Project/Area Number |
23K24997
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Project/Area Number (Other) |
22H03743 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63020:Radiation influence-related
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
香川 亘 明星大学, 理工学部, 教授 (70415123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 武嗣 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 主幹研究員 (60332269)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
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Keywords | 液-液相分離 / DNA二重鎖切断 / DNA修復 / RAD52 / RNA |
Outline of Research at the Start |
DNA修復は,DNA損傷部位に局所的かつ一過的に多くの種類のタンパク質が集まることが重要である。近年,タンパク質の集合とその機能制御の一端を担う物理現象として液-液相分離が注目されているが,DNA修復における液-液相分離の詳細な役割については不明な点が多い。そこで本研究では,天然変性領域を含むDNA修復タンパク質RAD52とRNAによって形成される液滴に着目し,そのDNA修復における機能を解明することを目的とする。本研究によって明らかになった液滴に依存した修復は,液-液相分離によって制御されることが知られている転写とDNA修復との共役的な機能を解明するための基盤的な知見となることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
Rad52は酵母からヒトまで真核生物に広く保存されており,DNA二重鎖切断(DSB)損傷の修復機構で働くと考えられている。酵母では,Rad52は修復の初期過程でDSBに集積し,Rad51タンパク質を損傷部位に呼び込んで修復反応を促進する。ヒトにおいてもRAD52はDSB依存的に集積することが示されており,損傷部位へのRAD52の集積はDNA修復機構における重要なステップである。しかし,RAD52が損傷部位に集積する分子機構には不明な点が多い。そこで本研究では,ヒトRAD52がDNA損傷部位に集積する分子メカニズムとして液滴形成が関与する可能性を検討した。
ヒトRAD52の液滴形成をin vitroで検証するために,RAD52-GFPの大量調製系を確立し,並行してRAD52の天然変性領域内のlow complexity配列をアラニンに置換した複数種類の変異体を作製した。これらのタンパク質を用いて液滴形成を検証した結果,RAD52の複数箇所が液滴形成に重要であることが判明した。RAD52に融合したGFPが液滴形成に影響を及ぼす可能性があるため,次にRAD52分子の表面に露出するシステイン残基に蛍光分子を固定化したものを大量調製し,その液滴形成を観察する実験を進めている。
ヒトの細胞において,RAD52はDSB依存的にfociを形成することが知られている。このfociがRAD52の液-液相分離によって形成されているかを調べるため,電離放射線照射後のRAD52 fociが見られる細胞に,液-液相分離を解消する1,6-hexanediolを加えたところ,RAD52 fociが消失するまたは小さくなることが分かった。また,1,6-hexanediolは,GFPレポーターアッセイで検出したRAD52依存的なDNA修復において阻害効果があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では2023年度中に,液滴形成に重要なRAD52の領域を同定するためのin vitroとin vivoの解析が完了することになっていたが,in vitroでの解析が予想以上に時間がかかり,変異体RAD52を発現する細胞株の解析が進んでいない。2024年度では,協力研究者を増やして対応する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
【液滴形成に重要なRAD52のアミノ酸領域を同定】液滴形成に重要なRAD52のアミノ酸領域をin vitroおよびin vivoの解析で明らかにする。RAD52の天然変性領域にアラニン点変異を導入した複数種類の変異体を作製し,試験管内での液滴形成効率を調べる。さらに,これらの変異体を発現する細胞株を樹立し,二重鎖切断への集積に影響がないか確認する。 【転写と共役したDSB修復におけるRAD52の液滴形成の解析】先行研究により,RAD52はRNA上で機能することが示唆されている。本研究では,RNAがRAD52の液滴形成を促進することをin vitro解析で見出し,RAD52依存的DNA修復におけるRNAの関与を考察している。本年度は,転写と共役したDNA修復をGFPレポーターアッセイで検出する実験系を構築し,この系を用いてRAD52の液滴形成が,転写と共役したDNA修復に関与するかを明らかにする。 【RAD52が形成する液滴に含まれる因子の網羅的同定】相互作用因子をビオチン化するBioID標識技術と質量分析を用い,RAD52が液滴形成を介して細胞内で相互作用する因子を同定する。同定された因子のDNA修復への関与を細胞生物学的に解析する。 【二重鎖切断修復経路に関与する液滴のin vitro再構成とその生化学的・構造生物学的解析】RAD52をはじめとする主要因子を用いて液滴を試験管内で再構成し,液滴の機能と相互作用を生化学的・構造生物学的に解析する。具体的には,既に確立しているDNA修復反応の試験管内系を液滴内で再現し,RAD52と主要因子を混合してゲルろ過クロマトグラフィーによる複合体の単離を行う。複合体が安定であれば,X線結晶構造解析またはクライオ電子顕微鏡構造解析を行う。これにより,RAD52が形成する液滴の二重鎖切断修復におけるより詳細な機能が明らかになると考える。
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