Project/Area Number |
23K24970
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Project/Area Number (Other) |
22H03715 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63010:Environmental dynamic analysis-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
齋藤 尚子 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 准教授 (50391107)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2026: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
Fiscal Year 2025: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 対流圏オゾン / GOSAT、GOSAT-2 / リトリーバルアルゴリズム開発 / GOSAT, GOSAT-2 / 日変化 / 成層圏対流圏交換(STE) / GOSAT/TANSO-FTS / GOSAT-2/TANSO-FTS-2 / 衛星観測 / 温室効果 / 大気汚染 |
Outline of Research at the Start |
成層圏からのオゾンの流入(STTオゾン)の規模、起こりやすい領域および頻度を明らかにすることは、気候影響評価に必要な対流圏オゾンの全球収支を知る上で極めて重要である。STTオゾンは地表付近の大気質にも大きな影響を与えるため、オゾンの気候および大気質への影響を評価するためには、対流圏オゾンの詳細な高度分布を全球規模で明らかにする必要がある。また、対流圏オゾンの生成メカニズムの真の理解のためには全球の様々な領域で濃度の日変化を知ることが重要である。本研究は、衛星による全球・昼夜の対流圏オゾンの高度分布観測を通して、大気化学輸送モデルによる対流圏オゾンの気候・大気質への影響評価の高精度化に貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
対流圏オゾンは温室効果ガスであり有毒な大気汚染物質である。成層圏から流入するオゾン(STTオゾン)の量は、オゾンの気候影響の評価に必要な対流圏オゾンのglobal budgetを決める。一方、対流圏ではオゾン前駆物質の光化学反応を介してオゾンが生成され、高度0-3 kmに存在するLMTオゾンは生活環境の大気質に直接的に影響を与える。このため、STTオゾンの規模・頻度・領域依存性と、LMTオゾンの生成プロセスの理解につながる日変化の両方を明らかにすることが重要である。全球で対流圏オゾンの高度分布と日変化の両方の観測を行うことができるのは、太陽を光源としない下方視型の熱赤外衛星センサーのみである。本研究は、衛星GOSAT/TANSO-FTS、GOSAT-2/TANSO-FTS-2の極めて高い波数分解能の熱赤外スペクトルの情報量を最大限に活用して、対流圏全体のオゾンの詳細な高度分布を全球・昼夜で高精度に観測し、これらの両方を明らかにする研究である。
令和4年度は、GOSAT/TANSO-FTSのTIRバンドで観測されたスペクトルから導出したオゾンの鉛直濃度プロファイルデータが中・上部対流圏および成層圏のオゾン濃度の特徴を捉えられているかについて評価した。TANSO-FTSの各気圧面における全球オゾン濃度分布の特徴を年毎・月毎に確認したところ、各年の3月の北半球中緯度の中部対流圏でTANSO-FTSのオゾン濃度に経度方向に非一様性が見られ、成層圏からの輸送と水平輸送で特徴づけられる中部対流圏のオゾン濃度の緯度・経度分布をTANSO-FTSによる観測が捉えている可能性が示された。また、成層圏についても、TANSO-FTSのオゾン濃度データは、2010/2011年の北極の極渦内の大規模なオゾン減少を捉えられていることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、GOSAT/TANSO-FTSおよびGOSAT-2/TANSO-FTS-2の観測スペクトルの波数チャンネルごとにオゾン濃度の情報量を算出し、観測スペクトルのバイアスを考慮した上で最適な波数チャンネルを選択する計画であった。
濃度導出(リトリーバル)に用いる波数チャンネルの選択方法についてはまだ改良の余地はあるものの、GOSAT/TANSO-FTSから導出した中部対流圏のオゾン濃度分布には成層圏からの輸送と水平輸送で特徴づけられる緯度・経度分布の特徴が反映されていることが確認でき、さらに、他衛星のデータとの比較に基づきTANSO-FTSから成層圏と対流圏を分離してオゾン濃度を導出できていることを示すことができた。しかしながら、地表付近のオゾン濃度のリトリーバル値は先験値に強く拘束されており、選択する波数チャンネルの変更と大気層の再設定が必要であることが明らかになった。また、対流圏オゾンの日変化プロセスを明らかにするためには、オゾン濃度の導出精度の昼夜差に影響を与えうるTANSO-FTSの観測視野内の雲判定精度の昼夜差についても精査する必要があることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
オゾン濃度の導出に最適な波数チャンネルの選択において、GOSAT/TANSO-FTSおよびGOSAT-2/TANSO-FTS-2の各観測スペクトルのSNRと各センサのバイアスを踏まえて、センサごとに最適なマイクロウィンドウを選定する必要があると考えている。また、放射伝達を計算する際の大気層の設定については、地表付近を含む下部対流圏の大気層の数を増やして、境界層内のオゾン濃度の導出(リトリーバル)精度の向上を図る。
境界層内~対流圏全層のオゾン濃度のリトリーバル値の評価を行うために、高精度な他観測データ(オゾンゾンデや航空機など)が得られている地点で重点的にGOSAT/TANSO-FTS、GOSAT-2/TANSO-FTS-2のオゾン濃度リトリーバル処理を実施する。
これまでの研究で、GOSAT/TANSO-FTSの観測視野内の雲検出の精度が昼夜で異なり、夜間は昼間より観測視野内の雲コンタミの影響がある可能性が明らかになったため、導出されたオゾン濃度データのデータ質を昼と夜に分けて検証し、雲検出精度がオゾン濃度の昼夜差の評価に影響を与えないかを調べる必要があると考える。
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