の研究協力者を育成することも重要となる。そのために、新しい分析方法の開発や、課題を解決する会議支援方法の開発など、次の段階の担務を具体化し、本課題に協力することで得られる経験を多様化することにも取り組む。 検討を重ねて具体化した実験計画ではあるが、実験の実施を通じて不備が見つかることも想定する。計測方法、記録方法、管理方法、分析方法の改善には常に取り組むこととする。 これらを通じて、「副次的な会話空間」の存在が「主たる会話空間」のコミュニケーションの妨げとなるメカニズムを明らかにし、問題を解決する手法の提案と実現に取り組んでいく。
|