Project/Area Number |
23K25000
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Project/Area Number (Other) |
22H03746 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63030:Chemical substance influence on environment-related
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
久保田 彰 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (60432811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川合 佑典 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (10709546)
野見山 桂 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 准教授 (30512686)
村田 幸久 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40422365)
中村 達朗 酪農学園大学, 獣医学群, 講師 (80755554)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 発生毒性 / 統合オミクス / 環境化学物質 / 毒性発現機序 / 環境エストロゲン / 複合影響 / 拮抗作用 / リン酸エステル系難燃剤 / 甲状腺ホルモン撹乱 / 抗エストロゲン作用 / ダイオキシン / ネオニコチノイド系殺虫剤 / 心血管毒性 / 神経発生毒性 / 脂質メディエーター / 神経伝達物質 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、新たな動物実験代替法の開発と活用に寄与するゼブラフィッシュ胚を用いて、社会的・学術的に関心の高い化学物質の毒性評価と毒性発現機序解明を試みる。このため、胚の全身スクリーニングにより発生毒性を評価する。毒性が認められた化学物質に焦点を絞り、さらなる統合オミクス・遺伝子ノックダウン解析等を行い、毒性に至る有害性発現経路を明らかにするとともに、インシリコ解析により関連化合物の毒性予測モデルの構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は主に以下の成果を得た。 1)エストロゲン様物質であるジエチルスチルベストロール(DES)とゼアラレノン(ZEN)の併用効果をゼブラフィッシュ胚で検討した。DESによる奇形と循環障害は低濃度のZENとの共処置で緩和された。同様に、ZENによる体躯や尾の湾曲、心臓周囲浮腫、血流減少は、低濃度のDESとの共処置で顕著に減少した。エストロゲン受容体(ER)拮抗薬であるフルベストラントとの共処置は、DESおよびZEN誘発性のこれら発生毒性に対して有意な改善効果を示した。以上より、ERに対する拮抗作用がDESおよびZENによる発生毒性の主要な機序であると考えられた。 2)リン酸エステル系難燃剤の一つであるトリフェニルホスフェート(TPHP)の曝露胚で成長阻害および甲状腺ホルモンの生合成や作用発現にかかわる遺伝子の発現量の低下がみられたことから、曝露胚における甲状腺ホルモン濃度への影響を評価した。TPHP曝露胚においてT3レベルの変動はみられなかったものの、T4レベルは有意に低下した。TPHP曝露胚でみられたT4レベルの低下は、成長阻害やdio1、ttr、trαの発現量の低下と高い相関性を示した。一方、トリスジクロロプロピルホスフェート(TDCIPP)曝露胚においてT4レベルの低下はみられたものの、成長阻害との用量応答性は異なっていた。TDCIPP曝露胚ではprlやghの発現量の低下と成長阻害の相関性が高かったことから、これら2物質でも成長阻害を誘発する主要な作用機序は異なると考えられた。 3)ERの標的遺伝子であるCYP19A1bを指標として、17β-エストラジオール(E2)誘導性のCYP19A1b発現に対する阻害作用を評価したところ、多くのビスフェノール類はE2誘導性のCYP19A1b発現を抑制したことから抗エストロゲン作用が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エストロゲン様物質の複合曝露がERに対して拮抗作用を引き起こし毒性発現に影響を及ぼすこと、各種メタボローム解析によりこれまでのフェノタイプ・トランスクリプトーム解析の結果を支持するデータが集積しつつあること、抗エストロゲン作用のインビボ・インシリコ統合評価系を新たに構築できたことなど、多方面で進捗が得られたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、曝露胚を用いた統合オミクス解析(トランスクリプトーム・メタボローム・リピドームなど)を行い、バイオインフォマティクス手法により毒性発現機構を検討する。毒性発現への関与が予想された標的分子について、拮抗薬・阻害薬などとの共処置や、遺伝子ノックダウン胚を用いた曝露試験により毒性への関与を検証する。得られた成果をまとめ国内外の学会で発表するとともに、国際学術誌に論文投稿する。
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